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映画「アイアンマン」に登場する金属、パラジウムの秘密に迫る!

 最近、映画「アイアンマン」を観ました。本作では、主人公トニー・スタークが自身の命を救うために「アイアンマン」スーツを開発します。その製造過程で注目される金属が、パラジウムです。

「アイアンマン」スーツの動力源はアークリアクターであり、その中で水素貯蔵金属としてパラジウムが使用されていました。
 ここでは、パラジウムにまつわる興味深い事実を解説します。

パラジウム(Pd)とは?
パラジウム(Paradium)は、元素記号はPdです。金の次に高価な金属であり、希少性が高いレアメタルの一つです。
その化学的な安定性から高温での耐久性が向上し、アーク・リアクターとしての使用に適しています。

用途多彩!
Pdは電子部品や銀歯、ジュエリーなどにも広く使用されていますが、特に触媒としての価値が高いのが特徴です。
例えば、自動車の排ガス浄化に利用される「三元触媒」においても重要な役割を果たしています。

三元触媒・・・自動車の廃ガスに含まれる3種の有害物質(HC、CO、NOx)を浄化する触媒のこと

Wikipedia

水素との相性抜群!
Pdは自身の体積の935倍もの水素を吸収できる水素吸蔵合金としても知られています。
金属結晶の隙間に水素が入り込む特性が、この驚異的な吸蔵能力をもたらしています。※詳しくは、「水素吸蔵合金」で検索してみてください。

マニアックな解説コーナー!

なぜ金属に水素が貯蔵できる?
パラジウムに水素が吸着・脱着するメカニズムは難解なので、詳細は省きますが、主な要因は、Pdは遷移金属の中でも空の5S軌道を有する特有の金属であるから、ということが分かっています。

パラジウムと水素の電子結合!
 具体的には、水素の σ軌道からPd 5s軌道への供与と、Pd 4d軌道から水素の σ*軌道に電子が逆供与される相互作用が起きます。これにより、Pd-H結合が生まれ、水素を取り込むことができるとされています。
(参考文献)中辻博、波田雅彦, Material Japan, 34巻,107 (1995). 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/materia1994/34/2/34_2_106/_pdf

 映画「アイアンマン」で登場する金属、パラジウムの存在は現実でも驚くほど活躍していました。今後も科学を活かした映画や漫画の元ネタを解説していこうと思います。よろしくお願いします。


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