恐怖と歓喜、自由と哀切
恒川光太郎氏がデビューして、どこかの媒体に発表したものの、本に収まらず埋もれていた作品と、アンソロジーに収録された作品10編を収めた単行本を読み終えました。
異才が10年の間に書き紡いだ、危うい魅力に満ちた10の白昼夢。人間の身体を侵食していく植物が町を覆い尽くしたその先とは(「白昼夢の森の少女」)。巨大な船に乗り込んだ者は、歳をとらず、時空を超えて永遠に旅をするという(「銀の船」)。この作家の想像力に限界は無い。恐怖と歓喜、自由と哀切―小説の魅力が詰まった傑作短編集。 (