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【ライブレポート】「えるすりー5 第五公演」キミはバーチャルアイドルの誇りを見たか【Life Like a Live!5】

・はじめに

 2023年3月17日(金)から19日(日)にかけて開催されたバーチャルアイドルオンラインライブフェス「Life Like a Live!5」
 本記事では、全5公演に分けられたうちの最後を飾る第五公演についてライブレポートとしてまとめていきたいと思う。
 第一公演から第四公演についても、最速レポとして簡易的ではあるが書き残しているので時間がある際にでも読んでいただけたら幸いだ。

 では、始めていこう。
(Z-aN配信ページの記載に基づき、撮影したスクリーンショットを使用させていただきます。)

・ストーリーパート

 「えるすりー」には毎回テーマに沿った縦軸としての物語があり、幕間のストーリーパートで垣間見ることができる。
  今回のテーマはカジノ。しかし、このステージにおける「勝利」とはギャンブルに勝つことではなく、バーチャルアイドルとしての誇りを賭けた己との勝負に勝つことであると気づく出演者たち。最後の舞台に向け気合を入れなおす。

 一方で、ライブ外でも所属の枠を超えた展開があるのが「えるすりー」。
 あるバーチャルアーティストとその大ファンなVtuberが邂逅したり……

 別のライブで共演したアーティストと再会したり……

 クロスオーバーが好きなオタク(筆者も好きです)にとっては垂涎モノのシナリオが描かれ、いよいよライブが始まる。

・根本凪&VALIS

 開幕からフルスロットルだ。この2組は今年の1月~2月にかけて行われたVALISの3rd ONE-MAN LIVE「必然的レゾンデートル」以来の共演となる。
 巻き舌をテクニカルに加えるスタイリッシュな歌声のVALISメンバーに、根本凪のヒーカップ唱法を駆使した甘い声が絶妙にマッチする。VALISといえば統率のとれたダンスパフォーマンスも特徴だが、根本凪も自然に組み込まれ違和感を感じさせない仕上がりになっていた。
 なんといっても今回披露したVALISの楽曲『偶像ナイトメア』にはメンバーの名乗りパートがある。そこも幻の7人目、NAGIが見事に収まっていた。

 MCではどちらもバーチャル、リアル双方で活動しているということや、どちらも飲食店(スピカ・リウム、瓦利斯飯店)を営んでいることなどの共通点について語った。再会の場を設けてくれたえるすりーに感謝をしていたが、視聴者としても同じ気持ちだ。

・根本凪

 VALISメンバーが一礼の後、ステージを去ってからは根本凪のソロステージが始まる。
 星が打ちあがるステージで宇宙を思わせる曲『Cosmic Rays From APOLLO feat.根本凪』を、対して軽快なテンポの『ペパーミント脱走計画 feat.根本凪』を歌い上げた。かわいらしくも透明感のある歌声にコメントもメロメロな様相だ。

・Sputrip(常磐カナメ、暁月クララ、香鳴ハノン)

 続いて、バーチャルアイドルプロジェクト「Palette Project」よりシティポップをテーマにしたユニット「Sputrip」が出演。
 1曲目は軽快なギターリフから始まる楽曲『Starry☆Melody』。自己紹介要素のあるラップパートでは、ライブアレンジもありつつメンバーそれぞれの魅力を余さず伝えた。

 さらに『with your JOURNEY』で視聴者を宇宙の旅に連れて行った。かわいらしく、しかしムーディーに歌い上げる。

 続けざまに空の旅へ!『アイドライフライト』だ。クリーンギターやシンセの雰囲気がまさにシティポップを感じさせる。軽やかな動きのダンスにも注目したい。

 最後の曲『Dreamin'Train♡』ではそれぞれの好きな食べ物を賭けて戦いが始まったが、アイドルらしいパフォーマンスの後、三色団子の舞をしながら締めていった。

・VALIS

 再びステージに上がるのはバーチャルサーカス「VALIS」。「必然的レゾンデートル」で初公開され、2月にMVが出たばかりの『熱愛フローズン』を早速披露した。

 MCでは「深脊界市」で劇場一体型レストランを営んでいることや各メンバーの役割を解説し、視聴者を一気に世界観へ引き込む。
 続く2曲目の『乙女的サイコパシー』は公式MV動画では「#転生曲」とされている。

