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「魔法はいつか解ける」

推しバントのライブに行ってきた。
BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 "be there" 長野公演の初日に行ってきた。
40年近く生きてきて、多分本当にトップクラスの、身に余るような幸運が巡ってきて、ありがたくもとてもとてもすばらしい席でライヴを拝見した。公演の前後には、普段はオンラインだけの友人たちにも会えて、時間に許される限りおしゃべりもした。それがもうすごく楽しくて、少し前にとぼとぼ自宅に戻って、そしたら家族は出掛けてまだ帰っていなくて、それが拍子抜けしてどうにも手持ち無沙汰というか、さびしいというかで、この記事を書いている。

何の本だったかタイトルが思い出せないけれど、随分と前に、タイトルの言葉を見た。登場人物の1人のセリフだったと思う。10代の頃読んだ本で、あまりに印象が強くて覚えている。「どれほど素晴らしいものでも、魔法はいつか解ける。それが魔法ならば終わらなければならない。解けないのだとしたら、もう魔法ではないのだ」というような言葉。
BUMP OF CHICKENのライブに行くたびに、これを思い出す。毎日そばにいてくれて、数え切れないくらい、自分の中にあるいろんな感情を探す手伝いをしてくれた、大好きな音楽たちを、それはもう力一杯に、楽しそうに届けようとしてくれる。入場者に配られるLEDリストバンド「PIXMOB」の光の演出も相まって、いつもいつも、魔法みたいな夜だなと思う。確か、Vo. & Gt.の藤原さんも、いつかそんなことをおっしゃっていた。というか、よく思い出したら「You were here」という曲でまさにそうやって歌われている。
(なお、この記事を書くのに歌詞を思い出して、寂しさに追い討ちを喰らっている。ううう泣)

信じられないくらいにすぐ過ぎた
魔法の時間はすぐ過ぎた
頭の中は片付かないままで
枕まで帰る
You were here / BUMP OF CHICKEN

魔法はいつか解けて、必ず終わる。
有限である、ということを考え出すと、とても悲しい想像にまでぶつかってしまうことになるわけだけれども、だからこそその時間が際立ってすばらしく、尊いものでもある。そして、終わらなかったら続きもない。何かが変わることもない。それも、BUMP OF CHICKENの色んな音楽で歌われていることだ。
だからといってじゃあどのくらい大事にできているかと言われたら、分からない。毎日が精一杯で、上手にできていないことの方が多い。

今回のツアータイトルを「be there」と聴いた時、不思議な納得と、嬉しさがあったのを覚えている。色々なインタヴューで、音楽の始まりをつくる藤原さんが、BUMP OF CHICKENの4人が、生まれた音楽をどれほど届けようとしてくれているのか、その一部分でも知っていたからだ。
声を出したり、腕をあげたり振ったり、そういう、どちらかというと直接的なコミュニティケーションを取れるライブは、時間も、場所も限られている。でも、どれだけ離れていても、音楽は、私の毎日のすぐ「そこにいて」くれていることを、私は知っている。一緒に歌った夜のその記憶だって「そこにあって」、またこの先を歩く糧になってくれることも。

私の魔法はひとつ終わってしまった。
とてもありがたいことに、もう一つ約束がある。
終わったら、次へと進んでいる。また、進んでいく。

とてもとても素晴らしい夜でした。
笑って泣いて空っぽになって、いとおしい記憶を詰め込んでまた歩きます。
藤原さん、チャマさん、升さん、増川さん、ありがとうございました。

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