音楽の聞き方って人によって違うことと、1973年と1976年のどちらの音楽が好きか

※土曜日は読む人が激減することが判明したので個人的な話を。

あなたは映画の話をする友人はいますか? あるいは本の話をする友人はいますか? あるいは音楽の話?

というのは、自分が好きなジャンルであればあるほど、友人とそれについて話すのって難しくないですか?

まずどうして難しいかというと、「お互いのそのジャンルへの知識の量が同じくらいじゃないと話が盛り上がれない」っていうのがあると思います。

あるいは音楽だと、「聞き方が違う」っていうこともあります。

一番新しい音楽を常にチェックしているというタイプと、古いある一時期の一地域の音楽ばかり聞いているというタイプとだと全く話がかみあいません。

あと「価値観」が違うと話が対立するという場合もあります。例えば「商業主義が好きかどうか」とか「インディーズやマイナーであればあるほど価値を感じる人なのか」とか、そういう違いもあります。

 ※

そんなわけで、僕は音楽、好きなのですが、あまり音楽について話す友人がいないんですね。

でも、何人か「この人と音楽の話をしていると楽しい!」っていう人たちがいまして、その人たちの共通しているのは「あるレコードを聞いて、その録音が何年なのか当てられる、あるいは何年か想像するのが好き」っていうことなんです。

例えば1962年にアメリカでジャズ・ミュージシャンが演奏したボサノヴァと、1965年にアメリカでジャズ・ミュージシャンが演奏したボサノヴァって全く別物なくらい「リズム」が違うんです。

あるいは同じミュージシャンでも、みんなやっぱり時代の雰囲気を感じ取って演奏するので、例えば1960年代後半と1970年になってからは微妙に違うんです。例えば1969年だとサイケデリックな感じだけど、1972年だと妙に自然回帰みたいな感じがあったりするんです。

そういう「世界の音楽の流れ」みたいなものを把握していて、「これは1967年の録音じゃないかなあ。だってこれビートルズのエリナー・リグビーをやっているし、ストリングスのアレンジがクラウス・オガーマンでしょ」とかなんとかいう会話が僕はすごく好きなんですね。

 ※

それで先日、ボサノヴァ歌手の山本のりこさんと話していて、「1973年の音楽と1976年の音楽のどっちが好きか」っていう話になったんですね。

これ、難しいんです。例えば1973年ってこんな感じなんです。

で、1976年ってこうなんです。

違いますよね。1973年が内省的で、1976年はまとまっていると言いますか完成度が高いんです。わかりやすく言いますと、1973年は芥川賞で1976年は直木賞なんです。

 ※

それでしばらく悩みまして、僕は今は1976年かなあ、若い頃は1973年の方が好きだったけどなあ、こういうのって聞く側の自分の年齢も関係があるんだろうなあ、とか思う47歳の初夏です。

#コラム #音楽

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この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています(大したこと書いてません)。今日は「妻に税金のことを言われ」です。

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