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【誰も教えてくれない】懲戒解雇の実務

 会社には、就業規則が存在しており、所轄の労働基準監督署へ提出されています。労働時間や給与、休日や定年年齢など様々な内容が定められています。その中に懲戒に関する規定もされています。実務対応についてまとめていきたいと思います。

1.懲戒の種類

 懲戒処分には、種類があります。注意、けん責、減俸、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇になります。就業規則に、それぞれどういう行動をしたら、どういう処分をするということが記載されています。しかし、抽象的な表現になっており、具体的な行動が記載されているわけではありません。全てを記載するようなことは到底不可能なので、企業として好ましくないと考えている行為が網羅されています。

注意:軽微な内容だが、事業にとって好ましくない行動について注意として記録に残します。
けん責:一番多い処分になります。始末書を提出させ、反省を促す処分です。
減俸:賃金の控除になります。労働基準法で控除して良い上限が決まっています。

  • 1回の問題行為に対する減給は、平均賃金の1日分の半額を超えてはならない

  • 減給の総額は、1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない

出勤停止:実質減俸処分に近い形になります。出勤停止を命じる形になるので、その分の賃金は当然欠勤となり、控除されます。通常は、1日ないしは2日程度の処分を命じることが多いです。
降格:報酬制度上の資格やグレードを1段階下げる処分になります。通常一定の能力やスキルがあるとして、上位資格へ登用しますが、その資格を取り消すような形になります。解雇するまでではないが、内容として非常に厳しい場合は、2段階降格などの場合もあります。
諭旨解雇:正確には、処分ではなくて、解雇だが自らの辞職を認めるという形になります。つまり、解雇(辞めてもらう)は決まっていて、辞める方法の選択肢となります。
懲戒解雇:企業からの懲戒事案を理由とした、一方的な解雇になります。この認定とか大丈夫な範囲はどこまでですかとかありますが、解雇そのものについては、明確な決まりはありません。

※解雇予告手当について
 解雇する際には、1ヶ月分の解雇予告手当を支払った上で即時解雇するか
1ヶ月前告知をして、1ヶ月後を退職日とするかの方法があります。即時解雇したいが、解雇予告手当も払いたくないとなるのが企業です。そこで、労働基準監督署へ解雇予告手当除外認定の申請をします。横領などで一定金額以上の場合は認められます。会社だけでなく、国としての法律を逸脱する行為は認められます。企業の中で悪質としてもその企業特有で一般的に問題ない場合は、難しかったりします。申請から認定まで、2週間ぐらいかかるケースが多く、資料作成の手間や期間を考えるとどうするか悩ましいケースがあります。

2.対応の流れ

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