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2021年6月の記事一覧
Don’t Look Back in Anger 私室からの革命
シンプルかつビターの効いたコードの采配の妙。ひといきに吹くような符割は細かく真似がむつかしくもある。ベッドからはじまるものを思う。何事も、矮小な思念からではないか。そこに感動します。
Mr.Children『ニシエヒガシエ』 音楽の仕掛け、攻めの響き
昔から好きな曲でした。あらためてギミックをみてみる。気持ちよく刺さります。精度ある曲ですがユルいパロディモチーフのMVがヘンテコ。ライブではなおテンション高し。音楽、言葉、パフォーマンス各面での攻め曲。
ウルフルズ『いい女』 スロット・フェイスのスリー・コード
“長いこと待った甲斐があった”のたった1ラインでふたりの関係の奥行きが見える歌い出し。ザ・シンプルのスリーコードですが回し方がうまい! 小節ごとに違うフェイスです。熱く切実。1拍3連の重みをむしろエネルギーに。オラ感とナヨ感の奇跡の同居。昔から大好きな曲。
You’ve Got a Friend 心の部屋のアンビエンス
短和音、4和音づかいによる繊細な心象表現が秀逸。コーラスのシンプルなダイアトニックが引き立ちます。ピアノのルームアンビエントがパーソナル。弦も生々しく録れています。
Scarborough Fair スカボロー・フェア 新陳代謝する時代超越ソング
曲の半生が果てしない。メロディの旋法も気になる。サイモン&ガーファンクルの美ハモ・アレンジの功。いったい何人の遺伝子の入った歌なのか。ロマンすげ。今も鮮やかに目の前で息をしているような歌。
埴生の宿 Home! Sweet Home! 豊かさの面歌
ビショップ作曲のオペラ(ミラノの乙女クラリ)が元。『ビルマの竪琴』で両軍がこの歌をするシーンがあるそう。競争に勝ち、頂点に立つのが豊かさなのか? 土の壁が剥き出した家の窓から見る空も、その美しさは変わらない。
Annie Laurie アニー・ローリー 愛の波浪
感情の波がひいては押し寄せるみたいなメロディ音形の前半。続く8〜9小節目からは対照的な音形。詩がうまれてから曲がつくまでですでに100年超、今日の私に届くまでに300年超。悲恋は時代も地域も超えて、恋の成就以上をもたらした?
若者たち ザ・ブロードサイド・フォー 1オクターブの闊歩
恋したり青春したり涙したりヘトヘトになったりして感情をいっぱいに動かしている若者本人ではなく、客観する平静な歌唱です。彼らを見守り、そのありのままを紡ぐ永遠の吟遊詩人みたいでもあります。ああ素敵。
Oh, Pretty Woman ロイ・オービソン 深淵なる偶数音節
Ⅲ♭調との間の転調とか、循環or逆循環の4度反復とか、ドミナントの超拡大とか。ロイ・オービソンの音楽遺伝子にはクラシックが刷り込まれてるのかな。ただの色恋ソングじゃないですよ、コレ。
You Are My Sunshine キナ・グラニスの構成の妙
爽やかで明るいイメージでしたが、ちょっと影がある感じも。有名な歌い出しは実は2コーラス目でした。以後のコーラスの歌詞は意外と湿っぽくネチっこいのも意外。数多のカバーは構成もみどころです。
Love Me Tender エルヴィス・プレスリー 濃厚な愛のかけひき
1935年生まれのエルヴィスはこの曲のシングル発売年(1956)のとき21歳くらいか。歌詞はもちろん、メロディなどのモチーフにネットリとした愛のかけひきを感じます。濃厚!
Jealous Guy(ジェラス・ガイ) ジョン・レノン マイナー・シックスの不穏 はみ出す心の増音程
マイナー・シックスのコードの増音程の不穏な響きに、主題『Jealous Guy』が遺憾無く表現されているように思います。曲を聴いていないときでも、あの響きがずっと私の胸にこだまする。
Can’t Take My Eyes Off You フランキー・ヴァリ 君の瞳に恋してる 罪な和音・進行、ボーカルのラウドネス
何かとメディアでかかるのはほとんどBoy Town Gangのカバー。そのイメージを塗り替えたのが椎名林檎。ご本家をちゃんと鑑賞したらフランキー・ヴァリの歌唱にヤられました。ホットに歪んだサウンドはアナログの肌触り。和音・進行も良し。