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【為替の謎】

最近、円安により輸出スクラップが高値で落札されたと記事があった。この為替の解釈はまだよくわかっておらず、それほど簡単なものではないというのが認識である。要するに今回については、日本円で高い値段をつけたとしても、ここでは基軸通貨のドルで取引されるとして、日本円が安いから外国の少ない貨幣でも買えるということである。

実際には、通貨は為替によりその国の物の価値を表すから、本当は、そのスクラップの製品の質は低いとみなされることもあると思うが、そこまで話を入れると難しくなってしまうので、その話は除外したほうがいいかもしれない。

今までのその、円安だと日本から輸出する人はどうして儲かるのかという疑問については、日本の車を輸出する時に円安だとなぜ日本の自動車メーカーは儲かるかということを考えてみるとわかりやすいかもしれない。

一つの考え方としては、日本円で同価格で売られていても、外国の人ははドルで支払うから、円安だと価値の高いドルが得られるから儲かるという考え方。

もう一つは、相対的に、外国の人からすると、同じドルを持っていても、円安だから日本の自動車が安く感じられ、より多く購入されるという考え方。

今まで、どういった理屈で、円安だと儲かるのかということははっきりわかっていなかったし、今もあまりしっくりきていないというのが正直なところである。円が安いということは日本の商品の価値が小さくなっているということもやはり前提に入れないといけないのだろうか。

冒頭のスクラップの話を見る限りでは、円安であるから、価格を高くしても売れるという要因があるのは見逃せないところである。その前提には、日本から輸出されるスクラップの質が外国のスクラップと同等の質以上または、外国のスクラップの価格以下であるということが必要であるに違いない。

もう一つ別の違った視点で、円高の時にアメリカに旅行に行きやすいということを考えてみるとわかりやすいかもしれない。円高であれば、アメリカへのホテルなども安いと感じられるので、行きやすいということである。そこで、ここでポイントなのは、アメリカにとってはこの場合、日本の円安とは反対に先のドル安ということになるのだが、ホテルの料金は日本の旅行者向けだけでなく、アメリカ在住者に対する価格でもあるから、むやみにドル安だからと言って値段は上げられないのである。

ここで、もし日本の渡航者のみに対して、ドル安だからということで、料金を上げれば、これは今、日本で議論されている、公共交通機関や宿泊施設などを渡航者に対して二重価格を設け高くするということであり、これは冒頭のスクラップ価格の話と同じことではないかと思ったのであった。要するに国内向けの価格は変えられないのだけれども、スクラップの輸出入札は別価格として、円安だから価格を上げられるということである。

同じように、今現在、日本のホテル価格は日本在住者にとっても価格が高いと言われ、その国内向け価格も、円安を利用して外国旅行者向けに合わせてしまっていて、日本在住者にとっては不便になっているということではないだろうか。だから、本当は日本在住者に対しては、価格を下げた方がいいということが求められている。

だから、円安でもそのまま国内向けの価格として安くしておけば、量が増えてより価値のある強いドルが得られ、それを日本円に変えると多く還元される、高くすれば量が減るのだけども、売れれば外国の人が払うためのドルが増えて、これも儲かるということなのだと思われる。

話が戻り、先の円高の時にアメリカで安い物を買ったとすると、得をした気分になるのだが、実際には価値のある日本円を失って、日本の良い物を得る機会を失っているということでもあるから、得をしていないのかもしれないのである。

だから、今円安で海外に行きにくいのかもしれないが、実際には、外国の物やサービスの価値が上がっているから、本当は、日本で使うお金以上のものが、すなわち、円高の時よりもアメリカでよりよい物やサービスが得られるという対価があるのかもしれない。貯蓄が賛美される教育を受けてきた日本人は、物やサービスで得られることよりも、お金に価値を置きがちであるということもあるのかもしれない。

とは言っても、円安ドル高の今、いかにアメリカの物やサービスの価値があるからと言って、供給体制や好みの問題など様々な要因が絡んでくるが、アメリカの食事が日本よりおいしいとはなかなか言い難い。通貨はその通貨が買える全ての物やサービスの価値の尺度の機能があるが、全ての物やサービスが海外と比較しながら適正に評価されているわけではない。しかし、評価された価格も結果として一つの事実なのだろう。

まぁ、自分がアメリカで最後に食事をしたの9年前であるから、このインフレで食事が日本よりおししくなっている可能性もゼロではないが、まずそれはないだろうと思う。そういう意味では、日本の食事というのはUndervaluedされており、現在の日本の株価のように今後価値が上がっていくものなのかもしれないが、食事はなにせ、距離的なアクセスの問題があるから株と同じ扱いにはならないだろう。

よって、通貨にしても、物にしても本来の正確な価値を表すということは難しい話であるから、どこかで誤差が生まれ、利益を得る人や損をする人が現れるのだろう。株のように安く買って高く売ることができる人のように、その物や通貨を保持した人がそれらの物の価値が将来的に上がれば、儲かるだろうし結果論が、話の根本のところなのだろうと自分の中で結論づけたところであった。

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