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子どもはいつも可愛い―『枕草子』

『枕草子』に描かれる子ども達の様子と、それを見つめる大人(清少納言)の目は、私たちに1000年前と今が全く変わらないことを教えてくれます。『枕草子』の子どもあるあるをご紹介します。以下、新編日本古典文学全集を参考にさせていただきました。

乳飲み子はふっくらしているのがいい。(56段)
幼い子は変な弓とか、細い枝のようなものを振りかざして遊んでいるのが可愛い。牛車を止めて抱き入れて見たい。(57段)
不安なもの。まだ話せない乳飲み子が、そっくり返って人にも抱かれようとせずに泣いているの。(68段)
胸がつぶれそうになるもの。まだ話せない乳飲み子がとりつくしまもないほど泣いて、乳も飲まず、乳母が抱いているのに泣き止まずに長時間いること。(144段)

子どもって棒が好きですよね。我が子が泣き続けていて困った経験は誰しもあるはず!

かわいいもの。2、3歳の子が急いで這ってくる道にとても小さいゴミがあるのを目ざとく見つけて、かわいい指でつまんで大人たちに見せていること。
目に髪がかかっているのを掻きやることもしないで、顔を傾けて物を見ていること。
まだ小さい殿上童が立派な装束を着せられて歩き回っている姿。
かわいい赤ちゃんが、こちらがちょっとだけと思って抱いてあそばせて可愛がっているうちに、ぎゅっと抱き着いて寝てしまったのもかわいい。
色白でふっくらした二歳くらいの子が着物が長いので結ばれていてハイハイしているのも、裾が短い着物で袖ばかりが目立つようなのを来てあちこち歩いている子も、みなかわいい。
8,9、10歳の子がまだ幼い声で漢籍を一生懸命に詠んでいるのもとてもかわいい。(145段)

赤ちゃんってどうしてゴミを大人に見せたがるんでしょうね~。子どもが一生懸命な姿も本当にかわいいですね。抱っこしているときにしがみついて寝てしまうのなんて、たまらないです。


いつ生まれるかと待ち遠しかった子が生まれて、50日、100日のお祝い(現在のお食い初め)をする頃、将来が楽しみで待ち遠しい気持ちだ。(154段)
こまっしゃくれているもの。今時の3歳児!(241段)
すぐ真似するもの。子どもたち。(285段)

100日頃って、赤ちゃんが来てくれた!という新鮮な喜びと、少し落ち着いてきてこれからどうなっていくのかな、という思いがないまぜになる時なのかもしれませんね。

次は、親について。

(家に子連れで来た時に)子どもが好き勝手に物を引っ張りだしたりして、「あれ見せてよ、ねえ、お母さん」などと服を引っ張るのだが、母親の方は話に夢中で聞き入れないと、自分で探して大騒ぎするのもとても憎らしい。
それを、「だめでしょ!」とも厳しく言わず、「そんなことしちゃだめよ~。」「壊さないでね~。」とニコニコしながら言うだけの親もにくらしい。けれど、親の面目もあるので、こちらからは何も言えず見ているだけなのもじれったい。(146段)

これもわかる!自分も気を付けないと……と思います。

親が可愛がっている子は、周囲からも大切にすべき子だと思われる。見どころのある子であれば、親が可愛がるのも当然だと思うし、そうでない子であれば、この子をそれでもかわいいと思うのは、やはり親だなぁと親心がしみじみと感じられる。(249段)

親が可愛がっていると、周りもその子を大事に思うようになるという話。素敵ですよね。

以上、『枕草子』からでした。子どもっていつの時代も変わらず可愛いですね。清少納言のように、子どものちょっとした可愛い瞬間を大事にしていきたいですね!


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