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10年前の手紙

我らがビー研(もはやお馴染みの方も多いと思うが、僕が大学時代に所属していたサークル、ビートルズ研究会のこと)の同期は、長らく5人としていた。
男子4人、女子1人の同期たち。LINEのグループ名は10年以上『ビー研四年』のままである。
卒業後も僕らはそれぞれ激動(?)の人生を歩みながら、時々飲みに行ったり、メンバーの結婚式があれば全員で駆けつけ、メンバーの親族の葬式があればそれにも参列した。
最近は2週間に1度のペースでみんなと通話している。

実はもう1人いた。
在学中、なんとなく疎遠になってしまった女の子。
当時、メンバーの1人がカナダに留学しており、みんなで手紙を書いてやろうという事になった。その時もらった手紙が出てきたと、先日画像が共有された。
「話したいこといっぱいある〜」「就活やってなくてヤベー」
その文字と言葉遣いだけでその子を思い出した。新幹線のようにスピーディに生きていた彼女。みんな彼女に会いたくなった。
10年前の古い手紙が、誰かを新たな行動に駆り立てた。
凄いことだと思った。

手紙なんて、そして絆なんてこんなもんだ。
僕や他の連中は「そっちでも元気で」とか「無事に帰ってきてね」とか、お堅いご挨拶が多かった。でも友達からの手紙で1番嬉しいのってやっぱり、その相変わらずな姿が見えることじゃないか。確かにそうだ。「思いやりを持たなきゃ」とか、んなこたぁ考えなくていいのだ。“相変わらず”であれば良いのだ。
僕は10年前の彼女にそう教わった気がした。

という事で、今そのLINEグループは10年ぶりに6人になった。
最初に連絡を取った時、矢継ぎ早に質問された。
「久しぶり!元気にしてる?」
「みんな何してんの?」
「いつ会う?土日?しごおわ?」
相変わらずだった。そんな彼女は12月に母親になるそうだ。

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