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なぜ、つくったか。エネルギー問題と“窓を開けない時代”のプロダクト(バルミューダGreenFan Studio)

革新的で美しいオールシーズンファンとして、今年(2024年)の春に発売したGreenFan Studio。発売前の2024年3月、メディアの皆様に向けたイベントを開催しました。

2024年4月に発売したグリーンファンの新モデル「GreenFan Studio」

今回のDeep Dive into BALMUDAは、このイベントで、代表 寺尾玄てらおげんが説明したGreenFan Studio開発の背景について、一部を抜粋してお届けします。


起業前から抱いていたこと

寺尾 本日はお忙しい中、私たちの発表会にお越しいただき、ありがとうございます。 どうぞ最後まで、お付き合いください。 

旗艦店BALMUDA The Store Aoyamaにおける製品発表会の様子(2024年3月)

寺尾 まずは、新しく発表した新製品、GreenFan Studio(グリーンファンスタジオ)について。私は昨年2023年の秋から自宅でプロトタイプを使っており、とても便利に感じています。自信をもっておすすめしたいプロダクトです。オールシーズン使える、まったく新しい送風機として、この度発表することとなりました。元になったGreenFanという製品は2010年に発売して以来、国内外の多くの方にご愛用いただいております。

2010年に初代機を発売した世界初のDCモーター扇風機(写真はThe GreenFan)

 寺尾 元々なぜ、GreenFanをつくったかという話は、私がバルミューダを創業した時代まで遡ります。2003年に起業し、今年で21年目に入ります。バルミューダを始める前、私はミュージシャンをやっていました。その頃から21世紀を迎える人類最大の課題は、エネルギー問題だと考えていたのです。

寺尾 2010年に発売したGreenFanは、バルミューダとして初めて家電量販店に並んだ製品でした。GreenFanの特徴は大きくふたつ。ひとつめは、自然界の風を生み出す独自の二重構造の羽根を発明したこと。ふたつめは、この羽根を超低回転で回すために、DCブラシレスモーターを採用したことです。直流で回るDCブラシレスモーターは、交流で回る従来のACモーターと比べ約10分の1以下の消費電力で、動作音は非常に静か。少ないエネルギーで、自然界に吹いているようなそよ風を実現できました。

自然界の風を再現するためにつくった、二重構造の羽根の試作品(当時の模型)

小型風力発電の実証実験

寺尾 GreenFanで省エネ・静音・自然界の風を目指した理由は、バルミューダを創業する前から思い続けたエネルギー問題・地球温暖化に対し、自分ができることはないだろうかと問い続けた結果でもあります。その後、バルミューダは多くの電化製品を開発しましたが、私の中でエネルギー効率は常に最大の関心ごとでした。そして時が経ち昨年2023年、私たちは小型風力発電の研究開発への取り組みについて発表しました。

GreenFan Studioの発表会で展示した、小型風力発電機1/2モックアップ(模型)

寺尾 現在、5メートルのタワーの上に、独自開発した発電用タービンを取り付け、実証実験を繰り返しています。このタービンは、GreenFan独自の二重構造の羽根がもとになっています。優れたエネルギー効率で風を送り出すGreenFanの羽根が逆に風を受けた場合、どのように作用するのか。それを発電に用いることができないだろうか。再生可能なエネルギーから電力を得ることができたら素晴らしいと信じて、日々研究に取り組んでいます。

発電用タービンには、GreenFan同様、二重構造を採用して研究開発をしている。

寺尾 この研究開発の過程でもドラマチックなことが連続で起きているので、次の段階のニュースをお届けできる日を遠くないと思います。

GreenFan Studioをつくった理由

 寺尾 改めてGreenFan Studioをつくろうとした理由に戻ります。近年の猛暑や暖冬を皆さんも覚えてらっしゃると思います。最初にGreenFanをつくった2010年から早14年が経ち、大気の状態はだいぶ変わったと実感しています。例えば花粉も、前より厳しくなったように感じています。10年前には黄砂なんて東京では聞かなかったし、PM2.5も初代GreenFanを発売した2010年には、ほとんど耳にしませんでした。これは私だけの感覚ではないと思うのですが、以前に比べ窓を開けなくなったんですよね。空気の入れ替えもしないし、洗濯物も気持ちよく外に干せなくなった感覚があります。直射日光が当たった布団の匂いが好きだなんて言っていましたが、時代が変化して窓を開けるという生活様式自体が消滅しつつあるのかもしれません。

寺尾 そのようなことを考える中、扇風機とサーキュレーター、換気扇、そして衣類乾燥機までがひとつの優れたデザインでまとまっている製品があったらいいなと感じました。最初のGreenFanは自然界の風を届けるため、見た目も涼しげな扇風機を目指しましたが、2024年、バルミューダは次世代の"送風機"を提案すべきと考えました。それが、このGreenFan Studioになります。このプロダクトは、先に述べた風力発電の研究開発の過程で生まれたもので、どんなに環境が変わっても、皆さまにより良い生活をお届けしたいという思いを込めています。

寺尾 新しいGreenFanは、機能だけではなくデザインもやりこんでいます。ここからは、バルミューダ製品のデザインに多大なる影響と助力をいただいております、元アウディーのカーデザイナー和田智わださとしさんにご登場願い、さらに深いお話しをさせていただけたらと思います。(続く)

<和田智氏とのトークセッションは、以下よりご覧いただけます>