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ALifeの視点で捉えるSNS

我々の知能を理解するために人工知能の研究を行っている。

人工知能(AI)研究の意義について、著名な研究者が語っているのを聞いたことがある。
人工知能研究者はコンピューターによって人間のような高度な知能を実現を目指しており、広く認められている。
その発展は私たちの生活を豊かにする技術的進展などの応用に目が行きがちだが、知能の理解を究極の目標と定めて知能を構成するというアプローチをとる人工知能研究者もいるようだ。

ALife

これに対比して、人工生命(Artificial Life: ALife)は、人工的に生命を構成することで生命を理解する学問といえよう。
同じような目的を持つ合成生物学との違いは、合成生物学が生化学的に生命を作ろうとしているのに対し、ALifeはコンピューター上で生命の抽象的な特徴を再現することに注力しているといえるだろう。

『ALIFE | 人工生命 ―より生命的なAIへ』はそんなALifeの入門書で、特に自然界で起こっている終わりなき(オープンエンドな)進化に着目している点、現実世界への波及について述べている点が特徴である。
本書の中から印象に残った話題を以下で取り上げる。

ソーシャルネットワークの臨界現象

ネットワークが臨界状態にあるということは、あるユーザーの行動が他のユーザーの行動を誘発し、その影響はネットワーク全体(またはサブグループ全体)に及ぶことを指す。
これはいわゆるツイートがバズった状態で、経験的にある一定以上のリツイートが来た時には爆発的にリツイート数が伸びる相転移のような事象が起こることが知られており、これは臨界現象(カオスのふちに存在するようネットワークが成長している)によって説明されると考えられる。
生命のもつネットワークがカオスのふちに存在しているのではないかという議論はカウフマンの書籍で詳しく、東京大学の合原一幸先生なども脳神経活動のダイナミクスとカオスの関係を提唱している。

日々私たちが体験している現象に生命性を見出し、コンピューターで再現して実際の生命と比較することでその普遍性と特異性に示唆を与える、というサイクルが興味深かった。

参考文献

人工知能研究の意義について、著名な研究者が語っている。コンピュータ上で生命の抽象的な特徴を再現することに注力している。脳神経活動のダイナミクスとカオスの関係を提唱している。

ELYZA DIGESTを用いて要約


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