7. ディジュリドゥのスペル
書籍やアカデミックな場ではDidjeridu、店舗やCDはDidgeridooが使われる傾向に
ディジュリドゥは一般的に英語で「Didjeridu」、あるいは「Didgeridoo」と表記されることが多いですが、それ以外のいくつかのバリエーションで表記されることもあり、ディジュリドゥのスペルは定まっていません。
アボリジナル研究を行う政府組織AIAS(現AIATSIS)で、はじめてディジュリドゥという言葉がのった書籍が出版されたのは1963年でした。その時に使われたスペルが「Didjeridu」であることから、オーストラリア政府は現在でも「Didjeridu」というスペルを採用しています。
しかしながら、過去にリリースされたCDで使われたスペルでは「Didgeridoo」が多く、書籍などアカデミックな場や公共的には「Didjeridu」が、音楽業界やディジュリドゥ店や演奏家の間では「Didgeridoo」が一般化しているようです。
Didgeridooという表記が一般化するのに一番の役割を果たしたのが、2002年に発売された「Didgeridoo & Co. Magazine」です。英語とドイツ語で書かれたこの雑誌は世界初のディジュリドゥ雑誌として脚光を浴びました。
それまではDidjeridoo、Didgeriduなどいろんなスペルも散見されたが、この雑誌の登場によってDidgeridooというスペルが、ある種の権威ずけのような形になって固定化していったように感じます。
日本ではディジュリドゥ or ディジェリドゥ?
どちらの表記であったとしても、それを逐語的にカタカナにするなら「ディジェリドゥ」と表記されるべきかもしれませんが、日本ではなぜか「ディジュリドゥ」という呼ばれ方が広まり現在にいたっています。
いくつものスペルが存在することで日本に入って来た時にある種の混乱と曖昧さがあったことがその原因のように感じられますが、日本でディジュリドゥが広まった1990年代後半には誰一人として「ディジェリドゥ」とは呼んでなかったように記憶しています。
その当時、国立民族学博物館の松山利夫教授は「ディジェリドゥ」と表記していました。2000年に松山先生が映像をまとめた「日本のディジェリドゥ奏者たち」というビデオの中のナレーションもはっきりと「ディジェリドゥ」と言っています。
このように一つの楽器の名称に色んなバージョンのスペルが存在することは、他の楽器ではあまり見られません。次のコラム「Didjeriduという名称の由来」では、ディジュリドゥという言葉が使われるようになった歴史的経緯の一端や、明確な論証はされてないものの有力な言説とされるものをご紹介します。
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