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日本人は本当に特別勤勉なのか

 先日に続いてカナダにワーキングホリデイに短期で滞在する若者についてのお話。
 ワーキングホリデイプログラムというのはカナダと日本の20〜30歳の若者に文化交流を促すために、お互いの国へ1年間のオープンビザを発給する制度である。オープンビザというのはつまり、何でもビザで働くことも学校に行くことも、ただ1年中遊びまくるのも自由なビザである。カナダ・日本間だけでなくニュージーランドや韓国など多くの国がこのプログラムに参加している。

 1年間カナダでワーキングホリデイを終えた人と話しているとよく聞くのが残念ながらカナダ人の悪口である。
「金使いがおかしい、時間を守らない、時間どころか気まぐれで出社しない、仕事を真面目にしない、一緒にルームシェアすると汚すぎてもう一緒に住みたくない・・・」
 もう言いたい放題の人を多く見かける。

 いつも感じることだが、これらの意見は大きな勘違いである。
 そもそもカナダはすごい国である。人口3400万人しかいないのに先進国首脳会議には必ず登場し、航空産業はアメリカ、イギリス・フランスに次いで世界4位。スマホの先駆けであるブラックベリーや現在世界的IT企業であるスポティファイもカナダ企業。日本でもCMで目にするスラックもカナダ人起業。ファッション界でカナダグースやルールーレモンなど世界を席巻するブランドが目白押しである。
 そんな国の労働者がだらしなくて働かないわけがない。

 それではなぜにワーキングホリデイを体験した若者にとってカナダ人の評価が低いのか?答えは簡単である。働く環境のレベルが低いのである。
 カナダは移民の国だ。どれぐらい移民の国かというと、労働人口の6割がカナダ生まれではないと言われている。つまりカナダの世で働いている人の6割がカナダ以外の国で生まれているのである。
 小さい頃からカナダに住んでいれば英語を始めとするカナダの環境に馴染み学力も意識も高く大学への進学率も高い。
 しかしながらインターナショナルスクールを出たワケでもないフツーの20歳の日本の若者がカナダに来ればかなり州就職先が限定される。
 私が住むバンフを例に取ると、英語が不自由な場合、ハウスキーピングや飲食店のディッシュウォッシャー(皿洗い)小売店のレジなどが主な就職先となる。英語に全く自信がない人は日本人が経営する料理店やお土産屋さんに職を求める人も多い。
 そしてこれらの職業は通常最低時給から始まる。優秀なカナダ人は最低時給では働かないので、結果周りは質の悪い労働者ばかりとなる。これがワーキングホリデイ経験者のカナダ人評価が低い理由である。
 ちなみにカナダは移民や外国人労働者が多いので賃金が安い職種になればなるほど職場のカナダ人率が低くなる。カナダ人環境で働きたいと思って日系企業を避けても低賃金の職場ではカナダ人が皆無で外国人だらけという結果になる。

 今回は北米生活に憧れる人には厳しい話を書いてしまったが、英語が全てでは無いこともお知らせしたいと思う。
 英語を話せなくてもカナダで成功している日本人も多々存在する。その一方、英語はペラペラだが仕事のできない日本人もいる。俗にいう「英ペラのバカ」である。
 英語がペラペラになれば、一気に世界が広がると思っている学生も多いがそうでもない。
 英語と日本語が堪能は人はいくらでもいる。日本人の両親を持つ2世の子供達は日本語ペラペラ漢字もスラスラな人も多いが彼が特に金持ちになっているかといえばそうでも無い気がする。
 カナダで成功する鍵はなにかといえば答えは分からない。英語は大きな要素ではあるが、成功の鍵ではないことは確かである。そして、もちろん出身国は関係ない。
 

 



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