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らくごしゃ

「昭和元禄落語心中」がヒットした。
漫画からアニメになり、それがヒットしてドラマ化。
すごいストーリーを描くもんだなぁ…

と、思いながらも私はどれも拾い見しかしていない。

アニヲタなのに!落語ファンなのに!だって

落語全部やらないしなぁ~

演技は凄まじいと思う。凄まじく上手いと思う。ネ申かと思う。
アニメの石田彰の声の演技も、ドラマの岡田将生も。
どっちも好きだ。

でも、見なかった。落語全部やらないからなぁ~

そう、私は落語ファン。
父が落語好きだったので、子供の頃から筋金入りである。
ラジオで聞いた。テレビで見た。昔は落語番組が多かった。
落語の演目の本も数多く読んだ。
しかし本は本、噺に魂を入れるのは落語家だ。

同じ噺が、落語家によって別物になる。
それを比べるのも楽しみのひとつ。
ストーリー知ってるから、で終わらないのが落語だ。

高校生の時、学校の「講演会」に五代目柳家小さん師匠が来た。
師匠は、二・二六事件で落語を一席やらされた話をした。
あんなにウケなかったのは生涯で一番だったとか。

時間があるのに話が終わってしまった。
師匠は、相手が高校生だから質問を沢山うけるつもりだったらしい。
しかし、体育館のステージとフロアでは、
距離が遠いしなかなか質問が出ない。

(困ったな)

という顔を師匠がした時、

「一席お願いします!!」

と、叫んだ生徒は天才だと今でも思う。
師匠は「寿限無」を演ってくれた。
のちに落語家として初の人間国宝となる落語家の噺!
ナマで鑑賞できたんだからなー。

私は大学が東京にあったので、
大学時代は、よく寄席(というか国立演芸場の)に行った。
開始時間前に「前座」が落語を演っているのも、
それも目当てに何人か落語ファンが早めに来ていることも、
寄席に行って初めて知った。

前座から実に長時間、寄席というものはやっているんだ。
長い時間楽しめるんだ。
なんてコストパフォーマンスの良い!

いつの間に、落語番組が笑点くらいになっちゃったんだろうな?

落語は日本の教養だと思うので、
教員時代に漢文で孔子の「論語」を教えるときは、
「厩火事」も必ず教えた。

教養とは、共通言語だ。暗黙の了解だ。
ちらっと匂わせるだけで(アレね)と通じる、
それが失われるのは文化の損失だ。

落語は、ひとりの人間が何役も演じ分ける、
それを客は自分の想像力で補う、
客もまた教養を試されるガチンコ勝負。
テレビで、落語に芝居をあてる番組を見たことがあるが、
もしかしたら現代日本人、想像力が衰えているのかもしれない。

だから、「昭和元禄落語心中」で、落語人気が少しでも息を吹き返さないかなぁー、と、切実に思う。

最後に、この間テレビの川柳コーナーで没になった句に手を加えて。
つまらなくて没になったのか、下敷きの落語が通じなかったのか…

>ボーナスだ 飲んだら夢に なりそうだ
「芝浜」である。

お粗末様でした!

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