「Wintermute,dawn」感想──重いと想い【ストレイライトシナリオイベント】
はじめに
怒涛のメンテアンドメンテも明けまして。皆様いかがお過ごしでしょうか。私は感想記事用のスクショが撮れなくて困ってました。この記事を書き終えたら詫び継承率アップが来てるので、すぐ濃縮作業に戻らなければなりません。シャニマスコミュの感想文です。
2023年10月30日からenza対応ゲームアイドルマスターシャイニーカラーズにて、ストレイライトのシナリオイベント「Wintermute,dawn」が開催されております。
10月のストレイライトはマイコレ愛依、冬優子STEPに引き続きで供給過多です。多分、次の更新で冬優子のP-SSRも来ます(予想)
今回ストレイライトのイベントコミュとしては、初の芹沢あさひを軸にしたストーリー(ユニットのシナリオでいうと感謝祭以来)だったので実装前から期待値は高かったのですが、ストレイライトは常に期待値を超えてくる。読後の感想を端的に述べると、以下のポスト(旧ツイート)に尽きるのですが、それを書くだけならX(旧Twitter)で事足りますので、もう少し感想を書いていきたいと思います。
※この記事を読み始める前に
当記事は私個人の感想や考えを長々書いたものです。書かれてもいないことを読みすぎな内容なのでご留意ください。
重ねて、当記事は以下についてのコミュ内容などの盛大なネタバレを含みます。問題ない方のみ閲覧いただければと思います。
イベントシナリオ「Wintermute,dawn」
芹沢あさひW.I.N.G. コミュ
ストレイライト ファン感謝祭コミュ
イベントシナリオ「VS.」
S-SSR【Wrong?】黛冬優子
イベントシナリオ「Run 4 ???」
P-SSR【Howling】芹沢あさひ
P-SSR【メイ・ビー】和泉愛依
イベントシナリオ「The Straylight」
S-SSR【いるっしょ!】和泉愛依
P-SSR【starring F】黛冬優子
黛冬優子G.R.A.D.コミュ
芹沢あさひS.T.E.P. コミュ
芹沢あさひLanding Pointコミュ
ざっくり感想
今回の「Wintermute,dawn」ですが、話の主題になったのは芹沢あさひにとっての「他者の存在」についてかなと思っています。芹沢あさひの求める「ワクワク」あるいは「キラキラ」と表現される「面白いもの」「楽しいもの」は他者との関わりの中にあるもので、それ故に芹沢あさひは他者との関わりを断つことはできない。断ったならば、待っているのは荒野のような何もない「寒い」場所しかない。芹沢あさひは孤独には耐えられない。というのは、これまでも断片的に語られていましたが、今回はそれがより具体的にストーリーに落とし込まれた形になったかなと思います。
しかし、他者は時に芹沢あさひに「重い」縛りを課して(あるいは貸して)きて、作中のあさひはそこからの逃避を考えます。しかしそれとは別に他者はその「想い」から芹沢あさひに助力し、行く先を示し導いてくれます。
本シナリオ第6話「コンパス」や、エンディング「おもいならば、この先」からも分かる通り、芹沢あさひにとっての他者は「重い」と「想い」が表裏一体で、他者とはこの先もあさひが「生きるために必要な重さ」であることから、あさひは自分にできることは逃避ではなく、その重さに抗いながら、自らの意志で選択することだけだと理解します。生きていく上で他者との関わりを避けられない宿命を受け入れ歩んでいく。この夢見がちではない現実に即したブレイクスルーは、実にシャニマスらしいシナリオでした。
イベントタイトル「Wintermute,dawn」の元ネタは、ストレイライトのユニット名や衣装名などの様々な元ネタにもなっているSF小説「ニューロマンサー」に登場するAIではありますが、あさひの他者との関わりによる進化のモチーフとしてチョイスされたのかなと思います。あさひの感じていた暗く、重く、苦しい「何もないステージ(Wintermute)」,そしてそこからの「夜明け≒あさひ(朝日・dawn)」といった意味のタイトル。このタイトルは「ニューロマンサー」からの単語チョイスであり、タイトル内には「あさひ」を意味する単語も入っており、「The Straylight」並みに強いタイトルだなぁと思います。
作中では「ストレイライト ファン感謝祭コミュ」で出演した音楽番組への再出演のオファーから始まり「P-SSR【Howling】芹沢あさひ」であさひが出演したMVや「芹沢あさひLandingPointコミュ」で登場した船主のお姉さんが再登場したり、あさひの学校の階段下のデッドスペースや閉鎖された屋上については「芹沢あさひSTEPコミュ」で描写されたもので、本シナリオのラストシーンもSTEPコミュとの関連性は大きく、その他「P-SSR【Anti-Gravity】芹沢あさひ」のTRUE ENDのセルフオマージュもあり、「P-SR【ちぐはぐ姫】芹沢あさひ」で言及されたサインの件など、関連性のあるコミュは非常に多く、芹沢あさひの現時点での集大成とも言える大変満足度の高いシナリオでした。
「重い」他者
