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食事の楽しみ方(火入れ)

こんにちは。

以前、味というのがどんなものであり、どんなバランスにするかで味付けが決まるということを紹介しました。

今回は味付けの次に大切だと思う、火入れに関して共有できればと思います。

火入れは、食材に熱を加えてその状態を変化させることを目的とする調理方法です。
フライパンで焼いたり、鍋で煮たり、油で揚げることも火入れに含みます。
また、電子レンジで加熱することも含めて良いでしょう。
火入れにより状態をコントロールすることで、料理の食べさすさや食感や香りを変化させてます。
そのために火入れをすると食材にどんな変化を与えることが出来て、なぜそうなるかを考えてみましょう。

まず野菜にはペクチンという酵素が含まれており、この酵素が温度変化で働きが異なります。
50℃〜65℃ではペクチンが活発に働き、野菜の細胞同士がくっつく効果があるため、野菜自体が硬くなります。
一方80℃を超えるとペクチンは分解され働かなくなることで、野菜は柔らかくなっていきます。
このことから、シャキシャキした食感を与えたい場合は低音で、柔らかく仕上げたい場合は高温で野菜に火入れする必要があります。

次に肉や魚について考えてみましょう。
肉や魚にはタンパク質が含まれています。
火入れをすることで、そのタンパク質は変性し収縮していきます。
タンパク質が収縮することで、内部の水分が押し出されることになり、乾燥することで硬化していきます。
特に魚は繊維が短く繊細であるため、肉と比べるとすぐにタンパク質が変性していきます。
このような硬化を避けながら火入れをしようと思うと、低温調理を行う必要があります。
聞いたことはあるのではないかと思いますが、低音調理とは50℃〜70℃の温度で火入れをすることです。
通常の火入れと比べて温度が低く、タンパク質の変性がゆっくりとなることで、内部の水分が抜けにくくなります。
また、変性具合も最小限で抑えることが出来るため、肉の硬化は少なく柔らかく仕上げることが出来ます。
一方で、コトコト肉を煮込んでも柔らかくなりますよね。
それは長時間煮込むことで、肉に含まれるコラーゲンがゼラチンに変化するためです。
ゼラチンとなると口当たりが良くジューシーに感じるようになる理由です。
この現象は低温調理でも起こるため、やはり水分に加えて、よりジューシーに感じる要因となります。

これまで、温度変化による食材の硬さなどについて説明はしましたが、火入れには別の目的もあります。
例えば食材を焼いた際には焦げ目をつけて、香ばしさを演出したり、その焦げ目を利用して煮込みの色味を濃くすることもあります。
また、野菜は火入れをすると甘みが増す効果があります。
これは糖化反応やデンプンの糖化によるもので、タンパク質と糖が熱を通じて反応することで結合し新たな風味を生成したり、芋やとうもろこしのようなデンプンを含む食材が熱を加えることで甘みが増します。
さらに玉ねぎも炒めることで甘みが増しますが、玉ねぎに含まれるフルクトースという糖が加熱で香ばしい香りと甘みが出て、そして焦茶色の変色していきます。
(キャラメリゼーション)
オニオンスープを考えるとまさにキャメリゼーションを利用して調理した玉ねぎを味のベースとした料理になります。
このように食材に火入れをすることで、色や味もコントロールすることで、料理の中の味付けや色合いとして利用することも出来ます。

各食材を火入れすることにより、狙った状態への変化させ、それらを組み合わせて料理が構成されることになります。
味付けは分量を守れば、ある程度目標の味に近づくでしょう。
しかし、火入れは食材の状態や大きさが都度異なるため、一概に決まった時間火入れをすれば良いということでもありません。
そのため、非常に難しく経験を積むことでより正確な火入れが出来るようになります。
味付けと火入れさえ上手く出来れば、料理のクオリティは非常に上がると断言しましょう。
まずはプロの仕事を参考にしていきながら、ご家庭でも火入れに注目してみて料理を楽しんではいかがでしょうか。

では、また。

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