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オリジナル連載小説「アイドルはパチンカー」#1


「みなさん、今日は来てくれて
ありがとうございました〜!!!」


熱気で包まれた小さな劇場は
この挨拶とともにペンライトの光が消え

会場が明るくなり、一気に現実へと戻っていく。

日本のアイドル産業は拡大を続け
様々なアイドルが日々こうして
日本の老若男女のストレス発散となっている。

ただ、その一方

アイドルという職業は「制限」が多く
寿命も短い非常に大変な職業である。

スマホの普及によって
日本国民全員が「週刊誌の記者」のように
いつでも写真を撮られてしまう世の中。

恋愛なんて、したらすぐバレる状況。

もちろん、正式な決まりではないのだが
「アイドルファン」の多くは

「アイドル」に処女であることを求め
恋愛には大きく反発する。

もちろんアイドルとしても
「握手会」という形で「疑似恋愛」を提供
している以上、恋愛がご法度なのはわかる。

他にも

体重が増えてしまえば人気は落ちるし
髪を染めれば黒髪信者に反発されるし
推測で勝手に不仲説が流れることもある。

また、「ステージを降りれば一般人に戻る」
という昔のアイドルとは違い

SNSやネットの発達により
家に帰っても生配信やSNSの投稿を
求められ「24時間アイドル」でいないといけない。

とまぁ、そんな文句を言いつつも
私は何だかんだアイドルを続けている。


紹介が遅くなってしまったが

私は「有栖川 桃華」22歳。

15歳の時にアイドルの研究生となり
17歳の時に昇格し
アイドルグループ「リアルマドンナ」
正式メンバーとして活動している。

昇格後はセンターを務めたこともあった。

しかし、18歳の時に
テレビ番組で共演した
人気若手俳優とのスキャンダルがあり

一気に、ファンが離れてしまった。

実際の所は、年齢が近く
話が合う人だったので
何度か一緒に食事に行くくらいの
関係でしかなかったのだが

そういった行為もアイドルには許されないらしい。
結局、事務所からは「何も話すな」と言われたため
スルーをしている形になったことが
様々な憶測を呼び、誹謗中傷を受けた。

その影響は露骨に現れた。

「リアルマドンナ」通称:リアマド
20人を超えるメンバーが所属しているが
基本的に握手会の売り上げやSNSのいいね数などによる
人気上位8名しかテレビに出ることができない。

私は、常に上位に入っており
メディアにも出てそれのおかげで
またファンがついてという
非常に良い流れだったが

スキャンダル以降、テレビにはほとんど出ていない。

ただ、当のリアマドはというと
私と同期であり年齢も同じであり
現在センターを務める
「巴 美香」(ともえ みか)の人気もあり

出すシングルは軒並み
オリコンランキングで1位を獲得している。

美香は私とは真逆だ。

初期は選抜に入ることもなく
私よりも人気は下だったにも関わらず
毎日ネットで配信しプライベートを
常に公開しつつダンスのスキルも向上し

今はセンターにまで上り詰めた
まさに「ザ・アイドル」である。

その一方で私は
今や何の目標もなく
サラリーマンのように
ただ黙々とアイドルの仕事をこなしている。

テレビ番組の仕事はほとんどないが
基本的には週5回、平日はリアマドの
専用劇場で公演をしている。

そして、土日は全国をまわって
握手会をしたりライブをしたりしている。

毎日仕事をしてるとはいえ
平日の劇場は夜の19時から20時半までの
1時間半だけなので

暇だと思われがちだが
アイドルは意外とお金にならない
仕事が結構存在している。

選抜ではない私も新曲は
劇場でも披露するので
歌って踊れるようにしないといけないし

当然、ダンスレッスンや
ボイストレーニングも毎週やっている。

一応、リアマドは人気グループなので
ゲームアプリも結構販売しており
私も声撮りをしたりしている、

また毎月発売している生写真の撮影など
選抜外でも意外と忙しい。

センターも務め人気があった頃は
やった分だけお金がもらえる
「歩合制」に憧れ事務所移籍を
考えたこともあったが

今は給料制で良かったと思っている。

こんな選抜外の私でも
既にグループに所属して5年目。

毎月25万円〜30万円程度の
お給料をもらえている。

昔はアイドルの世界で努力して
誰もが知っている国民的アイドルになりたい。
なんて思ってた時期はあったが

スキャンダル以降はそんな気はさらさらなくて

いつまでもこのアイドルにしがみついて
お金をもらい続けたいと思っている。


そんな私には
メンバーや事務所に言えない
隠し事がある。

アイドルの隠し事といえば
恋愛が定番だがそんなことではない。

私の隠し事は

スキャンダルで謹慎をしていた時に
何となく暇で行った

「パチンコ・スロット」だ。

「え?アイドルがパチンコするの?」

って驚く人も多いと思う。

そもそも、女の子がパチンコするのも
珍しいくらいホールには男性がほとんど。

そんなパチンコをまさかアイドルが
してるなんて世間の人は誰も思わないだろう。

「アイドル」について何か勘違いしている人が
結構多いんだけど、

みんな人間で普通の女の子なんだから

楽屋ではオナラもするし、トイレにだってもちろん行く。

なんなら、大体集まると「恋バナ」だし
二十歳を越えれば普通にお酒も飲む。

夢を壊しちゃうと申し訳ないので
このへんにしておこうと思う。。。笑

一応、私も「仕事」として「アイドル」を
やっているので

普段は柄にもなく
「ブリブリ」のアイドルをやっている。

自分で見返すと吐き気がするので
自分の映像はほとんど見返すことはない。

そんな純粋に私を応援してくれている
ファンの人達が

私が
ボサボサの髪に
帽子とサングラスとマスク姿で

パチンコしているのを知ったら
きっと恋愛スキャンダル以上に
悲しんでしまうかもしれない。

そう思うと辞めなきゃいけないんだけど
これがもう辞められない。

パチンコは素晴らしい。

時間があっという間に経ってしまう。
嫌なことを忘れさせてくれる。

握手会で全国を飛び回っているけど
どこに行っても日本国内ならば
どこにでもパチンコ屋があり
いつでも私を迎えてくれる。

ただ、私の職業はアイドルであり
事務所やネット番組などで
抜き打ちのスマホチェックやカバンチェックがある。

もちろん、テレビではカットになってる部分も
多いが、大体ああいった企画はやらせなしのガチ。

私の場合、カットすれば良いという
問題ではなく事務所や他の人にバレるのも困る。

だから、自分が実践した時に
引いたレアな画像や動画を
スマホ内に残しておくことができず

それを動画サイトにアップするようになったのだが
これが予想外に再生回数が伸びた。

そこからパチンコをするときは
動画を撮りながら打って台を撮影し
その映像を少し編集してテロップをつけて
動画を公開するようになった。

もちろん、顔も声も出していないのだが
男の人は単純で

少しだけうつる私の手元を見て
女性だとわかるとコメントや登録者は
より一層伸びていった。

もちろん、誰にも知られるわけには
いかないので

動画サイトのチャンネル名も
本名とは関係ない

「エレナのまったりパチンコ」という
チャンネル名でやっている。

このお話はそんな
私の日常をありのままに
語っている物語になっています。

アイドルだけど夢もなく
サラリーマンのように思考停止で
舞台に立ち

その合間でパチンコをしている
そんなちょっと変わったパチドル?の
私の裏の物語。

よかったら覗いっていってください。

2話に続く・・・

2話はこちら→


以上

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