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そよろそよ風

「子供盆踊り歌」

 坪松一郎作詞・山本雅之作曲 

そよろそよ風 牧場に街に
吹けばちらちら 灯がともる
赤くほんのり 灯がともる 
ほら 灯がともる
シャンコ シャンコ シャンコ
シャシャンがシャン
手びょうし そろえて 
シャシャンがシャン

笛も流れる 太鼓もひびく
風が流れる 中空に
手びょうし そろえて ほらまわれ 
ほらまわれ
シャンコ シャンコ シャンコ
シャシャンがシャン
手びょうし そろえて 
シャシャンがシャン 

そろたそろたよ どの子もそろた
そろてうたえば 月が出る
海の上から 月が出る 
ほら月が出る
シャンコ シャンコ シャンコ
シャシャンがシャン
手びょうし そろえて
シャシャンがシャン

北海道の盆踊り

 僕の知っている盆踊りは、夕方の少し早い時間に「子どもの部」が始まり、その後に「大人の部」が始まることになっています。「子どもの部」が終わると、子どもたちにはお菓子などの参加賞が配られます。大人の部でも、「審査」があって、様々な工夫を凝らした仮装があったりして、優秀なグループや個人に豪華商品が渡されたりします。

 この2部構成の盆踊り大会は、日本のどこでもそうなのでしょうか。ちなみに全国的な盆踊りの定番曲は、「東京音頭」「花笠音頭」「炭抗節」「河内音頭」等だそうです。子どもが踊るのなら「ドラえもん音頭」「アンパンマン音頭」「ポケモン音頭」等なのだそうです。

 さて、北海道の盆踊り「子どもの部」は、「子供盆おどり唄」で踊ります。これ以外の曲を聞いたことがありません。「大人の部」では「北海盆唄」で踊るのが一般的です。遠軽の盆踊りでは、生歌・生演奏の「北海盆唄」で踊ります。どちらの曲も、北海道独自の曲なので、北海道以外の盆踊り会場でこれらの曲を聞くことは、まず無いのだそうです。

 「子供盆おどり唄」は、大人の盆踊りに子供が加わることは好ましくない、という考えから北海道教育委員会社会教育主事藤沢武夫(1912-1990)氏が依頼して作られた曲です。作詞は坪松一郎氏(江別の教諭・校長1910-1969)、作曲は「森の小人(森の木陰で どんじゃらほい)」で知られる山本雅之氏(1909-20・・)です。そして北海道出身の舞踏研究家、睦哲也(1911-1990)氏が振付けました。

 レコード(歌:持田ヨシ子とキング児童合唱団)は、昭和27年に発売されました。一時期、「シャンコ」というお囃子が「チャンコ」に変えられ、歌詞も八番まで増やされたこともありましたが、現在では原曲どおりに戻されています。この「シャンコ」というお囃子は、馬がそりを引いて雪道を走るときに聞こえてくる馬の首鈴の音をイメージしたものだと言われています。  

 ちなみに「北海盆唄」の原曲は、幾春別炭鉱で歌われていた「ベッチョ踊り」を「炭抗盆踊り唄」のタイトルで再構成した曲で、1954年に「北海炭抗節」としてレコード化、その後1957年には「北海盆唄(ちゃんこ節)」、1958年に三橋美智也の歌で「北海盆唄」として全国的に知られる民謡となりました。


http://www.city.sapporo.jp/bunkashiryo/sodanshitsu/bon-odori.html (リンク切れ)

 北海道の夏は短く、子どもたちの夏休みもお盆を過ぎるとすぐ終わってしまいます。そんな夏休みも終盤の夕暮れ、どこからともなく聞きなれたお囃子(おはやし)が聞こえてきます。短い夏を締めくくる「盆おどり」です。わたしの子供の頃、このお囃子が聞こえてくると夏の終わりと夏休みの終わりを感じ、たまった宿題などに思いを馳せたものですが、大人になってからもこの唄は夏の楽しさと哀愁の両方を感じるのは私だけでしょうか。
 今年も盆おどりが開催されておりました。職場や家の近所の公園から、盆おどりのお囃子が聞こえてきます。なつかしい「シャンコ、シャンコ…」というメロディです。それを聞いていてフト思いました。私の子供の頃から25年以上経っている今でも、同じメロディ、唄。いったいいつからこの唄は流れているのだろうかと。

 さっそく調べてみました。『子供盆おどり唄』は北海道教育委員会の依頼を受けて、作詞・坪松一郎、作曲・山本雅之、そして振付・睦哲也により作られたもので、昭和27年にレコードが全国で発売されました。それから50年以上にわたって親しまれているわけですが、一時期、 「シャンコ…」というお囃子が「チャンコ…」に変えられるなど歌詞が改変され、三番までの歌詞が八番まで増やされたこともあったそうです。この改変は、著作権(同一性保持権)に関わるものとなり、現在では原曲どおりに戻されています。なお、昭和27年に出された貴重な初版レコードは、新冠町の「レ・コード館」に全国で1枚だけ保存されているということでした。

 また、 わざわざ子供向けの盆踊りが作られるようになった背景を探ってみると、大人の盆踊りに子供が加わることは好ましくない、という考え方の変化があったようです。そういえば、『北海盆歌』というのは、元来は「大人の世界」としての要素が強かったそうですし、現在の格調高い『北海盆歌』も違った意味で大人の雰囲気を醸し出し、子どもの時間と大人の時間とが厳然と分けられていることも感じ取られるのではないでしょうか。もっとも、近年は、小さい子でも夜遅くまで外を歩いているのが珍しくなくなってきていますが…

