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サークルA60歳:真実と虚偽

原文:https://freedomnews.org.uk/2024/04/12/the-circled-a-at-60-true-and-false/
原文掲載日:2024年4月12日
著者:トマース゠イバニェス

このシリーズの第1回はこちら拙訳)。

その起源について詳細に記録された証拠があるにも関わらず、アナキスト界隈やこのシンボルの起源を探求する多くのリバータリアン史料編纂で、数多くの空想的憶測が続いている。ハッキリさせておかねばならないが、私達は特定のデザインではなく、アナキズムのシンボルの歴史に関わっている。円に囲まれたAの文字の表現は何世紀も前から確かに存在していたが、それらはアナキズムとは無関係だった。

以下にサークルAに関する正しい記述と誤った記述を挙げておく。

→サークルAは常にアナキズムの一部だった:

サークルAのシンボルとアナキズムとの繋がりは非常に根深いため、両者は元々結び付いており、古い起源を持つと大分前から思われていた。その発端にまつわる情報がないため、神秘的感覚を醸成し、この誤解を長続きさせたのである。

→サークルAの登場は1964年4月である:

アナキズムのシンボルとして徐々に広まっていたが、1970年代以降になって初めてイタリアを皮切りに広く受け入れられるようになった。

→サークルAはプルードンのよく知られた文章に倣い、「権力なき秩序」を想起させる意図があった:

この主張によれば、権力の欠如を象徴するアナーキーの「A」が秩序(order)の「O」に囲まれているという。しかし、アナーキーのシンボルを確立しようとした青年リバータリアンはこの解釈を一度も思いつかなかった。サークルAとプルードンの概念には何の関係もなく、秩序という概念とも何の関係もない。これを証明するのがサークルAの多様な進化であり、特にパンク゠ムーブメントがこのシンボルを再生した際、閉じた円の枠を脱却した。

→1870年以降、スペイン国際労働者協会連合評議会の印章にはサークルAが描かれていた:

この印章は、正方形と測鉛線を組み合わせており、アナキズムよりもフリーメーソンに近い。当時、国際労働者協会スペイン支部は、バクーニンに強く影響されていたが、明確にアナキストを名乗っていなかった。従って、この印章にアナキズムを象徴する意図はなかった。

→サークルAは、スペイン革命中の民兵のヘルメットに描かれていた:

ヘルメットにサークルAを見つけようと頑張っても、描かれた線がシンボルを形成していると解釈するのは難しい。仮に、民兵が確かにサークルAをヘルメットに描いていたとしても、サークルAがスペイン革命に全く存在していない以上、アナキズムのシンボルだとは言えない。

→サークルAは1957年にAlliance Ouvrière Anarchiste(アナキスト労働者同盟)の会報に掲載されていた:

この小さなフランス語圏アナキスト組織の会報に掲載されたのは、AOAという頭字語で、同盟(Alliance)の頭文字「A」の中に労働者(Ouvrière)の「O」を入れ、さらに「O」の中にもう一つの「A」(アナキスト、Anarchiste)を入れたものだった。これはサークルAとは全く違う。サークルAは、いかなる組織とも切り離されて初めてアナーキーを象徴できる。アナキスト労働者同盟の会報でサークルAが使われたのは、サークルAが登場した4年後、1968年6月だった。

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