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シチリアが教えてくれたこと

Ciao♪

チャオて!!
スペイン語を習いに行ってたんじゃないんかーい?
と、我ながら突っ込みを入れたくなるところだが。

そう、私は今イタリアにいる。
地中海最大の島・シチリア島。

スペインの学校に通っている間、日々の出来事などは手っ取り早くstand.fmに投稿していたのだが、文章を書くのに時間がかかる上に途中から勉強熱に火が点いてしまい、深夜まで翌日の予習をするようになったこともあり、noteの投稿はバルセロナ行きを決めた経緯を書いたところで終わっていた。

バルセロナでの体験はその後のバカンスmoodに秒で馴染んでしまった脳が記憶を失う前にしたためようとは思っているが、今回は現在滞在しているイタリアのことについて語りたい。


6月、バルセロナでの4 週間の語学留学を終えた後、卒業?と同時にまずは友人が滞在しているポルトガルに移動、そこへ7月中旬に新たに日本からjoinした友人も加わり1ヶ月を過ごした。

スペインで疲れた脳を一旦リフレッシュしようとポルトガルでチルチルしているうちに私の血と涙の結晶であるはずのスペイン語の記憶は薄れ、かと言って肌感で覚えただけのポルトガル語で知識が上書きされる訳でもなく、暑さにかまけてあっという間にイタリア行きを予定していた8月が訪れた。

8月。まずはナポリから入り、そこからブーツのつま先側に電車で1時間あまり下ったサレルノで数日間の滞在。サレルノはあの映画で有名になったアマルフィの近くの町だ。

アマルフィにも一度足を伸ばしてみたのだが、たまたま体調が優れず、ご機嫌麗しゅうとは程遠い日だったということもあり、とにかく暑くて人が多かったという印象ばかりが強く残っている。

楽しみにしていたフェリーに乗って、日本のそれとはどこか違う、湿度軽めの潮風に吹かれながら眺めるアマルフィの姿は確かに美しかったのだが。
ホント、健康って大事。

その後サレルノからシチリアまでは敢えて陸路を選び、肉眼で「リアル世界の車窓から」を楽しみながら移動してきた。
海沿いを走っている時の私は窓にへばり付いてずっとニヤニヤしていたので、向かいの席に座ったお兄やんの目にはきっと奇妙な東洋人として映っていたことだろう。
それはともかく、このルートをチョイスしチケットを手配してくれた旅の友には心の底からGrazie!である。

イタリア本土からシチリア島へは対岸へ一番近いビラサンジョバンニでバスに乗り換え、バスごとフェリーに乗り込み20〜30分。

そしてここシチリアでは9月に挙式を控えた友人とイタリア人ダーリンにハッピーバイブス全開で出迎えられ、勝手に親戚のオバチャンのような気持ちになっている私は数ヶ月ぶりに再会した友人の幸せそうな姿を見てなんだか涙が出てしまった。

結婚式直前ともなると、打合せやら何やらと決めなければならないこともたくさんあるのだろうが、不思議なもので、そんな苦労話にさえ無責任にほっこりしている。

そしてその日以降、夏の休暇をフルに使って毎日のように私たちをいろいろなところへ案内してくれる二人。

二人の式場となる海沿いのお城。ふわふわのブリオッシュにグラニータをサンドして食べるカフェ。目の前の窯で巨大なピッツァが次々と焼き上がり、ひっきりなしにお客さんが来ては焼きたてをテイクアウトしていくピッツェリア。シチリア島の最南端にある地元民にしか知られていないビーチ。おとぎ話の舞台のような街並みが美しいリゾート地。二人の友人宅でのバーベキューディナー等々。

ここイタリアは美しい景色もさることながら、美味しいもので溢れている国だ。
チーズ、生ハム、ジェラート、野菜、果物、パニーノ…

特に私がハマったのはアランチーノというライスコロッケのような揚げもの。
形はまん丸かティアドロップ型で大きさは日本のおにぎり2個分ぐらいと中々のボリュームなのだが、イタリアではちょっとした軽食?おやつ?的な位置づけで食べられているようで、紙に包んだアランチーノをおにぎりかサンドイッチのように手に持ってガブっと行っている人を何度か目撃した。

味のバリエーションも豊富でケチャップライスのようなトマト味だったり、チーズリゾット風だったり、ピスタチオやカボチャが入っているものもある。
そして、出来立ては「例外なく」「全て」美味しい。(バミ調べ)

私たちが滞在しているお宿の隣りにも人気のアランチーノ屋さんがあるのだが、アペリティーボの時間帯はいつも行列というか人だかりになっている。

アペリティーボとはディナーやランチの前に軽く何かをつまみながら食前酒を飲むこと。
必ずしもその後にお食事までがっつり行くという訳でもないらしいが、それにしてもあらためてイタリア人の消化力の凄さを思い知らされている。

正確には消化力というよりもっと壮大な、人生をとことん楽しもうとする良い意味での貪欲さ。

これはあくまでシチリアで出会った人達だけの印象であり、それをもってイタリアを語るのはいささか早計なのは承知の上だが(他の地域はどうなんだろう?)、イタリアでは初めて出会った人でもBIGスマイルでハグし、両頬でチュ!と盛大な音を立てる。

そして私はこのイタリア式の挨拶が大好きだ。
これをすると否応もなくハートが開いてしまう。

ハートが開くということはすなわち自分にも素直になれるということ。
「私はこうしたいけど、あなたはどう?」と自分の欲求を素直に表現しながら相手の意見にも耳を傾け、無理なく人と関わり合っていく。

この挨拶のせいなのか、私が出会った人達がたまたまそうだっただけなのか、ここではそういうスタンスのコミュニケーションが根付いているような気がする。

自分に正直に。
美味しくて楽しくて可愛いらしくて心地良い、豊かな気持ち。

世間様を生き抜く術として長らく感情と感覚を麻痺らせてきた私だが、これからはそれを感じて表現することを自分に許可していこうと、2個目のアランチーノを食べながら、今シチリアでしみじみと思っている。

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