第一回「バカボンの誕生」
昭和も終わりに近づいた頃にバカボンは生を受けた。四人家族の次男として京都の病院で産まれた。里帰り出産を経て東京で生活をしていた。
バカボンは知能明晰でとても可愛い子供であった。両親の愛情を受けすくすくと育っていた。
バカボンには3つ年上の兄がいる。兄は次男の誕生から母親に甘えることができなくなり、バカボンのことをよく思っていなかった。
「お母さん、お母さん」バカボンは普通の子供でありお母さんが大好きであった。
幼児の頃の大きな出来事といえば階段から3回落ちたことだろう。その中の一つは兄に階段から突き落とされたことだ。
頭を強く打ち病院で検査を受けると頭蓋骨にヒビが入ったとのことだった。
これが後に発症することになる双極性障害と関係があるのかは誰にもわからないことだが。
幼稚園には一年早く入学した。家にいると母親が目を離している間に一人で公園に行ってしまう。見兼ねた両親が幼稚園に入れたのだった。
幼稚園では年上の女の子がよく遊んでくれた。人生最大のモテ期だったと今振り返れば思われる。
年少、年中、年中、年長と4年間幼稚園に通った。お寺に併設された幼稚園で仏教を教育に取り込んでいた。今でも覚えている歌がある。
「のの様は口では何にも言わないが、貴方のしたこと知っている。知っている。」善悪の観点が心の中にあるとすれば悪いことはするものではないと感じさせる歌だった。
神仏の存在を初めて意識したのはこの頃かもしれない。お寺には一族の墓もあった。父方の祖父母の近くに住んでいたため親戚同士の交流もあった。
下町の商店街のある街でバカボンは小学校に通う歳となる。
(続く)
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