見出し画像

もう言い訳はしたくない。同級生が経営するスタートアップへ挑戦した理由ーー中島慎吾さん【Baridi Baridi 社員インタビューvol.04 】

今回は、Baridi BaridiタンザニアでSCMリーダーをされている中島慎吾さんにインタビューを行いました。

今回登場するBaridi Baridiメンバー

中島慎吾
大学卒業後、海外で働く機会を求め、鉄鋼系商社に入社。その後2度の転職を経て2021年4月よりSCM(サプライチェーン・マネジメント)リーダーとしてBaridi Baridiにジョイン。趣味は野球とゴルフ。
坂井 柊斗 (インタビュアー・編集)
神戸大学大学院在学中。2020年10月よりBaridi Baridiにインターン生としてジョイン。2021年8月~10月にタンザニアへ渡航し、Baridi Baridiタンザニア社で業務を経験。

思い描いたキャリアとのギャップと同級生CEOの存在

ーー早速ですが、本日はよろしくお願いします!

中島:よろしくお願いします。

ーーまず、Baridi Baridiに入社される前はどのようなお仕事をされていたのですか?

中島:大学卒業後、鉄鋼系の商社に入りました。海外で仕事がしたいという思いがあったので、商社だったらその機会が多いかなと考え、就職しました。

僕自身としては、既存の育った会社というよりは、初めて海外に進出しようとしていたりとか、初めてのチャレンジをしようとしている会社にワクワクするものを感じていました。なので、当時初めて海外に進出しようとしていた鉄鋼商社に入社しました。

ーー鉄鋼商社では、どんなお仕事をされていたのですか?

中島:そうですね、国内での最初の1年間は本当に泥臭い仕事でした。

国内のお客さんに製品をタイムリーに届ける。鉄といっても色々あるのですが、僕は製油所に製品を卸す仕事をしていました。

ーーなるほど。では、2年目以降は希望されていた海外での業務経験は積むことができましたか?

中島:そうですね、2年目から運良く海外が絡む仕事につくことができました。ただそれは、海外での駐在だとか、毎週出張に行ったりという仕事ではありませんでした。日本にあるオフィスで、日本から海外、また海外同士間での製品出荷に関するやり取りを行うというような業務をしていました。

ーーなるほど。鉄鋼商社を経て、そこからBaridi Baridiへ入社するまでの経緯はどのようなものだったのでしょうか。

中島:Baridi Baridiに来るまでに、3社経験しています。鉄鋼商社から電動工具などを取り扱っているメーカーに転職しました。

そこでも2年ほど働いたのですが、会社の業績も含め、海外で仕事をするというキャリアの見通しも立たなかったので、再び転職をすること決めました。そこで、転職先を焦って探してしまったこともあり、3社目では全く思うような仕事ができませんでした。

ーーなるほど。その時にBaridi Baridiと出会ったんですか?

中島:はい、3社目で悩んでいる時期に、朝田さんが新しく、エアコン事業を始めると聞いてすぐにコンタクトを取りました。そこから話が進んで、Baridi Baridiに入社した形になります。

ーーそうだったんですね。朝田さんとは、高校時代からの付き合いだと聞いていますが、もう少し、お二人の関係をお聞きしても良いですか?

中島:そうですね、朝田さんと初めて出会ったのは、高校生の時になります。同じ野球部として3年間過ごしました。

彼とは進学先の大学は違ったのですが、彼はその後アメリカに留学に行き、僕もオーストラリアに留学に行っていて、海外でチャレンジしていることはお互いに知っていました。彼がアメリカにいる時は、スカイプで電話をしたりもして、定期的に連絡はとっていました。ただ、すごく仲が良かったとかではなく、飲みに行ったりとかそういう関係ではなかったですね。

ーーなるほど、卒業後も連絡を取り合う関係だったんですね。先程、(中島さんが)悩んでいる時に、朝田さんとコンタクトを取ったとおっしゃっていましたが、朝田さんから新規事業(Baridi Baridi)のお話を聞いた時にはどういった心境だったんですか?

