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5つの競争要因

はじめに

今日は、前回記事で触れた5つの競争要因(ファイブフォーシズ・モデル)のうち、新規参入について具体的に論じていこうと思う。

5つの競争要因(ファイブフォーシズ・モデル)概要

マイケル・E・ポーターによって提唱された5つの競争要因は、企業が参入すべき魅力的な市場を発見する際に役立つ分析手法である。

5つの競争要因として、

①新規参入の脅威

②売り手の交渉力

➂買い手の交渉力

④代替製品の脅威

⑤企業間での敵対的競争関係

5つの要因が存在し、企業は参入業界を決定するうえで以上の要因を考慮する必要があるといわれている。

では、それぞれの要因について具体的に見ていこう

①新規参入の脅威

既に特定市場に属している企業は、新規参入を試みる企業に対して警戒感を持つことが多い。というのも、その企業が新たに参入することで、既存の市場シェアが参入企業に奪われる可能性があるためである。

もっとも、市場への新規参入は容易ではない。なぜなら、これから紹介する「7つの参入障壁」と呼ばれるものが市場には存在するからである。

1.規模の経済

2.製品差別化

3.スイッチング・コスト

4.流通チャネルへのアクセス

5.資本の必要性

6.規模とは関係のないコスト面での不利

7.政府の政策

以上の7つの要因によって参入障壁が形成され、新規参入企業はこうした要素を考慮に入れて参入の可否を決定する必要がある。では、この7つの要素について詳しく見ていきたい。

1.規模の経済

経済学を学んだことのある人であれば、目にしたことがあるのではないだろうか。

規模の経済とは、企業の規模が大きくなることで経験効果により、業務効率が改善することにより生じることを指す。

規模の拡大した事業では、規模の経済が生じ、1単位当たりの生産コストが減少する。

新規参入企業は、十分な規模まで事業が拡大していないので、規模の経済を働かせるのは難しい。

2.製品差別化

製品差別化とは、読んで字のごとく、他社の製品と比較した際にその違いがはっきりと分かるように製品に差別化を施すことを指す。

例えば、youtubeとニコニコ動画は、どちらとも動画配信プラットフォームという点では類似したサービスであるが、画面上へのコメント機能などサービスの中身については大きく異なったものであると思う。このように多くのサービスでは、製品差別化が行われているのである。

こうした製品差別化が行われている市場で、新規参入企業が競争優位を築くには、製品価格を下げるか、もしくは革新的な技術で既存市場を破壊するしか方法はない。

3.スイッチング・コスト

スイッチング・コストとは、顧客がそれまで利用してきた製品から他社の製品に乗り換える時に生じるコストである。

スイッチング・コストの低い商品の例にパソコンがある。近年、パソコンの性能面や価格面における違いは小さくなってきており、顧客の持つスイッチング・コストは低くなってきているといえる。

このスイッチング・コストが高ければ高いほど、既存企業は顧客が新規企業の製品・サービスへスイッチすることを防ぐことができるのである。

4.流通チャネルへのアクセス

流通チャネルへのアクセスは、小売業者などの流通チャネルとの関係構築によって参入障壁が形成されることを指す。

一度、流通業者との関係が構築されると、企業はそのチャネルを強化し、効果的に自社製品を市場に流通させようと試みる。こうした関係性が継続するにつれて、流通業者側にもスイッチング・コストが生じ、他社製品を扱う機会を減らすことになる。

新規企業がこの状況を打破するには、流通業者を説得し自社の製品を取り扱ってもらうようにしなければならない。

5.資本の必要性

これも経済学では度々目にするものである。

資本の必要性は、文字通り事業を展開するうえで、企業が投資に利用する資本が必要なことを指す。この投資対象は、初期投資だけでなく、マーケティングや人件費など多岐にわたる。

大規模な初期投資が必要な場合、新規参入業者はその市場に参入するインセンティブを失う。

経済学では、鉄道の例などを用いてこの概念を説明するのが、ここではその説明は割愛する。

6.規模とは関係のないコスト面での不利

その業界で高い実績を残している企業は、新規参入企業が模倣するのが困難なコスト面での優位性を持っている。

例えば、独占的な技術や事業を運営する上で有利になる立地などである。

独占的な技術とは、言ってしまえば「特許」によって自社技術が守られているということであり、新規参入者は技術の模倣が困難であるため優位性を築くことが難しい。

7.政府の政策

政府は、サービスの品質を高い状態での維持や自国民の雇用を守るといった必要性からいくつかの業界における参入を規制している。

銀行などでありその最たる例であり、免許制になっているため新規企業が参入するのが難しい業界とされている。

終わりに

今回は、新規参入の脅威について論じた。

目を通してみると意外にも当然と思える内容のものが多いが、いざ内容を思い出そうとしたり、試験で書こうと思ってもなかなか思い出せないものだから興味深い。

より詳しく学習したい人は、下のリンクの本を読んでみるのも良いと思う。







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