シン・ちむどんどん

ダースレイダー、プチ鹿島監督・主演のドキュメンタリー第2弾。前作『劇場版センキョナンデス』の公開が今年2月、そのわずか半年後に、第2弾が出るなんて誰も予想だにしなかったのでは。いや、YouTube番組『ヒルカラナンデス(仮)』の視聴者「ヒルマニア」は、昨年に沖縄を取材した配信「沖縄ナンデス」が素材としてあるのは知ってはいた。が、このスピードでの公開は意表をつかれた。今回は、沖縄知事選から間が空いてしまうことを懸念して、劇場をおさえるよりも配信優先で…ということらしい。それに、知事選の後に辺野古の座り込みをよく知らないインフルエンサーがちゃかしたツイートに20万いいねがついたという事件があったことも影響しているはず。東京でも劇場公開は始まっているが、配信で先に観たのでその感想を挙げていく。

ということで、素材は既視感があった。この作品のハイライトとも言える、ダースさんの辺野古でのラップも、聴いてはいたもの。ただ、何度観てもいいものはいい。今回タイトルのもとになっている、朝ドラ『ちむどんどん』に対するインタビューもそう。ただ、実は、配信後に追加取材がされて、それが映画の後半の内容になっていた。取材は、基地反対を中心とした歴史を裏付けとともに振り返るという構成になっていた。丁寧にファクトを並べていく姿勢が、よく調べもせずに「座りこみいない」とツイートした某とそれにいいねした人たちへのアンサーとなっており、そこが今作をドキュメンタリーらしいドキュメンタリーにしていると思った。

個人的な話になるが、沖縄戦の実態やコザ暴動などの沖縄の歴史について、やまとんちゅにいた頃はまったく教えられず、沖縄に行ってはじめて知ることが多かった。やまとんちゅでは圧倒的に情報量が少ないことを実感する。本作は、そんな我々への、ベストな沖縄ガイドとなっている。しかも、ただ真面目に取材するだけなら、他のドキュメンタリーと変わらない。それを面白くやってくれるのがこの監督コンビなのである。これは本当に、先の20万「いいね」した人たちに観てほしいと切に思う。

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