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HSPの僕の目に映る世界 #5

「次の方どうぞ」

「ノア君だね、今日はどうしたんだい?」
「実はぼく自信がないんです」
「なるほど、もっと詳しく教えてくれるかい」
「ぼく、人にどう思われてるか気になるんです。気分の浮き沈みが激しくて、その原因も誰かの言葉とか態度に支配されてる気がして、自分がない気がするんです。多分それは自分を愛せていないから。自分を魅力的な存在とは思えないから」
「なるほどね。では私にどうしてほしいんだね?」
「自信がつくお薬を下さい」
「それはとても危ない薬だよ」
「どうしてですか?」
「うぬぼれ、っていう副作用がつくからさ」
「そんなこと… 自信がないよりうぬぼれてた方がマシですよ!」
「それはどうだろう。自信をつけるのはそんなに難しくないけど、うぬぼれた性格を治すのはとても難しいよ」
「でもこのままじゃ嫌なんですぼく!
もうどうしたらいいのか分からないんです」
「努力はしたのかい?」
「えっ?」
「自分を何者でもないと認め、何者かになるために努力はしたのかい?」
「それは分かりません。思えば色々なものに流され続けてきた人生かもしれません。でもそれって悪い事でしょうか?」
「それを決めるのは君だよノア君。
今の生活に満足じゃないなら改善の余地があるって事じゃないかな。そうじゃないから今日私のところへ来たんだろう?」 
「じゃあ教えて下さい!この先どうすれば幸せになれるか!どうすればクヨクヨ悩まずにすむか!どうすれば自分を愛せるのか!」

「努力しなさい」


不快な量の汗で目が覚める。
今日もまた同じ夢を見た。
もしかしたら僕はもう幸せになる方法を知っているのかもしれない。知っていて行動に移せていないただの怠け者なのだろう。

「お前いつ本気出すの?」