中島:その時は、話を聞いたというよりかは自分からコンタクトしたような感じだったんです。僕の中で、仕事で苦しんでいる時に、朝田さんはアメリカのダイキンの孫会社でチャレンジをしていた事は知っていて。僕自身が思い描いていたキャリアを彼は既に歩んでいるようで、非常に羨ましく見えました。なので彼に対して、憧れだったり、ああいう風になりたいという思いは正直ありましたね。

そんな時、彼がアメリカから日本に帰ってきたタイミングで、彼が始めようとしている新規事業についての話を聞きました。

話を聞いて、一緒にできるならぜひチャレンジしたいと思いましたし、そのことを彼には伝えました。だから(Baridi Baridi の創業当初)SCMというポジションが最初からあったわけではなかったんです。どちらかと言うと、「力になりたいから何かポジションないか?」というようなことを僕の方から言った感じですかね。

ーーなるほど。朝田さんから事業の話を聞いた時に、中島さんの中で何かBaridi Baridiの力になれそうだと感じる部分はあったということですか?

中島:そんなにおこがましいものでは無いですけどね。(笑)自分が信じている働き方や考え方を実現するために、それ(Baridi Baridiで働くこと)が一番近いんじゃないかと思ったのと、また彼自身との理念に対しても共感するものがあったので、彼に対しては率直にBaridi Baridiで働けるポジションはありますか。と伝えましたね。

ーー結果的に、Baridi Baridiにジョインすることになりましたが、次の挑戦として、アフリカでしかもスタートアップで働くということに対して不安などはなかったですか?

中島:もちろん、めちゃくちゃ怖かったですね。ですが、決断できたのは自分を変えたかったというのが大きかったですね。

これまで自分が叶えたかった事や会社に対して思っている事が実現できなかった時に何かと言い訳つけてしまっていて。これやって失敗したらお先真っ暗やなとか。そんな風に今まで安牌をとって、変わらない方を選んできたなと。ここで変われなかったらもうチャンスは無いんじゃないかと思いましたね。

ーーなるほど。

中島:でもこうして決断しましたけど、やっぱり怖かったです(笑)タンザニアへ出発する前は、コロナのこともあって不安になり若干病んでましたね、変なソワソワはしていました。(笑)

ーーそうですよね。では、こうして朝田さんと一緒に働いていることに関して、何か今までの関係から変化はありましたか?

中島:この質問はよく聞かれるんですけど、全然僕はなんとも思っていなくて、同じ目標に向かってやってる人で、その人がたまたま知り合いだったという感覚です。逆に朝田さんは朝田さんでフラットに見てもらっているなとは思います。本当にチームの一員という感覚で、何か特別なことは無いと思います。

タンザニアに来て感じたSCMの難しさ

ーー少し話を戻すと最初からSCMのポジションがあったわけではなく、もしオファーがあったらどんなポジションでもやる可能性があったということですか?

中島:でも、SCM以外の仕事でBaridiは僕にはオファーしないんじゃないですかね?(笑)優秀な人材は他にもたくさんいますから。たまたま、SCMというポジションなら枠が空いていた感じです。

どちらかというと、SCMは裏方の仕事で、会社によっては重要視されない場合もあります。マーケティングやエンジニアリングは大事だよね、というのはわかりやすいんですけど、SCMの仕事っていろんな関係各所とやり取りをしながら、購入する仕事という裏方の側面が強いからです。朝田さんは大事にされているとは思いますが、僕がそこ(SCM)をできるよと言い出さなければ、SCMポジションはBaridiにはなかったのかもしれません。(笑)

ただ、Baridiの場合、SCMの力が必要になる場面は多いと感じます。まずビジネスは物が無いと商売が成り立たないというのがあるので、やはりいかにマーケティングやセールス部門にいかにマッチする形で、エアコンを準備しなくては行けません。

逆にセールスが鈍化していて、在庫をそんなに持ってこられては困るよという時には(エアコンを輸入している)インド側に出荷を遅らせる交渉しなければなりません。それって目立たないことなんですが、会社にとっては縁の下の力持ちじゃないですけど、必要なことなんじゃないかなと思います。

ーー今までSCM業務を経験してきたと思うのですが、タンザニアでのSCM業務は今までの経験と何か違うことはありますか?もしくは、Baridi Baridiのビジネス特有の難しさというのはありますか?

