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くるり『天才の愛』を聴く 革新の大衆アルバム

くるりはいつも新しいことをやっていますが、「自分たちがやってきたこと」を踏襲して新しさを開拓していると思います。どんどんマップが広がっているのです。メロディ・コード・歌詞・リズムパターンといったものは、曲のアイデンティティとして重要な部分であることは間違いないと思いますが、それらの外側の範疇にまで心血を注いだ高みがこの『天才の愛』には表れているのだと思います。「天才」は「革新性」の象徴。「愛」は「大衆性」や「普遍性」との接点。『益荒男さん』はそのバランス感覚に特に優れた1曲だと思いますが、アルバム全体がその主題のもとに統率されていると思います。『天才の愛』は、変態の楽しみをシェアする革新の大衆アルバムです。

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