シナリオ中では芹沢あさひと他者との関わりが描かれています。今回その中であさひにとって「重い」他者になってしまった人物が何人かいました。
ひとりは、あさひをスカウトする海外エンタメ会社の「ブルゾンの男性」
彼はあさひに、海外への留学を勧めてきます。頭ごなしに断られるのを避けるため、事務所をスルーしてあさひに直接接触してきたので、おかげでちょっと厄介なことになります。(ビジネス目的の勧誘だからそうするのもわかる)
もうひとりは、あさひのクラスメイトである「隣の生徒」
(多分)彼女は、あさひに「すい姫」というアイドル(?)のサインを貰ってきてくれと頼み事をします。あさひ自身もアイドルであるにも関わらず、あさひの立場を利用して他のアーティストのサインをゲットしようとする姿勢は(あさひは気にはしないだろうが)だいぶ失礼で身勝手で、掃除当番のことなどを持ち出すなど恩着せがましいです。ただ多少はあさひ自身を気遣う態度なども見せており、少なくともあさひを対等の立場として扱っているので、まぁ中学生ならこんなもんか、という感じの人物です。
またクラスメイトとの約束を果たせず、それが重荷になってしまう要因として、件のアーティスト「すい姫」がいます。
シナリオ後半で判明しますが、彼女はあさひのことを嫌っています。原因についてはイベントの報酬「S-SSR【真空の庭】芹沢あさひ」のコミュ「借り」にて語られますが、彼女は過去2回あさひと同じオーディションを受けていて、結果は2回ともあさひが通過しています。その上で、あさひはそのことを忘れており、しかも面と向かって「(頼まれたから)サインくださいっす!」と言ってのける。当然嫌がられます(というかこのせいで、急激に嫌いになったのかもしれない)
「すい姫」自身は間接的に重荷の要因になってしまったのですが、あさひを嫌ってる、とはいえ害意があるというわけではありません(原因は「すい姫」とあさひ、双方の相互理解の不足にあるため)。とはいえ、あさひと関わる他者の中には「すい姫」のようにあさひのことを面白く思わない人間もいます。
芹沢あさひには、明確な目的へ向けて最短経路で行動しようとする思考のロジックや、建前を省いたり、抱いた疑問を率直に聞く裏表のなさがありますが、それはしばしば誤解をまねき、他者との軋轢を生む要因になってしまいます。しかし芹沢あさひには、言われたことを受け入れ、他者との約束を守ろうと努める社会性、対人能力もあり、ただ自由奔放に振る舞うだけの人物でないことは本シナリオでも描写されています。
あさひはあさひなりに、社会や他者との協調をはかっていますが、こうした他者との関わりの中から生まれる縛りや煩わしさは、あさひの求める「ワクワク」や「キラキラ」とは程遠いものです。
これらがあさひにとっての「重い」他者になります。
他者の「想い」
しかし「重い」他者とは別に、その「想い」からあさひに助力してくれる他者も存在します。代表的な人物としては、ユニットメンバーである和泉愛依、黛冬優子、そして当然プロデューサーです。
まず愛依は、今回もあさひの力になろうと奔走します。
また冬優子も、いつも以上にあさひへの気遣いをする場面が見られます。
(冬優子Pなので、冬優子についてだけやたら長くなります)
冬優子は素直に口にはしませんが、ストレイライトのことだけでなく、あさひ個人への「想い」も当然持ち合わせています。なので冬優子もあさひに助力してくれる他者の一人にカテゴライズされます。
ただその中でも冬優子の立ち位置は特殊で、敢えて厳しい言葉を掛ける「ユニットリーダーとしての役割」を担おうとしているように感じます。
そして、この後の冬優子と愛依のやりとりが以下
皆さんご存知とは思いますが、ストレイライト感謝祭コミュ「error code:017」でのやりとりのセルフオマージュですねぇ……
そして我らがプロデューサー。
彼はいつでも、あさひとの相互理解に努めていますが、今回は彼女を理解し、守ろうとする立場と、大人としての立場、2つの立ち位置を両立する難しさに苦しんでいたように感じました。
あさひにはこのように、その「想い」から助けようとしてくれる他者が周りに存在します。しかし、あさひが上手く受け取れないことには「想い」の力は弱いままです。3人の「想い」が実を結ぶのはシナリオの終盤。
結局、感謝祭の時とは違い、事前にあさひの様子の変化に気づいてはいたものの、本番までにあさひのステージに対するモチベーションは取り戻せませんでした。ここまで来るとプロデューサーにできることは、あまりにも少ない。そうして過去、大きな失敗をしてしまった時と同じ舞台に、当時と似た状況で送り出すことになってしまいます。
このプロデューサーの判断、はっきり言って博打も良いとこで、賛否は大いにあると思います。完璧に対処することは難しい状況でしたが、プロデューサーとしてアイドルのモチベーション管理に失敗したことは事実で、そのツケのフォローをユニットメンバーにお願いしている。そのように見えても仕方がない。だが……長年ストレイライトを見てきた悪霊はこう思う……
そのとおりだ!流石ストレイライトのプロデューサー!!