中島:そうですね。2つあって。タンザニアならではという面では、インドからのエアコンの輸入1つとっても、僕の経験上一般的だとされているやり方が通用しないということが、あります。よくわからないお金が発生したりだとか、必要のない資料を要求してきたりするんですね。早く物を(港から)出してほしかったらお金を払ってくれよということを言われたりと、明らかにお金を追加で払わせるための時間稼ぎだったりだと感じられるようなことがあったりします。

そこをどうカバーするのかというのは、未だに苦しんでいますね。これまで、韓国だったり、インドネシアだったり、インドだったりと輸出業務を担当しましたが、経験のないことですね。

210929_BB_01063.02_42_25_11.静止画048

もう1つあるのは、我々のビジネス特有のことだと思うのですが、サブスクリプションサービスということで、エアコンの所有権がお客さんに所有権が移るわけではないので、その在庫管理やアセット管理は求められるところでありますし、難しいと感じる所ではありますね。

自分のやり方に固執せず、その瞬間・その場で適応していければ良い

ーー次に、タンザニアメンバーのマネジメントことについてお聞きしたいです。入社後すぐにタンザニアに渡航し、SCMリーダーとして、タンザニアメンバーをまとめる役割を果たして来られたと思うのですが、今まで誰かをマネジメントするという経験はありましたか?

中島:全くなかったですね。(笑)

ーー難しさを感じる部分はありましたか?

中島:そうですね。僕にとっては何もかも初めてのことで、まっさらな状態だったので、一瞬一瞬が「こういうものなんだ。」という風に適応していったという感覚です。全部難しかったんですけど、一方で(日本時代と比較するなどの)変なバイアスもかかっていませんでした。その点で対応できたのかなと思います。

例えば、部下をマネージするということの他にも、もっと大きく捉えると、海外赴任をして働くだとか、まだ小さな規模のベンチャーで働くということも初めてでした。ですので、吉光さんや山口さんの話を聞いたり、マネージ方法を見て真似しつつ、そこから段々と自分なりの色を出していこうとしていました。

ーーでは逆に、Baridiに入って心境の変わったことはありますか?

中島:心境の変化は無いですね。どう受け止められるかはわからないですが、僕は、その瞬間・その場でいろんな形や考え方が合って良いと思っています。心境の変化というと、過去との比較をしていると思うんです。それが僕にとってはあまり好きじゃなくて。だから変化するというよりは今いる環境に常に合わせていく感覚を持っていますし、それが重要だと思っています。

ーーつまり、タンザニアに来たから何か気持ちの面で劇的に何か変わったということは無いということですよね?

中島:そうですね。タンザニアにはタンザニアのやり方があって、じゃあそれにアジャストしていこうとか、スタートアップはスタートアップのやり方があるからそれにアジャストしていこうということを常に意識しています。自分のスタイルに固執することなく、求められる仕事をやっていこうと思っています。

SCMの仕事はサッカーのディフェンダーのようなもの

ーー今10月になっていろんなアクシデントが起こっているとは思いますが、それに対しても中島さんは焦ってないように見えるんですが、そこは慣れの部分ですか?

中島:どうですかね。(笑)これは僕の性格でもあるんですけど、すごく心配性で、ドミノで例えると、1個間違えて倒してしまったら、共倒れになってしまうのを避けたいんです。だから本来20個に1個くらいチェックポイントをおけば良い所を、5個に1個くらいチェックポイントを起きたいんです。

あまり、そうしすぎるのも良くないと思うんですが、1個問題が起こってもストッパーを置くようにしていて、そしてその問題を改善してもらうという考え方でいます。

要は、1個問題が起こっても個別で対処できる(SCMが総倒れにならない)ような準備をしているつもりなので、あまり焦ってないように見えているんですかね。でも本音を言うと問題が起こったら毎回焦っているんですけどね(笑)

ーーなるほどです。そのストッパーに関係するかもしれないんですけど、タンザニアメンバーとコミュニケーションを取る時に意識されていることはありますか?

というのも、以前中島さんは、SCMメンバーに対して話す時にその場しのぎの教え方じゃなくて、次に似たような問題が起きた時に、メンバー自身で解決できるように少し抽象度を高めて話すんだ。ということをおっしゃっていました。

そのことも、先程のストッパーを置くということにも少し通じるのではないかと思っていて。何か意識していることはありますか?

中島:そうですね。まず、僕の中では今おっしゃられたように全く原因が同じもので問題の本質が同じで事象が違うことってありますよね。その場合対処法の本質を理解しておけば、事象がA、B、Cと違った場合でも自分で考えて行動できると思うんです。その力をしっかり養って欲しいなと思っていますね。

またSCMチームにとっては、細かいチェックが絶対に必要だと思っています。そういった所で、またセールスチームなどとは違う能力というか繊細さが必要とされるんです。

その2点ですかね。SCMメンバーに対しては、まずは、考え方をしっかりと持ちましょうと。どんな事象であっても、まず自分がどういう風に思って、どういう行動をしていけば良いかをどんな事象に対しても考えるようにしてもらうことを意識して欲しいなと思って話しています。その場あれやれ、これやれとすぐ答えを言わないようにしています。

もう1点は、細かいチェックですね。「たしか、◯◯がこう言ってた。」「こうなってるはずなんだけどな。」とかはSCMにとっては致命的なので、そういったことは無しにしましょうね。とは言っています。だから指差し確認しっかりしましょうね。といったチェックは常に意識付けをさせている感じですかね。

ーーこういった、行動の基礎になる考え方を根気強く教えていくことはもちろん将来を見据えてのことだと思うんですけど、SCMチームの将来像というかどんなチームにしたいのかといったイメージは持たれているんですか?

