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生活の建築知識.90

おはようございます。

建築はどんな方でも関係がないことはないでしょう。
必ずどこかに生活の場があるはずです。
その空間の良し悪しは建築に依存する部分は大きいかもしれませんが、土地の影響もあると考えます。
では良い土地とはなんなのかと言うと、それは人それぞれ価値基準が違いますので、一概には言えませんが、まっさらな気持ちで考えた時ある程度の基準はあります。
今回は土地の選び方について説明していきます。

最もわかりやすく判断できる基準としては、災害に強いか否かだと思います。
調べれば簡単に見ることが出来ますが、ハザードマップを参考にするのが良いでしょう。
見てみると、様々な災害に対しての危険度を色分けで確認することが出来ます。
東京23区内に住んでるため、こちらを例にしますが、ほとんどの災害でざっくり言うと東側が西側に比べて災害リスクが高いことがわかります。
理由としては東京湾の埋立地が多く、そこに合流する大きな河川が多いことが挙げられます。
山や川、そして海の近くはやはり災害の影響を受けやすく、単純に考えたら避ける方が無難と言えるでしょう。
個別に過去の災害を調べれば、より正確な土地特有の災害リスクを把握することも出来ます。
たまに街中で、過去の災害に対しての碑があったり、失われた命を供養するためのお地蔵さんなどがあることがあります。
そのような過去の履歴を参考にすることも対策としては有効だと思います。

次に、土地の歴史によって、そこの文化や風土が異なることがあります。
都内にはいくつか有名な高級住宅地があります。
例えば、松濤は日本有数の高級住宅地と言えるでしょう。
松濤と言えば渋谷駅からも近く利便性も良いですが、適度に繁華街からは距離もあるため、商業施設からの騒音や照明の眩しさなどの影響もない、閑静な住宅街です。
一方渋谷といえば、宇多川があるために災害のリスクがないわけではないが、松濤はちょうどそのエリアには含まれていません。
松濤は歴史的に、江戸時代に紀州徳川家の下屋敷(別邸)があった場所です。
明治になり、佐賀藩主の鍋島家に譲渡したのち、松濤園という茶園を開いたことが名前の由来とされます。
茶畑として適した立地としては、極端な天候には見舞われず、適度な寒暖差があることが良いとされます。
そして、最も大切な条件としては水はけが良いことです。
多くの茶畑は山の斜面などを利用することで、自然と地盤の水分が下に流れることで水はけが良いという特徴があります。
これにより、根腐れなど病気になるリスクが軽減されるようです。
このことから、松濤は古くから水はけが良かったのだと推測されます。
行ったことがある方はわかるかもしれませんが、渋谷駅から歩いて向かうと徐々に坂を登るようななっていることがわかります。
災害と話は繋がってしまいますが、水はけが良かったことが、下屋敷や茶園として適しているとされたのでしょう。
武家屋敷や下屋敷があったような場所は、古くから土地の条件が良いこと可能性が高いと言えます。
そしてそのほとんどが、高級住宅街として分譲され現在に至っています。
さらに寺社仏閣や学校がある場所も災害の影響を受けづらく、地面が良好である可能性が高いと言えるでしょう。
一方で人気があるからと良い土地であるかと言うと必ずしもそうではありません。
例として、数年前に台風で大きな被害を受けた武蔵小杉は、昔から多摩川による氾濫で何度も被害を受けてきた土地です。
江戸の食糧を賄うための農村地だった武蔵小杉ですが、その後東京と横浜を線路で繋ぐ計画が出た際に、効率良く実施するため、なるべく直線で低地が採用されました。
このことから武蔵小杉は利便性が高いということと低地であるということがわかります。
そして利便性が良かったために急激な開発が進み、多くの人が住むこととなりましたが、インフラ整備が万全とは言い難いエリアとなりました。
しかし今後インフラがさらに改善されれば人気に反さない優良な土地となるかと思います。

安全な暮らし、住みやすい土地、そして過ごしやすい住まいが揃って良い住宅と言っても良いでしょう。
みなさまも気になる際は、お住まいの土地について歴史を調べて見て、どのような特性があるか確認してみてください。

では、また。

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