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嗜まない、灘の酒

白鷹、いいですよね。

神楽坂の名店、伊勢籐も、「寿司屋のかみさん うちあけ話」の名登利寿司も、日本酒は白鷹です。
極上白鷹は美味しんぼにも出てきますね。今年の正月は、遠くお伊勢さんを思いながら、極上白鷹を飲んで過ごしました。
北海道の日本酒にはないスッキリさ。やっぱり水の違いですかね。

うちの父は、日本酒といえば紙パックの安いやつか、剣菱、これだけです。
剣菱も、しかも普通のやつ。
うんと若いとき、黒松剣菱(特選)を父に買って行ったことがありましたが、「これじゃない」と言ってほとんど飲みませんでした。
特選の方が高いんだからうまいに決まってるじゃないか、と、その時は思ったもんです。

あくまで個人的な見解ですが、
たとえば吟醸酒なんかは、やっぱり酒が主役で、酒を引き立てるつまみをチラチラつまみながら、粋に嗜むものではないか、と。
うちの父みたいに、豪快にのんでたべて、というひとは、スッキリした日本酒をとことんまで行きたいんだと思うのです。そう考えると、同じ剣菱でも、黒松は同じ普通酒だけど米の甘みも旨みも強く、えんえんと飲み続けるのには向かないかなと思います。飲み飽きしない、のが父にとっては大事なのですね、きっと。
剣菱は、灘の酒でも個性の強い方だから、尚更なんでしょう。

とかく珍重なものを追い続けたり、最高においしいものを探求しがちですが、自分の好みを理解してそこに素直に生きている方がよっぽど幸せに生きることが出来るんだな、と父を見ていると感じます。

子供の頃、葬式の後に腕まくりしてわしゃわしゃと剣菱を飲む父が好きでした。
あ、今でも全然元気ですよ。父。

結局白鷹と全然関係ない話になってしまいました。
灘からの下り酒については、いろいろ思うところがあるので、これまた別の機会に書きたいと思います。


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