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旅館倒産で考える、コロナ禍での正しい宿経営

今年に入って一軒の旅館の倒産がありました。
倒産とは書いてませんが、実質の倒産で、第二会社方式を採用したんだと思います。

※ 第二会社方式とは、
過剰債務を抱えて経営難に陥っている会社から採算性の良い事業だけを会社分割や事業譲渡によって別会社(第二会社)へ分離することで優良事業の存続を図り、不採算事業・過剰債務とともに残された旧会社を清算などしてしまう事業再生手法です。

旧会社の負債額がウン億円というので、ほとんどの負債(恐らく10億以上あるでしょう)は新会社へ引き継がれてしまい、綺麗な会社に戻らず、今後は返済の重さは変わらず、民事〇〇から〇売りの流れかなと思います。

この宿は以前から興味があって、自分の実家の旅館と同サイズですし、近場に有名旅館があったりして、エキサイティングな仕事になるんだろうなーと思って声掛けを心待ちにしていたんですが、声はかからずでw

現状でしか様子は分かりませんが、こういうケースで色々学びがあります。

今回の倒産劇の原因はざっとこんな感じだと思います。

① コロナに合わせてがっちり個人シフトさせなかった
② コロナ禍に若年層を狙ったマーケティングをしなかった
③ 宿の売りを明確にしなかった
④ 金融機関の言いなりになった

① コロナに合わせてがっちり個人シフトさせなかった
>2020年5月には団体客や訪日客の見込みは薄く、国内個人客シフトを早急に始めるべきだった
② コロナ禍に若年層を狙ったマーケティングをしなかった
>コロナ禍の緊急事態中でも唯一動く客層が若年層だったので、SNSで集客するべきだった
③ 宿の売りを明確にしなかった
>広範囲の良さをアピールするのではなく、単品の良さを強調すべきだった
④ 金融機関の言いなりになった
>債務圧縮が十分にされない場合の経営状況を説明して、新会社の債務を半分に減らすべきだった

今回のような第二会社方式の場合、身内の誰かが新会社の社長として経営するのですが、金融機関から送り込まれた運営支援型のコンサル会社も入って、最終的には転売の流れを取り、創業家が追い出されるのを多く見てきました。

会社経営において一番大切なことは、外部目線だと思います。
どんなスーパー経営者でも人間ですから間違い(失敗)を犯すのです。
その間違いが軽傷ならまだしも、重傷級の怪我を負うと会社は今回のように倒れます。

「もしかしたら正しくないかも」と言える第三者(赤の他人)目線が入ることで、失敗のリスクは大きく減ります。

自分が実家の旅館を経営して倒産して気付いた、最大のポイントはそこです。

私の場合、単価が限界まで下がったリピーター客を全部バッサリ切って、新規客で部屋を埋め尽くすという方針でやって、新規客を大きく増やしましたが、オフ期の部屋は新規客では埋まらなかったです。
信頼のおける誰かから「リピーター客は単価安いし、接客担当者を困らせるし、無理を言うけど、平日を埋めてくれて資金繰りに少しでもプラスになりますよ」と一言もらえたら、震災時にあんなキャンセルの嵐は無かったと思います。

経営を同じ目線で外部から見てくれる第三者の声は、金を払ってでも聞くべきと、その商売をやりつつつくづく思います。

5年前に今回の宿に関わらせてもらったら、東京からわざわざ行く価値のあるバイキング料理を提供して、個性的サービスが売りの宿にして、今頃バリバリに復活してたと思います。

当社では、フードシステムサポート(株)と提携し、過去に何軒もの宿の再生にあたっています。

コロナ禍を2年経過して多くの宿が食事をバイキング形式を採用し、宿のバイキングはどこもありふれたものになっています。当社とFSS社では、なかなか本当に美味しい料理を提供しにくいバイキングを全品手作りで調理するスタイルを宿に落とし込み、オンリーワン化し再生させています。

https://www.youtube.com/watch?v=ezQD-cWqd38

50~70種類もあるバイキング料理を朝夕共に手作りにするというのは、ある意味神業の世界ですが、神業の世界を作ることで、どこにも負けない宿が作られます。

不味いバイキング料理に慣れたお客様が市場に溢れるからこそ、そこに勝機がある。

いつも市場バランスを見つめて、その将来を想像し、穴を見つけて、そこから勝負する。
どんなビジネスでもやり方は一緒です。

当社は、旅館ホテルを中心に経営コンサルティングを行っている株式会社バンディエゴと申します。様々な知見や解決策を過去ブログでご紹介していますので、当社HPもご覧下さい。

コンセプト創研
https://concept-soken.com/

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