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サステナブルな「新しい原状回復」の時代は来るのか?

今日はノウハウ的な話ではなく、個人の意見がふんだんに入ってますので、もしかしたら怒られることもあるかもしれませんが、これから、Bamooveの事業でやっていきたい軸になる部分のことで、こんな未来を作りたいというお話です。

僕が8年前にこの店舗開発の業界に入ってきて、最初に疑問に思ったことが3つあります。
1つはとてもアナログな業界ということ、2つめは工事の単価が守られているということ、3つめはエコじゃないということ。

今日は、その3つめのエコじゃないということについてです。

商業施設にしても路面物件にしても、「原状回復義務」という言葉があり、契約書にほぼ必ず書かれています。

店舗系の場合はほとんどが退去する時に、「スケルトン(何もない状態)」にして戻してください、となってます。

なので、何千万も掛けて作った内装は全て処分され、構造体の丸裸な物件になります。
下手すると2〜3年しか使われていないものが、全て撤去されてしまいます。
もちろん、撤去費用もバカにならない金額です。

僕も物件探しの際に、フルスケルトン状態の物件を見てガッカリすることが何度かありました。

せめて空調機器だけでも残しておいてくれたらとか、厨房区画だけでも残しておいてもらえたらとか。
中でも厨房区画を形成するにあたり必要な床の防水工事というのがとてもコストがかかりますので、使いたい大きさや形が前のテナントと同じなら、絶対に残しておいた方が良いです。

契約書通りの話でいくとそうなってしまうのですが、それを避ける方法として、テナント側とディベロッパー(大家)側が合意すれば、「契約終了後でも後継のテナントが見つかるまで内装をそのまま置いておく」という方法があります。
※俗に言う「居抜き物件」と呼ばれるものですが、僕の感覚的になんとなくニュアンスが違うので、そこはおいおいで。

それで、ディベロッパー(大家さん)と後継テナントと退店するテナントの3社で話し合い、どこまで残してどこまで撤去するかを決めて「原状回復範囲」を決めていきます。

これを理解してくれるディベロッパーや大家さんであればラッキーです。
退店するテナントも、後継テナントが残して欲しいと言ってもらえれば無駄な撤去費用もいらないし、後継テナントも工事費が安く抑えられるのでWin-Winです。

でも、なかなか理解してもらえないディベロッパーや大家さん(管理会社)が多い。
僕が思うには、「めんどくさい」「トラブルは避けたい」「会社から言われていて責任がとれない」という保身からそうなってしまうんだと思います。

また、その工事をすることによって利益を得ている場合もあるかもしれません。

なので、上記にも書いたように「理解してもらえたらラッキー」くらいで思っていながら、でもちゃんとお話しすれば理解してくれる方もいらっしゃいますし、少しずつそういう思考の流れが来てるようにも思いますので、退店時には丁寧にお話し合いををするようにしましょう。

世の中はサステナブルやSDGsなんてことが、一般的な言葉になってきた2023年のいま。
住宅業界ではリノベーションという言葉が浸透し、少しずつそういう思考が広がってきています。

この店舗業界もスクラップ&ビルドをやめて、使えるものは再利用するという考えが浸透し、誰もがそのことを意識して、出店や退店をしていく、そういうマッチングをうまくやっていく。
それが次の時代の「原状回復」の常識になればと思います。

Bamooveの事業では退店者と出店者のマッチングを実現することで、そんなサステナブルな輪を広げていきたいと考えています。


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