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16. あとがき

Wikipediaやネットの情報は正確なのか?

「WHAT IS DIDJERIDU?」、ディジュリドゥとは何か?この一連のコラムを書く動機は、Wikipediaなどインターネットに載っている情報や、ディジュリドゥを演奏するノン・アボリジナルの人たちから聞かれる言説と、自分が見聞きしてきたことや、アボリジナル研究をしてきた民俗学者の書籍にのっている情報とにかなりの違いがあったことでした。

その一番の例が、14-15章で書いた「ディジュリドゥのジェンダー問題」で、女性がディジュリドゥを演奏したり触れたりすることをタブー視することが一般化しているという風説に関することでした。

ぼくが2001年から2019年まで毎年訪れて師事したイダキ・マスター故D. Gurruwiwiは、女性が演奏することを禁じるどころかむしろ推奨していたし(バランダの場合)、彼の妻のDhopiya Yunupinguは長年に渡って彼のイダキ作りのベスト・パートナーでした。


ディジュリドゥをメタ認知する

このようなディジュリドゥ当事者のアボリジナルの人々の現実と、バランダ的一般常識のギャップを解消するような、ディジュリドゥをメタ認知するような情報をまとめれないかという志向で「What is a Didjeridu?」のマガジンを作成しました。

コラムの中に出てくる情報の多くが、ぼく自身の実体験と民俗学者の過去のリサーチ資料、竹やシロアリの分布といった科学的な情報を用いたデータをもとにしています。そういった限られた情報の分析という意味では、個人的類推が多分に含まれていることはいなめません。

バランダ(ノン・アボリジナル)目線からアボリジナルの人々の伝統楽器ディジュリドゥについて語るという点では網羅的な情報になったのかなと思いますが、いつか彼ら自身の言葉や意見を聞いて、ディジュリドゥ当事者からのメッセージも日本語の文章で伝えたいなと考えています。


今後も加筆・修正しながらディジュリドゥに関するパブリック・ドメインに

できるだけ客観的に検証したつもりですが、ここに紹介されている情報には随所に不確かさがあり、新たな研究や歴史的発見に伴い更新されるべき内容も多分に含まれていると思われます。

また大学で学術的な研究をしているわけではないので、ある分野の専門家からすればおかしいと感じる部分もあるかもしれません。その時にはぜひこれらのコラムを更新する情報をお知らせください。ご指摘をいただいてその都度、より公共性の高い内容のコラムに加筆・修正していきたいと考えています。

最後に、いちディジュリドゥ奏者であるぼくに民俗学的観点を持つきっかけを与えてくださった松山利夫教授、このコラムの問題点や表現方法に細やかな指示とアドバイスをくれたチャールズ・ダーウィン大学の林靖典、そしてこれまでトップエンドで出会いさまざまな学びの機会を与えてくれたアボリジナルの人々へ感謝したいと思います。

2023.3.17  GORI

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