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ストックオプションってなに? 〜財政的確型から信託型まで〜

BAMBOO INCUBATORは、スタートアップ起業家の情報格差解消を目指し、起業家、エンジェル投資家、弁護士、弁理士、会計士、税理士、司法書士及び社労士で運営されている任意団体です。

このnoteでは、当会が開催している無料ウェビナーのレポートを投稿していきます。今回は、2021.9.9に開催された「ストックオプションってなに?税制適格型から信託型まで」のレポートです。

https://peatix.com/event/1903418/view

「ストックオプションって?」
「どのフェーズでSOを発行するのが一般的?」
「社外協力者へSOを付与する時の注意点は?」

こんな悩みをお抱えの起業家の皆さん、ぜひご一読ください。
今回は、多数のストックオプション発行業務対応実績のある、GVA法律事務所の小名木俊太郎弁護士にお話して頂きました。

ストックオプションとは?

ストックオプションとは日本語では「新株予約権」という、会社法上に根拠を持つ権利です。この権利(オプション)を行使することによって、将来株式を取得することができる、という権利です。以下の流れで発行・行使できます。

① ストックオプション発行
② 振込価格の払込み
会社がストックオプションを対象者に発行する時にまず一般的には払込みをします。将来株式を一定の価格で買える権利に対しての払込みです。      
 ③ 行使価格の払込
受け取った新株予約権を行使して実際の株式をもらいます。③は発行時の時価で設定されているのが一般的で②よりも金額が大きくなります。
④ 株式発行

取得価額と行使価格、「2回」の払込があるのがミソです。権利を取得するのに最初のお金を払い、権利を行使して株式を取得するときにもお金を払うのです。

税制適格ストックオプションと有償ストックオプションの違いは?
税制適格ストックオプションは②取得価格の払込みが基本的に0円です。
有償ストックオプションは②の払込みが一定の金額が発生するため、
オプション料を会計士や税理士に算定してもらい適正な価格を払う必要があります。

払込価格とは?
新株予約権を取得するために払い込む金銭価額 
税制適格SO=0円
有償SO=一定の金額

行使価格とは?
新株予約権を株式に転換するために払い込む金銭価額

税制適格ストックオプションとは?

会社の役員や従業員に配ることを想定したストックオプションです。
一定の要件を備えたストックオプションに限り、「権利行使時の課税を株式売却時まで繰り延べる」という税制上の優遇措置です。  

取得時には取得価額の払込がありません。従業員は、無償でストックオプションを取得できます。上場に向けて努力をするためのインセンティブ、ということになります。

さらに本来であれば権利行使時点で課税されるべきものが、株式を市場で売却して実際の現金収入があった時点ではじめて課税されることになり、納税のためキャッシュを確保できるという、従業員にとっては大変ありがたい制度です。

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有償ストックオプションとは?

他方で有償ストックオプションは、範囲を限定せずに、自由に発行するものです。役職員以外の外部顧問などに発行しても良いですし、取得価額を有償にしても構いません。他方で、税制適格ストックオプションのメリットは享受できなくなります。

信託型ストックオプションとは?

信託契約に基づいて、税理士事務所などを受託者として発行するストックオプションです。最初に一気にオプションを発行してしまうため、その後柔軟に全従業員を対象に付与を繰り返すことができます。行使価額を低い状態で全て出し切ることができるので、従業員にメリットが大きいですし、税制適格ストック・オプションの細かな要件を気にせずに柔軟な対応ができるのが魅力です。ただし信託契約や外部委託のコストが一定程度かかってきます。

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各ストックオプションのメリデメ

以下まとめると、各ストックオプション制度には、以下のメリット・デメリットがあります。
〈税制適格ストックオプション〉
メリット
・初期費用が安い
・ストックオプション対象者の払込なし
デメリット
・外部協力者に付与不可・行使価格が上がっていく

〈有償ストックオプション〉
メリット
・外部協力者にも付与可能
デメリット
・行使価額が上がっていく
・ストックオプション対象者が取得価額の払込あり

〈信託型ストックオプション〉
メリット  
・外部協力者にの付与可能・ストックオプション対象者の払込なし            ・行使価格が据え置き・成果に応じて付与可能
デメリット
・初期費用が多額・経営株主が払込をする必要あり

各ストックオプションの活用方法

たとえば以下のように使い分けることが考えられます。

①税制適格SOの活用場面
一部の役員、従業員にのみ2〜3回付与・できる限りストックオプション発行の際の費用を抑えたい
税制適格SO

②有償SOの活用場面
外部協力者に柔軟に付与したい・付与時点で数が確定可能
有償SO

③信託SOの活用場面
あらゆるタイミングでフレキシブルの従業員全員に付与したい・一定の発行費用を準備できる
信託SO


まとめ

起業家としては、まずはさまざまなSO制度の概要を知りましょう。
そのうえで、具体的な設計や発行実務については、「税制適格になる」といっておきながら実際には税制適格にならないなどといったトラブルが発生することを未然に防止するためにも、必ず弁護士や会計士などの士業に相談をするようにしてください。


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執筆協力
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