 北国の風物詩『子供盆おどり』。あどけない手振り身振りの子どもらに親も大人も入りまじって思い思いに踊る。道内のあらゆる地域で太鼓や笛の音とともになつかしいメロディーにのって唄声がひびき軽快な踊りの輪がひろがっていく。よさこいソーランとはまた違った誰でも気軽に参加、見物できる踊りの文化が北海道に半世紀も前から根付いていることを知り、今後も絶えることなく、北海道の文化として大事に次の時代まで伝えていきたいと思いました。

ここまで http://www.city.sapporo.jp/bunkashiryo/sodanshitsu/bon-odori.html (リンク切れ)


ウィキペディア(Wikipedia)より

  • 童謡詩人の坪松一郎が作詞、童謡作曲家の山本雅之が作曲、歌は童謡歌手の持田ヨシ子とキング児童合唱団。1952年(昭和27年)にキングレコードから発売された。

  • 当時の北海道教育委員会が「子供が健全に盆踊りを楽しめるように」と企画・制作した。作詞した坪松一郎は当時教員でもあった。

  • 初版の楽曲名表記は「子供盆おどり唄」であるが、「子供盆おどり歌」または「子供盆踊り歌」という表記でクレジットされているレコードやカセットも存在し、JASRAC登録上も「子供盆踊り歌」となっている。なお、現在入手可能な最新のカセットテープは「子供盆おどり唄」である。

  • 1995年(平成7年)に歌詞が追加改変されたタンポポ児童合唱団によるバージョン(楽曲名表記は『子供盆踊り歌』)が製作された。しかし、歌詞を原作者に無断で改作し、原作の「シャンコ」という歌詞を「チャンコ」に変え、3節までの歌詞を8節まで増やしたことが、著作権上でのクレームになり、2002年(平成14年)に廃盤になった。特に「チャンコ」という語はある地域では猥隠語ということで問題視された。そのため、新バージョンは現在入手困難であり、最初に歌われた持田ヨシ子のバージョンを現在でも使うことがほとんどである。

  • 作詞の坪松一郎の出身地、北海道江別市の野幌グリーンモールに「子供盆おどり唄」の詩碑がある。

  • 北海道の盆踊りが子供と大人の二部制になり、子供用として別の楽曲(子供盆おどり唄)が北海道教育委員会の要請でわざわざ制作されたのも、旧来の北海盆唄(べっちょ節)の歌詞が卑猥であったなどの理由から、子供が大人の盆踊りに参加するのは好ましくないと考えられたためである。ちなみに、踊りの振り付けは(子供盆おどり唄)の方がむしろ複雑である。



http://kodomobonodoriuta.kirara.st/hokkaido/introduce.html

「子供盆おどり唄」は戦後道教委が中心となって子供向けのいい盆踊りの曲はないかということで企画され作られたものです。それ以前は子供たちも大人に混じって踊っていたようですが、あまり芳しくない踊りをしているなどの批判があったかららしいのです。
 「子供盆おどり唄」が出来たのは昭和27年で、坪松一郎作詞、山本雅之作曲、睦哲也の振り付けで世に送り出されました。それ以後は北海道における代表的な子供用の盆踊り用の曲になったのです。また、いまでは北海道の代表的な児童文化財の一つにもなっています。
 「子供盆おどり唄」(JASRAC登録上は「子供盆踊り歌」)は童謡詩人の坪松一郎(昭和44年没)の作詞、童謡作曲家の山本雅之の作曲、歌は童謡歌手の持田ヨシ子とキング児童合唱団です。坪松一郎氏は江別で校長をやっていたときに作詞しています。山本雅之氏はいまだ健在です。
作詞の坪松一郎は江別で育っていて、野幌グリーンモールに「子供盆おどり唄」の詩碑が建立されています。(江別ブランド事典)
 この曲は「シャンコ、シャンコ・・・」という奇抜な歌詞が注目されがちで、歌っている歌手については関心が持たれることはあまりないようです。あるサイトでは、歌い手の持田ヨシ子さんは、自分の高い声が嫌いで、レコードを自分では聞かなかったとあります。現在は九州にいるそうですが、消息は不明だそうです。いまもって北海道で昔と変わらない姿でこの歌が愛されているいことを持田さんはご存知なのでしょうか?
このレコードは一度廃盤になるも、昭和38年7月にキングレコードは販売店からの願いにより再発売し、そして昭和48年にはとうとう全国発売されたのです。最近では2002年にキングレコードからシングルカセットが発売されたのが最後です。
 「子供盆おどり唄」は‘北海道教育委委員会選定’とはなっているが、正式な形で選定されたという記録は残ってはいないようである。それはともかく、子供向けにありがちな教訓めいたり、教育がましいところがないのがいい。とにかく陽性で、とても楽しい歌詞で印象的なメロディが素晴らしいのである。
 最後にお囃子の‘シャンコシャンコ’について触れてみます。
昔の北海道ではよく雪道を馬がそりを引いて走る光景が見られました。昭和20年代まで馬そりは北海道の重要な交通機関として活躍していました。坪松一郎氏がこの曲の作詞をした頃もまだそうであったに違いありません。このお囃子の‘シャンコシャンコ’は馬の首鈴の音をイメージしたものです。こう考えてみるとこの歌は北海道の歌であるこに納得させられます。

ここまで http://kodomobonodoriuta.kirara.st/hokkaido/introduce.html


2008(平成20)年7月10日  
2017(平成29)年7月13日 配布の文章を再構成



      writer Hiraide Hisashi

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