 「アイドルの誇り」を賭ける場でこの曲を演じるということに歴とした覚悟を感じる。彼女たちの古参ファンであればあるほどそれを実感するのではないだろうか。ともすれば重い愛の歌詞を軽妙なダンスと歌声で表現する。

 舞台を去る前の一礼まで含めて、VALISのショーに魅せられた。

・もこ田めめめ、神楽すず(.LIVE)

 どっとライブより1期生の2人が登場。
 カジノに合わせてウサ耳を携えた神楽すずが『Flyers』をカバーした。軽やかなステップでステージ上を跳ねまわりながら、伸びやかな歌声で実力を見せつけた。

 続いて目からハイライトの消えたもこ田めめめが『ルシファー』を歌う。
 映画「白爪草~小手毬の選択~」では主演、主題歌を務めるなど演技力、歌唱力の高さに定評のあるもこ田めめめ。今回のような世界観に入り込む曲を歌う時は特にその真価を発揮しているように感じる。

 MCで合流する2人。カジノから広げて賭け事の話になっていく。神楽すずの清楚なビジュアルから飛び出る、競馬やボートレースといったワード。かつて清楚メトロノームと呼ばれたのは伊達ではない。

 2人で勝ちたい旨を話した後はデュエットで『SNOBBISM』をカバー。双方が高音も低音も兼ね備えている。絶妙なハモりにコメントは称賛で溢れていた。

・アイデス

 えるすりー5でも暗躍する謎多き人物、アイデスがついにステージへ。
 暗黒のオーラ渦巻く中、歌う1曲目はまさかの『ボッカデラベリタ』

 この曲は2020年に開催された最初の「Life Like a Live!」にて、LiLYPSEがサプライズお披露目を行った際に歌った曲でもあるのだ。LiLYPSEのワンマンライブ「双星歌劇」では2人の物語に干渉するアイデスが、同じえるすりーの舞台でこの曲を歌うというのはなんらかの意図を感じざるを得ない。 高音、シャウト、がなりと演出だけでなくパフォーマンスの面でも視聴者を圧倒させた。

 MCでは前回(えるすりー4)、うっかりテンションが上がり乱入してしまったが今回は正規の参加者であることを告げる。
えるすりーはアイドルが立つ場所であり立った者がアイドルになる場所。
 「私も今日だけは......あなたのアイドルになっちゃおうかな?」という
ファンサービスなセリフから『ファンサ』が始まった。

 コメント欄やツイッターの反応は「!?」一色になっていた。闇が晴れて輝くステージの中、そこには"アイのこもったデスビーム"を放つアイドル「アイデス」がいた。曲後半ではウサミミも着ける、ウインクもするなど、ここでしか見られない光景があった。
 うろたえながらも感動する我々に対し、「してやったり」とでも言うような高笑いで出番を閉じた。

・LiLYPSE

 その流れに続くのは同じくバーチャルavex「AVALON」所属のLiLYPSE。
 暁みかどと暁おぼろが並び立ち、1曲目の『ファンサ』が始まった。

 アイデスが被せるならこちらも、と言わんばかりの選曲に視聴者のボルテージも高まる。赤色と青色のライティングが大きく広がるステージの中、そこには"愛のこもったみかどーム"(?)を放つアイドル「LiLYPSE」がいた。
 LiLYPSE2人にしかできないハーモニーを奏でた後、みかど様からのありがたいお言葉が。
「あんたたちは、今日1回しか『ファンサ』を見てない。OK?」

 MCでは「自分が納得できる勝利」について話し、そのままLiLYPSE10番目のオリジナルソング『annuLus』を披露した。

 王になるでも神になるでもない、2人が、2人で生きるということに向き合った末の曲を高らかに歌い上げる。

 LiLYPSEが生きるということは、我々視聴者の記憶に、心に少しでも長く残るということ。いつ消えても後悔のないように生きる。2月に行われた4thライブでも宣言した旨を改めて表明する2人。
 LiLYPSEが生きた証として歌う最後の曲。それこそが、

 『レッツゴー!陰陽師』だった。
 炎が燃え上がり、床には太極図、背景には五芒星。あらゆる困難が科学で解決するこの令和の時代に往年の名(迷)曲を再現し、人々の記憶にLiLYPSEの生き様を刻み込んだ。
 「成仏しろよ!」

・GEMS COMPANY

 そんなキラーパスを見事に受け止めたのはGEMS COMPANY。
 ハイテンポかつ中毒性のある曲『FUN FUN JAPAN ~ 津々浦々四季折々 ~』で熱量そのままに繋いだ。

