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2021年8月の記事一覧
久保田早紀『異邦人 -シルクロードのテーマ-』行きずりの哀しみ
編曲の妙にうなりました。コード進行もめまぐるしく、異国の見慣れない風景に目を丸くするばかり……といった状況に重なって思えます。久保田早紀の歌声のキャラクターも絶妙です。飄々として迎合しないところが曲想の孤独を高めます。音楽も詩情も高潔な絹のよう。永遠に味がつづくガムみたいなデビューシングル。
https://bandshijin.com/ihoujin/
カバーしたい歌 1年間で365曲カバーした話
のらりくらり1年。音楽の語彙が増えました。枠や質量を観察すると、ポップソングも決して得体の知れない魔法ではないと思えます。広い視野と鋭い深さをもって、私自身にとって、あなたにとってのカバーしたい歌を生み出し続けたい。
さとうきび畑 “ざわわ”に込めた悲しみのリフレイン
鑑賞する、関連記事から知識を得るなどする都度、何度でも涙がにじんできます。“この悲しみは消えない”の通り。風の音、“ざわわ”がずっとリフレイン。時間の隔たりを増すばかりの史実。舞台は島でも、現実と地続きの歌。
岩崎宏美『ロマンス』 恋のソワソワに添う妙構成
若い主人公の恋愛のソワソワを表すかのような構成です。演奏がいきいきとする編曲だといえるし、演奏者の技量がそれに応えています。精神の成熟によって感じるそれは、恋愛、あるいは性愛。作詞:阿久悠、作曲:筒美京平。
『世界の約束』別れの向こう側
別れの歌なのかなと思いました。何を見ても、あなたと結びつけ、想像する私。風に、せせらぎに、空に、花のにおいに。『ハウルの動く城』エンディング版で『人生のメリーゴーランド』につづきます。輪廻をおもわせる3拍子。
島倉千代子『愛のさざなみ』のアゲのオチ 浜口庫之助のメロディ、なかにし礼の歌詞のロマン
さざなみに似て上下する浜口庫之助メロディ、ささやかな食いのリズム・弱起モチーフ。なかにし礼の歌詞のロマン。島倉千代子の声の機微。演奏の妙はボビー・サマーズと彼のグループ。
奥田民生『息子』 親の祈り、紺碧のあれこれ
べっぴんさんにホレられることだけはしっかりやりなさいとは、抽象的に大人の素養を網羅した絶妙な助言では。調をうろつくモヤモヤ感、中間声域を漂うボーカル。あれやこれやがあって、空は紺碧。澄んでもいるし、濁っている。
童謡 『サッちゃん』の喪失
主人公の関心事はサッちゃんの転居か。1・2番はサッちゃんの人柄の前フリ。3番で漏れ出た哀愁の秘密が判明。ペンタトニック・スケールにはそもそも哀愁を感じさせる不完全さがあります。ずっとつらつらと夢(おとぎ話)を見ているみたいな音階。