マーベルズ

MCUでは前作『キャプテン・マーベル』が好きで、Ms.マーベルもコミック、ドラマもチェックして、2人のチームアップを楽しみにしていた。本作は公開が待ちきれず、初日に鑑賞。

とにかくモニカを含めた3人の「マーベルズ」のやり取りが楽しい。最初のアクションでの、ジャンプを利用した「宇宙空間と家」の戦いの場所のギャップが笑えるし、入れ替えを想定したNG集のような戦闘練習など、今までのスーパヒーローにはないチームワークを見せてくれるのも斬新。

途中ミュージカルなども入って、全体トーンとしては明るいのだが、そのバランスには見合わないくらいキャプテンが闇を抱えていた。前作の後キャロルはクリーに干渉した結果、内戦を招き、国を破滅に追いやるという「罪」を背負ってしまったのだ。これは、『ザ・スーサイド・スクワッド』のようにアメリカが近年ニカラグアやパナマにやってきたことのメタファーと思われ、ガザの過去と現在を見るとまさにぴったりのタイミングと言える。今回の敵ダー・ベンはその被害者であるので、一方的にマーベルズには肩入れできないというヒーロー映画としての歯痒さは残る(単純にペガッサ星人やジャミラを倒せ!とならないのと同じ)。
そこまでは制作側の狙いということで納得するのだが、今回、ダー・ベンに攻撃された避難キャンプのスクラル人を脱出させる際、船に乗り切れないスクラル人をキャロルはあっさり見捨てる。しかもその後この件はスルー。前作ではそんな気配はなかったのに、社長並のダークヒーローではないか。しかも社長ですらシビルウォーではしでかしたことを悩んでいたのに。この変貌について、キャロルを単純に憧れの存在として見ていたカマラはどう思ったのか。その辺もう少し描いてくれたら物語に深みが出たのではないか。

後もう一つ。最後の、仲間の誰かが状況を救うためにその場に残る、そこで別れの愁嘆場というテンプレ展開は、『ザ・クリエイター』でも見たし、もちっと工夫が欲しいところ。

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