 2曲目は『ゴールデンスパイス』。筆者が初めてライブでジェムカンを知った時にこの曲を歌っていたので、ジェムカンといえばこれ、というイメージが個人的に強い。
 王道バーチャルアイドルらしいチームダンスと歌声でメンバー個々の魅力もグループとしての強さも見せた。特に間奏でのフリーダムな動きには注目したい。

 MCではえるすりー皆勤賞であることを伝える。2020年から絶えず研鑽を重ねたパフォーマンスにも納得だ。
 定期ライブの開催も決まっているとのことで、今後の動向からも目が離せない。

 最後の曲『チアリータ♡チアガール』は、昨年公開されたばかりの元気の出る応援ソング。
 キレのあるダンス、活力に溢れる声にコメントもノリノリだった。

・まりなす

 トリを務めるのはバーチャルアーティスト「まりなす」。
 「今宵、私たち『まりなす』から心を込めて、最高のショーをお届けしますのでどうぞごゆっくりご堪能ください。」というフリから始まったのは、まりなすのオリジナルソングである『CANDY HAPPY LOVE PARADE』を、えるすりー5の舞台であるカジノに合わせてアレンジした『バキ丸カジノアレンジ CANDY HAPPY LOVE PARADE』

 ライドシンバルが響くジャズ風アレンジで普段とは一風変わった大人な「まりなす」を魅せた。

 MCでは投げキッス合戦の後、3月25日に開催される、4人体制のまりなすとしては最後となるムービーライブの告知を行った。

 1st以来の声出しOKとなるワンマンライブ。これは必ず見届けたい。

 「今の『まりなす』の気持ちを込めて歌う」と言いつつ始まったのは『ETERNAL ROSE』

 「退屈な日々を塗り替えていく未来 青、黄色、緑 色づいた」という歌詞がなんといっても印象的だ。

 次元の違うバーチャルなアイドル、バーチャルなアーティストであったとしても、確かにそこにいて、確かに生きている。視聴者のコメントも熱量も感じてくれている。
 私たちがバーチャルに夢を持った、最初の気持ちを思い出させてくれる。

視聴者、共演者、運営スタッフへの感謝を述べた後、『亜空の先へ』を披露した。バーチャルの行く末はどうなるか分からない。しかし、これだけ誇りを持ったアーティストがいるからにはきっとその先は良いものになっていくのだと思う。そう信じたい、と思わせられるステージだった。

・『Life Like a Live!』

 最後はアンコールとして、『Life Like a Live!』のフィナーレバージョンを参加者全員で歌唱。

 第一公演レポでも書いたように、普段はそれぞれ別の場所で、それぞれの活動を行っている存在が一堂に会する場面は壮観である。姿かたちは違えど全員がバーチャルアイドルとしてこのステージでは一体となる。
 3日間、5公演を締めくくるにふさわしい感動を生んだ。

・最後に

 ……しかし、えるすりーはこれで終わりではない。
 ライブの最後には「Life Like a Live!6 デビルズナイトメア」が2023年秋に開催決定した。

 秋に向けて、バーチャルアイドルたちの今後についても追っていきたい。

 拙文でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。


Life Like a Live!5 第五公演 セットリスト
・根本凪&VALIS
 1.偶像ナイトメア
・根本凪
 1.Cosmic Rays From APOLLO feat.根本凪
 2.ペパーミント脱走計画 feat.根本凪
・Sputrip
 1.Starry☆Melody
 2.with your JOURNEY
 3.アイドライフライト
 4.Dreamin'Train♡
・VALIS
 1.熱愛フローズン
 2.乙女的サイコパシー
・もこ田めめめ、神楽すず(.LIVE)
 1.Flyers
 2.ルシファー
 3.SNOBBISM
・アイデス
 1.ボッカデラベリタ
 2.ファンサ
・LiLYPSE
 1.ファンサ
 2.annuLus
 3.レッツゴー!陰陽師
・GEMS COMPANY
 1.FUN FUN JAPAN ~ 津々浦々四季折々 ~
 2.ゴールデンスパイス
 3.チアリータ♡チアガール
・まりなす
 1.バキ丸カジノアレンジ CANDY HAPPY LOVE PARADE
 2.ETERNAL ROSE
 3.亜空の先へ
・全出演者
 1.Life Like a Live!


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