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在宅訪問しているからこそできる連携がある。

福岡で自費の自分のサロンを経営しつつ、がん患者さんのリンパ浮腫ケアやリラクゼーションその他を行っている理学療法士です。

自費とかサロンとか言うと病院勤務の方たちには色々と驚かれますが、個人的には医師から依頼書をもらってその患者さんにできることをしていくことに、病院勤務時代もサロンを立ち上げて独立してからも同じことをしていると思っているので、自分の仕事のスタンスはあまり変わってないのかなと思います。

自費のリハビリというと医師からの指示をどうしてるのかと思う人もいると思いますし、私自身立ち上げる際にそこはみなさんすでにやっている方たちはどうしているのかなと思って色々聞いたこともあります。

でも正直「医師との連携なしには考えられません」というのが私の結論です。でもそれはただ、「指示書があればいい」ということでもありません。

書類の名前はなんでもいいんです。「指示書」でも「依頼書」でも「お手紙」でもこの際いいし(笑)。受けるか受けないかでいえば、1本電話をもらったらそのまま伺います。ただ病院側が出せないのは「診療情報提供書」です。それはうちのサロンが医療機関ではないから。それが医療保険の仕組みです。

物事には定義があり「診療情報提供書」は何か。「診断書」との違いも当然あります。ここを話し出すと話がどんどんズレていきますので、診療情報提供書はどこがどこへ出すものなのかはどうぞググってみてください。

さて私はそんなわけで、医師の依頼書を許に患者さんやご家族と連絡を取りケアを開始します。サロンに来られる方もいればご自宅に伺う方もいますし、入院中でもご希望があり病院側の許可がいただければ病室へも伺って施術しています。これまでに緩和ケア病棟で亡くなる数日前まで訪問させていただいたこともあります。

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私はこれまでにクリニック、総合病院、そして緩和ケア病棟と在宅訪問看護ステーションでの勤務経験があります。そのため病棟勤務している時に、外部の例えばそうですね、、マッサージ師さんとか何かその方のケアをする方が病室に来ていると医療者がどのような気持ちを持っているか、その施術者との関係性はどうなのか。ということを身をもって経験してきました。ざっくり言うと、何ら連携はありません。お見舞いの人と同じ扱いとでもいいましょうか。

そのため今は病棟へ伺って施術する際、ナースステーションへ開始前後に声をおかけすることはもちろん、体調などで気が付いたことなどはご報告させていただくこともあります。リンパ浮腫ケアができる技能者はまだまだ少ないので、病室に私が施術している時に用事を作って覗きにくる看護師さんも割といます。その際して欲しいことや避けて欲しいことなどをお伝えすることもあります。職員でもないクセに職員なみに色々言って帰るので、不思議な存在かもしれません。ご迷惑でないことを願います。

訪問看護ステーションにいた頃は、何と言いますか毎月報告書、月の初めには計画書を書くわけですが、管理者、看護師、理学療法士など皆が同じページにそれぞれ書きこみます。結構コピペのところも多かったりして、読んでもらうためのモノというよりも、「算定に必要な提出書類」といった部分を感じることもありました。(そうではないステーションもあると思いますが)何よりそれは医療保険や介護保険で定められた必要なものですので、みんな書類書類と思いつつもとにかくこなしているのが現実かなと思います。

では私のように自費でやっている場合はどうでしょう?

診療情報提供書を書いていたく義務もありませんし決まりはありません。私の方でも紹介状という名前のものは存在しませんし、報告の義務というのは法律などで決まっているものでもありません。

でも私は「かなり」先生方や看護師さんとのやり取りが多いです。

例えばサロンに来ている患者さんが次回診察の時に付き添うこともありますし、そうでない場合は経過報告をお渡しすることも多々あります。単なる報告書ではなく、日々見ているからこそお伝えしておきたい、「それを含めて診ていただきたい」ことがあるからこそ書いてお渡しします。

すると不思議なことに先生方も、お願いしていたわけではなくても退院時に入院経過と制限がないことなど改めて書いてくださったり、診察に来た結果、手術に決まったとか、今後こういう方向で考えてみることになったとかいったお返事をいただく機会が増えました。

そしてたまに病院でお会いすると「こないだの件だけど」「あ、あの人お願いね」という具合に2,3分でもさっと見解を互いに確認して、同じ方向へ向かってさらに協力し合えることを強く感じています。

外来だけだと気が付かないことがあるから、思うことがあったら連絡ください。と言っていただけることもあります。

不思議とそういう私たち医療者の連携の強さを患者さんは肌で感じるようです。お互いにとても信頼してるんですねとか、同じように話されていたのでやはりそうなのだと納得しましたとか。その場にいなくても私の言いたいことを理解してくださって先生方がとても上手に振舞ってくださっていて。

そのおかげで私はまた患者さんとの信頼関係を築くことができていると思っています。

特にご自宅に伺っていると、もしや、、と思うことや、早めに対策を講じていただけたらいいかもしれない、、と思うことが多々あります。がん患者さんの日常はご本人やご家族が思いもしない時に急に変化が訪れることがあるためです。単なる経験的憶測ではなく、日々ご自宅での様子をみさせていただいているからこその見解があり、私はそれを主治医の先生や必要な職種の方たちに共有し、その方やご家族にとって最適な形で安心して日々を過ごせるよう、先手先手でサポートするのがプロなのではないかと思っています。

ある意味それはコーディネーターのようでケアマネのようで、コンサルタントのようで、、、。自費サロンの自由さが持つある種のフリー介入とでもいいましょうか。

時々病院勤務の医療者と在宅ケアを専門とする医療者との間には、考え方の相違や対立もあります。でも正直病院がいいとかダメだとか、在宅はいいとか大変とか、私がどう思うかではなく、ご本人とご家族がどうか、、なので。

だからこそ医療者都合の話ではなく、理学療法士なのにとか管理者じゃないからとか、看護師でもないのにとか関係なく、1人の医療人として、また人として、地域の医師や医療・福祉、友人たちやその人に関わる様々な人たちと、同じ目的を持って「連携」することが、1人の患者さんを受け持つ責任と仕事であり、私の好きなことでもあり、やりたいことでもあります。

連携という名の見知らぬ関係ではなく。お互いの職域を互いに守りつつ、黙々とできる範囲のことを全うしつつ。でも積極的にその枠組みを超えて言いたいことを伝えていく。

関わる人の人生を伝える仕事をしていきたいと思います。

1人として同じケースなどない、その人だけの生き方をサポートしていけるように。 

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