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同居人と濃密な会話はイギリスに来て以来1番嬉しい出来事かもしれない

日が暮れるのが早くなったChippong Nortonの夕焼けはいつ見ても綺麗

16:30に仕事を終えいつものようにウィルと一緒に帰ると

タバコちょうだい
その後にかなり大事な話がある
まずは紅茶を入れてからだ

とやけに準備を整える

ソファに座るとおもむろに

この説明が理解できないかもしれないけど、とりあえず全部話すわ

と始める

実は仕事を辞めて1年間アルゼンチンに行く事が決まっているからこの家を去る
家の事前退去報告が3ヶ月前で、仕事が1ヶ月前だから
今から大家に電話して、明日マネージャーに言うつもりだ
タカが来る前からずっと考えていたことで、スペイン語を勉強していた理由はこれ
30歳になって独身の今、もう1つ何かしたいと思って既に航空券も取った

と伝えられ、1時間くらい話し込んだ

もちろん嬉しかったのはウィルが去るからではない
むしろ1週間ホリデーでいないだけで私生活が少し貧しくなるほどだ

ウィルは説明を始めた時、少し唇が震えていたし、

今まで黙っていた事を少し申し訳ないと思う
3ヶ月はここにいるから、今すぐ何かを心配する必要はない
家のことは大家にも社長にも俺から相談するし、もし契約やお金の関係でこの家に残れなかったとしても、新しい家探しは手伝うよ
クリスマスから彼女が来るって言ってたから、どうしようかと不安になっていたよ

といった言葉からもウィルの優しさは伝わる

1/11にこの家に転がり込んで次の日から仕事を始め、8ヶ月同じ職場、同じ家で一緒に過ごしてきたわけだが、見ず知らずの日本人を受け入れてくれる許容から既にウィルの器の大きさは感じていたものの、本当に心の優しい男なんだと改めて感じたし、ウィルなしでは私のイギリス生活は何も始まっていなかったに違いない

今だに英語が上手く聞き取れないので、何を言っているのかは理解できているわけではないが、その表情や一緒に過ごしてきた時間、ウィルの性格から120%の気持ちを汲み取れた事がイギリスに来て以来1番嬉しい出来事になったかもしれない


2024.09.17

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