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生活の建築知識.25

おはようございます。

前回(生活の建築知識.24)メンテナンスの話で、業者選定で建築に携わる人に相談することをおすすめしましたが、なかなか都合良くいるとは限りません。
そうなるとそもそも関わりが薄い分野であることも多く、実際私も知人から相談を受けることもありますが、ほとんど根本的に何をすれば良いのかという状態です。
逆の立場であればそれは当然だと思います。
はっきり言えば、建築工事は居住環境を作ることにおいて出来ることは多くあります。
もちろん敷地条件やマンションであれば躯体条件は変更不可ですが、新規で造る部分に関してはほぼ何でも出来ると言えます。
正確にはお金と時間に制約がなければという話にはなってしまいますが、おそらくあまり建築に馴染みがない方からすれば出来ることは多いと思います。

しかし多くのことが出来る反面、責任という観点からは保障が難しいこともあります。
当然通常の内容であれば責任を持って保障もしていくのですが、構成・構造・設備・機能・利便性上の無理がある場合、造る立場としては実施をしません。
特に構造・設備に関しては場合によっては災害の原因となることも考えられますのでお断りをさせて頂いております。
構成・機能・利便性に関しては、説明した上でご了承されれば実施をしなくはありませんが、保障の対象からは除外せざるを得ません。
それらの責任については、クライアントだけではなく設計と施工の間でもよく揉める内容でして、今回は施工の立場から責任という観点を説明します。

構成上の責任

多くのことが出来るという話からは反してしまうかもしれませんが、物質を扱うのが前提であるのでそれらの性質にそぐわない造り方は基本的に出来ません。
とにかく厚みを薄くしたいや異なる素材をピッタリ同一面で仕上げて欲しいなどの要望はよくあります。
他にも下地を設けるスペースは作りたくないが、強度は確保して欲しいや塗れない部分でも塗装をしてほしいなど。
要望に関してはもちろん承った上でその難しさは説明させてもらってます。
その時、金額や時間で解決出来ることであればご了承の上実施しますし、合意に至らない場合は残念ながらお断りするか、保障対象外という形で進めることとなります。
また、既製品を改造した造り込みを依頼されるケースもあります。
こちらに関しては造りに無理がない場合でも既製品への保障は対象外とすることがあります。
おすすめしないというわけではありませんが、既製品の機能が損なわれてしまうリスクや不具合が生じた時の保障は出来なくなります。

機能上の責任

特に各所の寸法などで議論があるのですが、なるべく無駄な面積を使いたくないため極端に狭い通路としたり、部屋の形状が異形となってしまったりすると使い勝手や物の出し入れなどに支障を及ぼす可能性があります。
また、配管スペースなどの理由で床高を上げなければいけない場合に空間を極力狭くしたくないことから、最小限で段差を設ける設計とすると小さい段差はつまずきやすいためおすすめは出来ません。
これらのような日常生活の所作や行動に関わることで、意匠や空間を優先させる設計に関しては、あらかじめ説明をして了承を頂きます。
ここまでは何ら問題がないと思いますが、実際には設計及び施工時に想定していない使い方が生活の中で出てくることがどうしてもあります。
そのような時に余裕がない寸法を採用すると使い勝手が悪いだけならまだしも、使えないということにもなりかねません。
標準的な寸法を採用しない場合は、想定外のことも出来なくなる可能性があると理解してもらう必要があります。

利便性上の責任

機能と重複する内容ではありますが、利便性は人それぞれ異なります。
とにかく収納を多くしても高いところにあっては使いにくい方もいれば、脚立を使うことを想定しているから問題ない方もいます。
電源が多くなくては困る方もいれば、むしろ減らして目立たないようにしたい方もいます。
何かに特化した機能を求める場合、何かしらのデメリットが生じますが、それがクライアントの利便性向上になるのであれば計画すべきでしょう。
ただやはりデメリットが生じることに対して許容が出来ない場合や、使い方で想定外の支障が生じた場合があることを了承した頂く必要があります。


事例を挙げるとキリがないのですが多くのことが出来る分、多くのことに責任が付きまといます。
もちろん標準的な内容であれば、設計・施工ともに責任を持って実施することとなります。
それらから逸脱すると、責任が取れないことが多々あります。
一般の方からすれば何が標準なのかと思うところあるでしょうから、やはり事前の相談が大切です。
ただ、標準ばかりを採用しても自分好みの空間も生まれないのも事実です。
あれこれやりたいことを設計・施工と協議してもらい、お互いに責任を理解し合うことで良い判断が可能です。
良い判断が出来ればより良い空間造りが叶えらると思いますので、まずは協議から初めてみてください。

では、また。

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