感謝祭の頃、ストレイライトは世間から見ると、あさひとそれ以外のユニットだった。そしてあの時は、あさひのソロステージだった。ステージの上であさひを助けてやれる者は誰もいなかった。あさひがダメならそれで終わりだった──だが、今は違う!今は、感謝祭の頃とは比較にならないほどアイドルとして大きく成長した冬優子と愛依がいるのだ!(ギュッ)
そして何より、彼女たちはストレイライトだから。
冬優子と愛依は、ステージにある「ワクワク」を「キラキラ」を、あさひに見せてやれる。
以下は本番前のあさひと2人のやりとり
くっそ煽るやん……かっけー……。
冬優子……やっぱりお前は最高だよ……。
愛依……………………(語彙消失)
彼女特有の優しさと、力強い言葉。。。
このシナリオはイベントシナリオ「VS.」の後なんですよ。
ストレイライト同士の、冬優子との1vs1の対決に敗れて、心の底から悔しかった愛依は今、誰よりも勝利に餓えているはずなのに。あくまで正々堂々。性根の底から他者への思いやりに溢れた人間性、そして彼女が培ってきたプライド、その両方があさひを助けると言ってるんです。
やっぱり、愛依は太陽だよ。
冬優子も本音では、あさひを憎からず想っている。でもそれと同時に、今のあさひは心底気に入らない。冬優子は、常に『ふゆ』であろうとしている。彼女の作り上げた理想で、いつでも完璧に、いつでも本気で。対して、あさひは自分とは違う。ありままの自分で振る舞うことで、多くの人が目を離せない。そんな特別さを持っている。それなのに、あさひは本気を出さない。腑抜けている。ましてや周りの人間が助けようと手を差し伸べている状況で。腹が立つのも当然である。
この世界で生きる上で、重力からは逃れる術はない。
そして同時に重力は、我々を世界に繋ぎ止めてくれている。
それは他者との関わりも同じである。
逃れる術はない。
そして同時に他者は、己を生かしてくれている。
それは、生きるために必要な重さ。
ここの台詞は後半2つが、テキストとあさひが読み上げる台詞の内容が異なっています。
「私たちにできるのは」→「わたしにできるのは(あさひ)」
「選択することだけ」→「選ぶことだけ(あさひ)」
このテキストと音声の齟齬の演出の意味は解釈次第かと思いますが、個人的にはこれはあさひのことだけでなく、ストレイライト全員にあてはまることなのではないかと思いました。
「重い」他者との関わりに苦しんだことがあるのは、あさひだけではありません。
愛依は、アイドルとしての「あたし」を作ったことで、友人との不和が生まれたり、イベントシナリオ「The Straylight」では自身の素顔をリークされてしまうといったトラブルに見舞われました。ただ、そうしたいくつかの試練を乗り越え、愛依は「あたし」として進んでいくことを決めました。
冬優子は言わずもがな。冬優子が『ふゆ』を作り上げたのは、元々他者に対する処世術でした。本来の自分とのギャップに苦しみもしましたが、今は覚悟を決め『ふゆ』も冬優子も本物とし、幸せと痛みを抱えながら進んでいます。
また今回のシナリオ中では、2人とあさひの、できることとできないことの対比も作中では描かれていました。
あさひは、物事の優先順位をつけたり、取捨選択をするという考えが非常に希薄でした。あさひの豊かな感受性は、目に入るもの、渡されたものを全て素直に受け取ってしまうのかもしれません。対して冬優子と愛依は、それぞれ避けようのない「重さ」の中で選択し続け、アイドルとして今ステージに立っています。「重さ」の中にいるという意味ではあさひと、冬優子と愛依は同じで、なんなら今のあさひにとって、既に選択をし続けている2人は「先達」なのではないでしょうか。
何もないはずのステージ。そこであさひの目に映るのは、あさひの先を行く2人の姿でした。
