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愛でるような速度

 7年も前にホームページへ記した日記。今朝たまたま読み返して、なんとなく今の自分に響いたので、ここに置いてみたくなりました。
 当時はフリーランスになる直前、パートナーとも出会う直前でした。

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2015年12月5日 37にして

つい先日オギャーオギャー言ってたんだけど、37年経ちました。なかなか早いです。
このスピード感なら、来週には還暦を祝っているかも知れません。

それにしても年々視力が低下してきて困ってるんだけど、見えすぎる目はもっと困りもの、これも良い傾向かなーと思っています。
おぼろげに、そしてじっくりと眺めてゆけたらいいな。

絵を見るのは、テレビやYouTubeより退屈なものです。だけどそこが良い。
たまにふらっと銀座の画廊に行って、ボーッと突っ立って絵をみるのが好きです。
一枚をぼんやりぼんやり眺めていると、だんだん感じが出てきます。しみじみとしたり、楽しい気持ちがしたり、肌に温度を感じたり、音楽がなるのを感じたり、生きた人間が描いたものって、なんかが伝わってくる。
そんなことをしてると、後から入って来た達人や評論家たちが足早に僕をゴボウ抜きにしてゆきます。よほどみんな目が良いんだなあと感心します。
そしてちょっとさみしくなります。


たまにいつもの慣れた道を歩きながら思います。本当は世界をいつでも初めてのような新鮮な気持ちで眺められたら、もっと見えてくるものがあるんだろうなって。
けど、知識も経験も増えて、見切りが良くなるほど先入観で脳内処理してしまうから、そこにある価値を見出せなくなってしまう。目新しい新鮮な刺激に釣られていくうちに、何が良いものかそうで無いものかが分からなってしまう。

先日久々に大好きな名曲喫茶に行って、窓辺で珈琲を飲みました。むかしフリーターだった頃は、平日の一番のんびりした時間に喫茶店にいって、珈琲を飲んだり本を読んだり絵を描いたり、そんな無駄な時間に幸福がありました。最近は喫茶店に行っても有益なことの為にせかせかしてばかりで、こういう感覚を忘れてたなあって思った。またこんな愛でる気持ちで絵を描きたいなあって思った。

まずひとつ、これまでの環境を変えることになりました。お世話になった方にあんまり不義理をしたくないので、迷惑のかからないように話し合っています。 
それから来年、やっと個展をする気持ちになりました。四月頃の予定。
未発表のまま眠っている50号と80号と100号もようやくお披露目できます。
愛でるように描くので、愛でてもらえたら嬉しいな。

そんなこんなで、37のわたくしをよろしくお願いいたします!
(2015年の日記より)

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