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中小企業・スタートアップ企業を読み解く

「中小企業・スタートアップを読み解く・伝統と革新、地域と世界」加藤厚海ら共著・有斐閣ストウディア2023年9月発行

著者は岐阜大学、東北大学、北海道大学の3名の教授よる共著である。

中小企業は日本経済の主役である。現実はゾンビ企業的に生産性向上の足かせとも言われる。本来は地域の主役、技術基盤、イノベーションの主役である。本書は横断領域としてスタートアップ中小企業の研究である。

中小企業の特徴は手作り、手仕事による生産が主体で、徒弟制度的人材育成、汎用機による多品種少量生産が基本である。そのため大企業のサプライヤーシステムに組み込まれる。ゆえに独自性、創造性発揮が難しいといわれる。

2022年世界にユニコーン企業は1,080社ある。うち半分は米国企業、中国19%、インド5%、日本は10社、1%未満である。原因は起業のための制度的、人的環境が整備されていないことによる。

起業家スピリットは開放性、自由性にある。米国にユニコーン企業が多いのは移民的企業家、創業者が多いことにある。起業とグローバリゼーションは相性が良い。テスラのマスク氏は南アフリカ出身、ズームの創業者は中国出身の移民である。

そこには超国家コミュニティが成立し、地域的ネットワークが確立する。カルフォルニアのシリコンバレーが典型である。岡田光信氏が起業した宇宙ゴミ処理会社「アストロスケール」も日本国内での起業ではなく、シンガポールで創業された。

日本国内で中小企業のスタートアップが容易になるようなシステム作りが急務である。小手先の補助金制度、税制優遇でなく、根本的な環境整備、人材育成が必要だろう。

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