web小説書籍化の分類
基本的に2010年代前半頃、なろう書籍化関係がメイン。
1-1.既存ライトノベルレーベル
例としては「電撃文庫」「メディアファクトリー文庫」「角川スニーカー文庫」「富士見ファンタジア文庫」といったあたり。
2000年代後半期、『涼宮ハルヒの憂鬱』アニメ化あたりから、文庫で展開していたライトノベル産業は絶頂期を迎えており、そのルートから書籍化に至った、という例。
最も基本的な方法は、新人賞で上位となること。
これらの作品はweb上での掲載歴こそあれ、そこでの人気等は一切関わらない形で書籍化に至った例と言える。
次いでこうした新人賞への応募を通じてweb掲載作品を認知、編集個人がリクルートしていった例。
あとがき等で語っている場合を除き、確たることは言えないのだが、当時の書籍化状況からかなり浮いている、このあたりも何かしら出版社との繋がりあってのリクルートかと思われる。
1-2.アルファポリス
最も早期からweb書籍化を手掛け始めた会社であり、そのためのルートもいくつか存在した。
その1つが「ドリームブッククラブ」であるのだが、まぁ実際のところこれ経由は極めて少ない。
また早い時期から「webコンテンツ大賞」を実施しており、小説家になろう掲載が確認できる、ここ経由で最初に書籍化した作品として「らしく。」が挙げられる。
だがまぁそれらはあくまで例外的というか、本格的にweb書籍化事業を開始したのは「エタニティブックス」創刊から。
web書籍化というと、ネット上に上がっている作品を見て出版社が声をかける、という形を想像するかもしれないが、アルファポリスのそれは根本的に異なる。
まず作者がどこぞに小説を投稿し、それをアルファポリスの「アクセスランキング」に登録、一定のポイントを満たした上で「出版申請」を行うことで書籍化に至るというもの。
エタニティブックスの頃だと個人HPが主体であったが、徐々に主流の作品置き場は、「ランキングタグ」を使用できるなろうへと移行していった。
なろう掲載作の早期の書籍化例としては「EYES」が挙げられ、ダイジェスト化という手法はこの時生まれたようである。
なろう発の書籍化が本格化していくのは、異世界モノを扱う「レジーナブックス」創刊から。
アルファポリスはweb掲載作の削除が原則であり、レジーナ系作品の場合多くがダイジェスト化を選ばず、なろう掲載を削除して書籍化していった。
当初はかなり女性向け的な場が形作られていたのだが、2011年も半ば頃まで来ると男性向け的な作品がかなり増えていく。
アルファポリスは当時としてはほぼ唯一の、現実的なweb書籍化ルートと言ってよく、さらに作者自身によるアプローチから書籍化に至るというシステムも相まって、なろう作者のランキング登録は増加を遂げる。
ネタ混じりに「シーカーショック」と呼ばれるが、なろうで男性向け的作品を書いていた作者達が、挙ってアルファポリスアクセスランキングに登録していった状況、と言葉に出来ようか。
ただ徐々になろう書籍化を手掛ける出版社が増加、独占的な地位は崩れていき、2013年秋にKADOKAWAが本格参入するようになるとこのシステムは一気に後退。
限界を悟ったのか、アルファポリスは2014年10月に小説投稿サイトへと転身した。
2016年06月になろうがダイジェスト禁止・削除した関係で色々言われたりするが、アルファポリスは書籍化にしろダイジェスト化にしろ、徹頭徹尾「作者の意思」が前提のシステムであり、基本的に読者による「タダで全部読めなくなる愚痴」以上のものではないだろう。
その後も経営は現在まで極めて好調、ライトノベル産業内で2番手の地位を維持している。
1-3.エンターブレイン
今はKADOKAWAの一部門という感じだが、2013年10月以前だと一応別物。
ニュー速VIPだったりArcadiaだったり、なろうランキングベースではない、かなりの独自路線として動いていた。
『オーバーロード』に関しては、「前編」を持ってきて1ヶ月と経たずに書籍化情報解禁、という流れを見る限り、すでに話は出来上がった上でのマルチ掲載だったと思われる。
2-1.フェザー文庫
あるいは「林檎プロモーション」という会社。
2011年11月とかなり早期になろうに参入、当時の累計上位作品複数の書籍化を手掛けたものの、能力が全く伴っていなかったという例。
2-2.ヒーロー文庫
2012年09月創刊。
なろうランキング上位作品を書籍化、としてまともに機能しだしたのがこのレーベル。
まぁ「薬屋」は若干紆余曲折あったり、単純にランキングから選んだって感じでも無い。
3.KADOKAWA
ライトノベル産業の王、当時市場の7割超を占めた絶対的存在。
2013年08月の「MFブックス」創刊あたりから、本格的になろう書籍化を手掛けるようになった。
ここが参入したことによって、「非削除」「大判で出す」というような、他社含めて以後の書籍化の方向性が定まったと言ってもいいだろう。
その後も色々と出版社が参入していくわけだが、これ以降は特筆すべきことも無いと感じる。
おまけ:初出Arcadia書籍化作品
合計で21作と手頃なボリュームだったので。
1-1.既存ライトノベルレーベル
最盛期Arcadia(概ね2008年後半~2010年前半)という頃だと、そもそもweb掲載作品がそのまま書籍化されるということ自体、現実的なことではなかった。
作品を投稿して読者達の反応を探り、それをブラッシュアップした上で、あくまで本命は「ライトノベル新人賞」だ、という意識で活動していた人達ととれるだろう。
1-2.アルファポリス
ドリームブッククラブなので、この1作だけは別物。
もう初出Arcadiaからのアニメ化とか無いだろ、と思っていたら来た。
前提条件としてArcadiaは作品単位でアクセスランキングの設置とか出来ないので、いずれも小説家になろうに投稿してアルファポリスへ登録する、という手順を踏んでいる。
1-3.エンターブレイン
なろうの書籍化作品を見ても、独自の嗅覚で動いていた感が強い。
2013年10月にKADOKAWAの1レーベルとして組み込まれているので、「オバロ」は途中でマークが変わったりしている。
2-1.フェザー文庫
「フェザー文庫」ではなく「フリーダムノベル」(大判)だが、まぁ悪名高き林檎プロモーションなんだよなあ……。
2-2.ヒーロー文庫
強いて言えば「ネクストライフ」は当初、Arcadiaとなろうでマルチ投稿を実施。
3.KADOKAWA
まぁ別にKADOKAWAじゃなかったりだが、要は2013年以降の書籍化システム中の存在。
一応Arcadia初出ではあるものの、この時期まで来るとどれもなろうだったりカクヨムだったりと、他サイトで評価を上げることによって書籍化したもの。
まとめ
ちょっといい感じに並べて。
制度史
作風面
年表
二次創作