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商業施設に出店するメリットとデメリット②(後編)

昨日は、商業施設に出店するメリットを4つ挙げました。

今日は、商業施設に出店するデメリット4つをお伝えします。

商業施設に出店するデメリット

①工事費が割高になりやすい
出店時の工事費が高くなりやすいです。
その理由としては、
・深夜工事費や警備費などがかさむ
周辺店舗の営業中に、どんちゃんの工事をされると迷惑なので、工事をできる時間が限られてしまうため、深夜工事になり、業者さんの人工(1人当たりの人件費)も上がります。また、通常運営と別で警備が必要であったりします。

・搬入経路に養生が必要
お客様が歩くスペースに資材や汚れたものを運ぶので、養生をします。また、当然営業時間までに毎日撤収しないといけませんので、その分作業の手間がかかり工期も延びます。

・B工事が高い
建物に付随する設備や、内装を触る時に、テナント側が勝手に工事をして、建物の構造や館内全体に営業を及ぼすようなことを避けるために、施設指定業者が工事をする範囲が決められています。
で、これは業界としてよくあることなので包み隠さずお伝えしますと、このB工事が高いです。
通常の工事の2割〜10割(2倍)近くになることもあります。

だいたいの相場は、その商業施設のグループ会社の業者が請けて、そこから、下請けやその下請けが実際の作業をするので、高くなるのです。

私もこのB工事が高すぎるというので、何度も掛け合ったことがありますが、どうしても高くなるということは覚悟の上で出店を進めたり、なるべく費用が抑えられるように設計段階から計画する必要があります。

②制約が多く自由度が少ない
例えば営業時間。「既存店舗は深夜の2時までやってるから、深夜まで営業したい。」や「朝の時間はお客様が少なく人件費だけがかさむから、11時からのオープンにしたい」などがあったとしても、10:00〜23:00など、施設として決められた営業時間を守らなければいけません。
また、定休日を設けたり、年末年始も勝手に休んだりできません。

その他に、MD(マーチャンダイジング)の観点から、当初決められてものと違うものを許可なく販売することはできかなかったりします。(契約上でも業態や販売商品が書かれていることは多いです)

③ランニングコストが高い
家賃については、先日の記事でも書いた通り、最低保証+売り上げ歩合というのが一般的で、売上が上がれば上がるほど、施設側にお支払いする家賃が多くなります。また、前回のメリットでもお伝えした設備が整っている分、そのコスト負担が出てきます。

④退店への縛りが強い&退店時のコストが高い
通常の定期建物賃貸借契約には、契約期間が定められていて、その途中で解約することを中途解約と言います。

契約書には中途解約の条項があり、そこには、「6ヶ月前に書面により申し入れる(事前告知する)ことで中途解約ができる」や「解約時に違約金を支払うことで中途解約ができる」と記載されています。

これが厳しいところになると、
上記の事前告知の6ヶ月前が[8ヶ月前]とか[12ヶ月前]となったり、
違約金が、[契約満了時までの賃料相当額]とあったりします。
→これはどういうことかと言うと、
例えば、
契約期間5年、契約後丸2年で退店したいとなり、事前告知が8ヶ月前の場合「あと8ヶ月営業して、残りの2年4ヶ月分の賃料分を払えば、解約しても良いよ」ということです。

出店する時に退店のことなんて考えたくないし、そこまで細かく契約書を見ないことが多いですが、契約書に印鑑をついた時点で、元には戻れなくなります。
これは路面店でも言えることですが、商業施設の方が厳しいことが多いので、しっかり確認しておきましょう。

また、退店時の現状回復工事についても①と同様に高くなりがちです。
(退店時のノウハウなどは、今後詳しくお伝えしていきますね)

以上、商業施設に出店するメリットとデメリットを4つずつお伝えしてきました。
おおまかなことはお分かり頂けましたでしょうか?

大きく捉えると、「商業施設の出店は、コストが高くなるが、売上を取るための集客装置が備わっているので、高い売上を取りやすくなり、ハイリターンの可能性が高くなる」ということが考えられますね。

あくまで一般論ですが、前提としてそういう傾向があると覚えておいていただければ、契約時・出店時に施設のご担当者との話もスムーズですし、しっかり確認をすれば不安も取り除かれると思います。

その店舗の事業展開や、目指す売上規模などから、商業施設に出店すべきかどうかのご判断をされることをおすすめします。



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