中島:難しい質問ですね。(笑)まあ一つ考え方としてあるのが、SCMチームがどうというより、会社にとって不必要なコストはかけないようにしなければなりません。必要な場合にコストをかけられるように、例えば必要最低限なクオリティを担保した上で、いかにコストを抑えてパーツを準備できるのか、無駄な出荷はしていないかとかは、みんなが当たり前にできているような組織をSCMチームとしては目指したいなとは思っています。

まさに日本で言ったら誤出荷なんて中々ないじゃないですか。だからタンザニアでも「全然誤出荷ないよね。」とか「時間通りに据え付け来るよね」とか、そういったイメージがBaridiに付けばSCMチームとしてあるべき姿ではあるし、当たり前のことではあるかなと思いますね。

ーーなるほど。基本的なことを当たり前にやっていくことが重要だと言うことでしょうか。

中島:そうですね。誰からも褒められず、苦情も受けない。これがSCMのあるべき姿ですね。(笑)

ーーなるほど(笑)では達成感を感じる場面はどういう時なんですか?

中島:やっぱり本音を言うと褒められたいですよ。(笑)「誤出荷ないね。」とか、「リードタイム通りに来てるね。」とか。言ってほしいんですけどね。でも、そういう目立ちたい欲が強い人はSCMに向いてないと思っています。(笑)

よくサッカーで例えるんですが、フォワードは20回打って1回でもゴールが決まって、それが決勝点にでもなろうもんならヒーローじゃないですか。SCMはディフェンスのような存在でして、何回良いディフェンスをしたとしても1回のミスで致命的に叩かれるじゃないですか。

これと似たようなもので、SCMは目立って褒められることも少ないけど、淡々とディフェンスをし続けることだと思います。ただ、それに気づいてそっと言ってくれることがあったとするなら、それはもう最大級の賛辞だと自分に言い聞かせています。(笑)

ーーなるほど。逆に言うと、SCMの成果を数字で可視化することは難しいということですか。

中島:そうなんですよね。でも、タンザニアメンバーにもSCMの仕事の本質をわかってもらい、またしっかりと評価していくためにも僕が定量的な指標を示して表現していくことは重要になってくるのかなと思っています。

例えば、わかりやすい所で言うと、原価をどれだけ下げたかということは数字として表現できます。他にも輸入を含めたデリバリーのリードタイムを守っているかに関する指標など、様々な定量的な指標は考えていきたいです。

ーー少し広い視点で考えると、これからBaridi Baridiが大きくなっていき、他のアフリカ諸国にも進出することがあるかと思います。そうなってきた時の、イメージだったり、目標だったりは持っていますか?

中島:そうですね。会社にとっても非常に良いかなと思っているのは、組立工場ができれば、良いかなと思っています。それは夢でもあり目標でもありますね。

単純にエアコンをそのまま(インドから)運んでくるのではなくて、パーツ単位で運ぶことができれば、もっと費用を抑えることができますし、税金ももっと安くなると思います。そうすることで、現地の雇用も増やすことができますし、現地に工場があることでセールスチームももっと柔軟に動けるようになるのかなと考えています。

ーー最後になりますが、Baridi Baridiにおいて個人的な目標とかはあったりしますか?

中島:仕事において、あまり個人でどうしたいというのはなく、会社の目標に向かって自分の役割を果たしていきたいなと思っています。その目標が達成したかどうかはひとまず3月(2021年10月から2022年3月までの拡大期)にわかるんじゃないのかなと思います。

後、先程SCMの仕事は地味だと自分でも言いましたが、面白いなと思う部分もあるんです。だからSCMの仕事が面白いと思ってもらえるように、結果を残していきたいなとは思っています。

Baridi Baridi Timesでは、Baridi Baridi社員のインタビュー記事をnoteで発信していきます。
Baridi Baridi HP
CEO朝田note

この記事が参加している募集

オープン社内報

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?