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代表的なレバント料理(アラブ料理)であるムタッバルとババガヌーシュの違い

アラブのレバント地方の代表的なメッゼであるムタッバルとババガヌーシュですが、とても似ているので違いを含めてご紹介します。

レバント地方とはシリア、レバノン、ヨルダン、イスラエル、パレスチナのことを指します。

ヨルダンのペトラ遺跡

メッゼとは前菜や軽食のことですが、レバント地方ではご飯にもなり、ナスなどの野菜やサラダ、ひよこ豆などの豆類、ヨーグルト、チーズ、オリーブが中心です。

ムタッバル

ムタッバルは、レバント地方でよく使われる野菜であるナスを焼き、皮を削いでからつぶし、タヒーナを加えてペースト状にしたディップです。

写真の左側の料理がムタッバルです。

@ドバイのレバノン料理レストラン

タヒーナ(タヒーニ)とは練りゴマペーストのことで、うちの冷蔵庫にあったので写真を撮りました。

日本でムタッバルやフムスを作る時は中華食材の芝麻醤で代用していましたが、味的に問題ありません。

逆にカタールに住んでいる今は坦々麺を作る時にタヒーナを利用しています。(それも味的に問題なし)

お店に色々な種類のタヒーナがある場合は、少し値段が高めのものを選ぶと苦味が抑えられていて良いのではないかと思います。

ムタッバル
はフムスと違ってミキサーを使わず、ナス本来の食感を感じることができるテクスチャーとなっています。(ミキサーにかけられていることもありますが)

また、ナスのスモーキーな風味があるのが美味しいと言われていて、オーブンよりも直火で炙った方がより強いスモーキー感が出ます。

サイズはローストがしやすいので大きめのナスを選ぶことをお勧めします。

味付けはフムスとほぼ同じで、ニンニク、レモン汁、塩が使われます。シリアではこれにヨーグルトも追加します。

もし、家にある場合はザクロ濃縮果汁を足すと美味しいです。(ジャガリーと言うサトウキビやパームヤシから作られる精製していない砂糖で代用可能)

ジャガリー

ザクロの濃縮果汁は中東では肉料理や魚料理に使われたり、バスサミコ酢のようにサラダにも使われます。

ムタッバルは、クリーミーな感じがニンニクで締まった味になっていて美味しいです。フムスと似ていますが、フムスよりムタッバルの方が軽いです。

お皿に盛り付ける際には写真のように、真ん中が凹むようによそい、その部分にオリーブオイルをかけます。

その他にもお好みでクミンパウダーやスマック、アレッポトウガラシやミント、パセリ、ザクロなどを軽く盛り付けます。

スマックとは中東を含む広いエリアで使われている赤い色をした香辛料です。

スープにかかっているのがスマックです

こちらでもスマックが使われている料理(Gutabとレンティルスープ)を紹介しています。

https://note.com/bahargul/n/nc1a7c52989bb

レストランではフムスと同じくアラブのパン(ピタパン)と一緒に出されますが、ロティやナン等どのようなパンと食べても美味しいです。日本ではそれこそ食パンと一緒に食べていました。自分で書いておいて、それこその意味がわからないですが(笑)

また、ポテトフライや野菜スティック、クラッカーなどディップになるものなら何でも一緒に食べることが出来ます。

ムタッバルには通常ナス以外の野菜は入っていないことが多いですが、下の写真のように好きにアレンジを加えることも可能です。

ビーツを使ったムタッバルはピンク色で可愛いですし、カボチャを使ったオレンジカラーのパンプキンムタッバルも見たことがあります。

ババガヌーシュ


一方、写真の中段の一番左(黄色の料理)にあるのがババガヌーシュです。

@ヨルダン・アンマンのレストラン

ババガヌーシュも、ムタッバルと同じくナスをオーブンなどで焼いてマッシュし、ペースト状にしたディップです。

作り方や材料もほぼ同じですが、ムタッバルとの最大の違いは、タヒーナ(とヨーグルト)を入れるかどうかです。(つまり、タヒーナを入れないとババガヌーシュ、入れるとムタッバルになります)

もう一つの違いはババガヌーシュにはナス以外にも細かく切った野菜(玉ねぎ、レッドオニオン、トマト、パプリカなど)が使われることです。

一部ムタッバルでも野菜等が使われていることもあるため、タヒーニのように決定的な違いにはなりませんが、傾向としてムタッバルに使われることは少ないです。

ただし、エジプトや中東以外ではムタッバルのことをババガヌーシュと呼んでいたり、レバノン料理レストランは世界中にありますが、必ずしもレバノン人によって経営されている訳でないことから、レバント地方以外にあるレストランにおいては、もはやムタッバルとババガヌーシュの名前の区別が曖昧になっているケースも多いです。

カタールでも、特にアラブ料理を好んで食べる訳ではないエクスパットも、ババガヌーシュは知っていてもムタッバルは知らない人が多い気がします。

先程スモーキーな風味が好まれると述べましたが、よりスモーキーさを出すために同じく焼いた(炙った)パプリカを追加することもあります。

最後にはムタッバルと同じくオリーブオイルをかけ、こちらも同様にお好みでパセリ、ザクロ、ローストして細かく砕いたナッツをなどを盛り付けます。

結論

おさらいになりますが、タヒーナが使われていればムタッバル、使われていなければババガヌーシュです。

アラブレストランで出されるナスのメッゼは基本的にタヒーナが使われていますが、レバント地方以外の場合、それらは実際にはムタッバルであってもババガヌーシュと呼ばれることも多いですが、気にするのはやめましょう(笑)

シリア料理についてはこちらの記事をどうぞ☆

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