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ハゲの短編小説 『ハゲの絆』

朝日が眩しく、風も心地よい日曜日の朝。
僕は、朝から洗濯物を干しにベランダに上がった。
ベランダに上がると、心地よさは、いよいよ増した。
「地球は、なんて素晴らしいんだ」と心から思った。
ふと下を見ると、ハゲの人が虐められていた。
その光景は、清々しい朝の中に、暗闇があるように見えた。
僕の心も、その闇に、支配されそうになった。
ハゲの僕は、勇気を出して「ハゲをイジメるな!」と言ってやった。
ハゲを虐める臆病者は、嘲笑しながら、その場を去った。
その時、僕は確かに見た。
虐められていたハゲの頭に、「ありがとう」の文字を。
声がなくても僕たちには通じる、絆がある。
朝日が更に眩しく、地球が僕たちを褒めているように感じた。
僕は、照れくさくなって洗いたてのパンツを被ってしまった。
でも、後悔はしていない。そんな優しい日曜の朝だった。



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