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#45 にっぽんのしんぽとちょうわ

 北の丸公園にある科学技術館にいってきた。前に行ったのは小学生の時なので、30年以上前ということになる。実は北海道にもディズニーシーにも行ったことがあるのだが、行ったのは高校の修学旅行なのでうすら25年前だ。ディズニーシーも出来たばっかりだったからうすら20年前だ。20年だの25年前から現地の情報が更新されていないものを「行った」面していいものだろうか。同じものとして扱ってイイわけがない。

 科学技術館というのはあたくしめにとってゲラゲラ笑える場所の記憶がある。歪んだ鏡がいくつもおいてあって自分の体が歪んで映るのを見てゲラゲラ笑ったり、高圧放電を見て「すげー!」と興奮したり、簡単なスポーツ測定みたいなのが出来て、設定の無茶苦茶な垂直跳びでえらい記録を出してみたり。それが今度は自分が息子を連れていくことになった。今回行ったのは4月6日。息子の小学校が始業式で、9時30分に開放されて帰ってくる。つまり「この後は入学式だからおめぇらみてえな在校生の面倒は見てられねぇマジ勘弁」ということである――知らんけど。

 竹橋から「こんなに歩いたっけ?」と思う頃に建物につき、薄汚れた(失礼!)外壁に記憶を掘り起こされながらエントランス。この壁のメイプルリーフみたいな穴には見覚えがある。六角形の直線が凹んだみたいな。受付で「今日、学校はどうしたの?」などと聞かれながら中へ。外装も内装も、基本的な建物の作りは往時と変わっていないようだ。

 平日ではあるのだが想像した以上に人が入っている。多くは小学生だが、これは科学技術館が好きで好きでしょうがねえ小学生であろうか。ごくまれに学習活動みたいな集団行動をしている小学生も見える。地方の子だろうか。館内にはいくつもアトラクションが用意されていて、もっと自由自在に遊べるものだと思っていたが、この時間でも人気の部署では列ができている。これ、土日に来ていたらのんびり楽しむどころではないかもしれない。

 あれ、と思ったのは、それぞれのアトラクションは想像以上に各種業界からの提供で成り立っているところだ。電力、自動車、鉄工業、医療品など――それぞれの業界から最新の技術を紹介する名目でコンテンツが寄付されている。「ガソリン車とハイブリット車、地球に優しい走りをするにはどうしたらいいかな?」とか「原子力発電の仕組み」とか。そりゃあ「科学技術館」だからな、という一方、そんなんだっけという感じはする。各種業界の協賛がなければこの建物自体が成り立たんのかも知らんが、もっと他になんかこう、「見世物」としてもっとワクワクするようなところではなかったかしらん。確かあったはづなんだよ。ボタンを押すとバリバリ放電してくれるでっかいロボットとか。知覚心理学入門みたいな実験をしてくれるおじさんがいたりとか。

 というところでふと思い出した。カメラ・オブスクラだ。「カメラ・オブスクラ(Wikipedia)」、詳細はwikipediaを観てもらったらいいのではあるが、いわゆるカメラの先祖みたいなもので、こういう現代技術の先祖を紹介する、みたいなコーナーがかつてはあったはづなのだ。というのも、その小学生に見たときの「カメラ・オブスクラ」、それから15年位して通うことになるスットコ美大の「芸術心理学」の講義でまた相まみえるからである。金子先生、wikipediaを見たらまだご存命のようでス。向こうは覚えちゃいまいが……。

 話が脱線してしまったが、息子はバイクやスポーツカーのシミュレーターがずいぶん御気に召していた。もうそれは「おもしれーなーゲラゲラ」というよりも「これだけのでかい機体のゲームが出来て楽しい」なんであるが。まぁ何が興味の入口になるかわからないので、それはそれで良いとしよう。が、記憶よりもずっともっと、真面目せちがらいのであった。あとでwikipediaをざっと来歴を見たが、当時から結構各種業界が最新技術を提供することで成り立っていたことがわかる。いや、それにしてもよ、それにしても、もっと科学原理そのものを感覚的な、生理的な楽しさからアプローチする場所だったんじゃないかなぁ、という気はするのだ。まぁいうても、当方も30年のブランクがありますので。それはもう埋めようがありませんので。

 といった具合であったのだが、最後にちょっと感動する部分があったので紹介して終わっていくことにする。さすがに昼をまたいだので飯を食うことにしたのだが、

このゴシック体。なんの衒いもない、ここはレストランだ。

 すげーーーー! ここだけ佇まいが昭和だ。感動する!
 冷やしたぬきおいしゅうございました。こういうところでも最近は麺がちゃんとしていて、実にうまい。

 帰りは武道館で行われている東洋大の入学式を横目に九段下から帰った。日本の進歩と調和、若者たちよ頼んだよおッ、と取ってつけたようにタイトルに絡ませて本稿、終わり。

みなさんのおかげでまいばすのちくわや食パンに30%OFFのシールが付いているかいないかを気にせずに生きていくことができるかもしれません。よろしくお願いいたします。