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アジャストメントいろいろ

「下手くそなインストラクターはポーズを直してしまいますから。」
木村慧心先生のお話です。

木村先生といえば、ヨーガ療法の第一人者で、ヨガの本の著書や監修もたくさんされています。実際にお話を聞いたことがありますが、お話もさることながら、素敵な先生でした。


「下手くそなインストラクターはポーズを直してしまいますから。直そうとすると、生徒さんはインストラクターが近づいてきたと、意識が外にいっちゃう。」

「アーサナは心理療法でもあるから、意識が外にいっちゃうとそこで心理療法はストップしてしまう。メンタルなところを阻害しちゃう。ヨガセラピーは触らないのは鉄則。」と話されていました。

「アーサナは入り口。肉体の意識がしっかり客観視できれば、感覚、感情、思考の客観視へと進んでいける。過去記憶の客観視まで持っていきたい。そして過去記憶でトラウマのある人には自己修正させる。それがヨガセラピー。」

そして、

「チッタ・ヴリッティ・ニローダのチッタは過去記憶の倉庫。だからそこまで客観視するるための最初のとっかかりがアーサナ」だそうです。

アシュタンガヨガはどうでしょうか。
「グルジ」の本で、グルジがナンシー・ギルゴフ先生にたくさんのアジャストをした話がのっていました。身体に問題を抱えていたナンシー先生に対して、グルジは"行き詰まっているという感覚や妨害しているものを察知して、それを取り除く手助け"をしてくれたそうです。

「どのようにアジャストするか。肉体を回転させたり、所定の位置に持っていこうと、外的なことをしているだけなのか、それとも体の中のエネルギーを動かそうとしているのか。グルジがやっているのは後者だと思います。グルジは私の体をアーサナの所定のかたちにしつつ、私のエネルギーも動かしているといつも感じていました。」とナンシー先生は語っています。

アシュタンガヨガのプライマリーシリーズはセラピーの要素を持ちます。ナンシー先生の場合はグルジのアジャスト自体が治療だったのかもしれません。

ヨガのスタイルによって、アジャストのアプローチはだいぶ違いますが、私が心に留めていることがあります。いつの誰の言葉かは忘れてしまいましたが、"マイソールスタイルでは、ポーズができてから一つずつ次のポーズへと進んでいくものなので、アジャストが必要なのは最後のポーズだけなはず。だからそこまではなるべく邪魔をせずに生徒さんの意識が内に向いていることを大事にする”。ということです。

アーサナをしながら内側への内省の準備を整えていく。それはヨガのスタイルを超えた共通なこと、大切なことだと思います。










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