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生活の建築知識.3

現在東京では桜が満開となっています。
気温はなんとなく例年より涼しい印象ですが、寒い冬ももう終わりだなと感じています。
気温もそうですが、乾燥肌の自分としてはむしろ湿度の方が辛かったです。
常に加湿器をつけて、今年もなんとか乗り切りました。
春めく雰囲気を感じながら今回は気温や湿度に関して説明をしていきます。

日本においては、夏は暑く冬は寒いのが当たり前です。
しかし暑さ寒さは気温だけでなく、湿度も大きく関係しています。
これに関しては認識している方も多いでしょう。
建築分野においても、室内の快適さを保つために空調設備を計画するわけですが、多くの方が気温と湿度の関係について勘違いをしているため、空調機の操作と目的が異なっていることが多々見受けられます。
特に湿度に関してですが、湿度と言っても正確には2種類の湿度を区分けしなければいけません。
それは絶対湿度と相対湿度です。
これの違いが分かれば今後操作を誤ることもないと思います。

まず絶対湿度ですが、これは一定空気量に含まめる水蒸気の質量を表します。
なので、単位も重さを示すkg/kgで表記します。
一方相対湿度ですが、これは一定空気量に内包出来る水蒸気量の最大を100%として実際の水蒸気量をその比で表したものとなります。
ですので表記は%となり、これが普段使われている湿度ということになります。
今説明した内包出来る水蒸気量が重要なポイントです。
実は、一定空気量に内包出来る最大水蒸気は、その空気の気温に応じて異なるのです。
この内包出来る最大水蒸気量を飽和水蒸気量というのですが、飽和水蒸気量は気温が高ければ多くなり、低ければ少なくなります。
これはつまり、気温が高い時と低い時それぞれの飽和水蒸気量が100%であっても、内包出来る量が違うため、絶対湿度(kg/kg)でそれぞれ考えると異なった値となり、気温が高い方が多くなるのです。
気温が高い夏は空気中に多くの水蒸気を含むことが出来るし、気温の低い冬は含むことが出来ません。

これを踏まえた上で、空調機の操作に関して考えてみましょう。
夏場に暑く、冷房を開始することがあると思いますが、当然気温は下がります。
しかし、気温が下がるということは飽和水蒸気量に関しても少なくなり、空気中の水蒸気量が変わっていなければ相対湿度は上がります。
つまり冷房したのにじめじめした状態となるのです。
たまに耳にするのですが、冷房を入れると乾燥するというのは、ここからわかるように事実ではありません。
実際に乾燥させるとなると除湿を行わなければいけません。
空調機の機能によりますが、単純な冷房だけではむしろ湿度は上がってしまうことを理解しておけば適切な操作が可能です。
一方で冬場の暖房に関しては、逆のことが言え飽和水蒸気量が高くなるので、相対湿度は下がり一気に乾燥状態となります。
この時は加湿することを考慮した方が良いでしょう。

ついでに結露に関してお話しします。
冬場の窓に結露が生じるのは空気中の飽和水蒸気量が100%となり、水蒸気が水滴に変化するからです。
窓ガラス付近は特に気温が低く、飽和水蒸気量もともなって少なくなります。
なので、窓ガラスには結露が生じやすいのです。
暖房をかけながら加湿を行うと室内環境は快適となりますが、絶対湿度が多くなった空気が窓際に流れると結露してしまう、悩ましい状態となります。
出来ればですが、窓ガラスを複層ガラスとすることで結論防止に効果的なので、採用出来る方はおすすめします。
※複層ガラスは複数枚のガラスの隙間に水蒸気を含まない空気層があり、それが断熱効果を持ちます。そのため室内側のガラスは極度に温度が下がらず、室外側のガラス付近で温度が下がりますが、水蒸気がないので、複層ガラス内部での結露はしません。もし結露が生じたら割れがあるかもしれません。

これからは徐々に暖かくなりますが、快適な空間で過ごせるようにしていきましょう。

では、また。

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