そしてあさひは飛び出すことを選択します。
ストレイライトのステージに、何もないなんてことあるわけないんです。
ストレイライトのステージには常に切磋琢磨し、あさひに追いつこうとし、あさひを追い越そうとする、最高のライバルであり、最高の仲間で、友達の冬優子と愛依がいるんですから。
言葉よりもステージの自分たちの姿で、あさひを飛び出させることができるという自信。そしてあさひは飛び出してくれるという信頼。まさしくステージで迷光を纏い偶像となるストレイライトらしいブレイクスルーでした。
そして第6話のタイトル通り、冬優子と愛依はあさひが進む方向を示す「コンパス」なんですね。でもこれは冬優子にとっても、愛依にとっても、メンバーそれぞれが同様の役割を担っていると思います。
これにて感謝祭のリベンジ成功!
今回のシナリオ、エンディングとサポコミュの後日談もかなり好きですね。
あさひを縛っていた「重さ」の事後処理です。
そしてエンディングのプロデューサー。
といった感じで、芹沢あさひへ「想い」を抱き助けてくれる他者として、冬優子、愛依、プロデューサーの話をしてたら、うっかり本編のめっちゃ良かったとこの感想を書いてしまったのですが、
本シナリオには、このいつもの3人以外にもあさひを「想い」助けてくれる他者が大勢います!
ひとりは、あさひを船に乗せてくれる船主の女性。
実はこの方、あさひのLandingPointコミュからの再登場です。
あさひが通うコンテンポラリーダンスの先生
ストレイライトに再オファーをくれた番組のディレクターさん
そして、今回あさひには非常に珍しい過去エピソードがあります。
その中に登場する人たち。
ひとりは、幼いあさひがひとりで池で遊んでいたのを注意した見知らぬ人。
そしてもうひとりは、シナリオ冒頭とサポートコミュにて、
あさひの回想の中で登場する「男性」。
この「男性」ですが、あさひの親族かどうかははっきりとしません。ただシャニマスの今までの傾向からすると、親族であるならばそのことをしっかり明記するはずなので、恐らく本当にあさひとは全くの他人なのでしょう。幼いあさひが遊んでいた場所の近くに住んでいる方で、あさひを放っておけず家で休ませたり、世話をしてくれた。何故そんな親切に、というのは推測になりますが、イベントの遊び方のポエムがそれっぽいかなと個人的には思います。彼は船主の女性と同様に、幼いあさひに救われたひとりだったのではないでしょうか。
冬優子は危なっかしいあさひが「今まで生きてこられた」理由として、「愛依やプロデューサーみたいな人が周囲にいたから」と推測しています。あさひを叱った見知らぬ人、そしてあさひを世話してくれた男性、彼らはそういったあさひを「想い」助けてくれていた人たちだったのだと思います。
芹沢あさひは、ありままの自分で振る舞うことで、多くの人が目を離せない。そんな特別さを持っています。それは幼い頃からそうだったのでしょう。みんなが放っておけない。そうやってあさひ自身は、知らず知らずのうちに他者に助けられ、今日まで生きてきた。芹沢あさひはそういう人間なのです。あさひは他者との関わりの中でしか生きていけない。でも、それはとてもポジティブなことなのだと思います。これからもあさひは、他者との関わりの中で「重い」あるいは「想い」を受け取り、その中で「ワクワク」や「キラキラ」を見つけていくことでしょう。今まであさひには「自由であれ」と思い、願ってきましたが、そんな夢見がちな自由など、この世には存在しませんので、今後はやめることにします。
「誰にも負けるな」芹沢あさひ。
今回の冬優子
当方冬優子Pなのでこれ以降は、まだ書いていない本シナリオ中の冬優子の好きなところをひたすら上げていきます。ここからがこの記事の本体と言って良い。
今回も冬優子は最高でした。
そして、
終わり。