苗字について②(苗字を変更できる場合とは?)

こんにちは。

ベーグル法律事務所の弁護士の林正和です。
前回に引き続き苗字についてです。

前回、私は、離婚した際に結婚中の苗字を使うことを選択してしまい「林」に戻れなくなったところで終わりました。
今回は、「林」に戻る方法についてお話します。

私が「林」に戻る、つまり私が苗字を変えるためには、苗字の変更を
≪家庭裁判所に許可≫してもらえれば良いのです。

そうは言っても、苗字とは、その人を識別する大事なものです。何でもかんでも苗字を変えることを許してしまうと、大混乱に陥ってしまいます。
そこで、裁判所は、苗字を変える理由があるときだけ、苗字の変更を許すことにしています。

さて、どんな時に苗字を変えられるのでしょうか?

それぞれの事情に合わせて判断するので、明確なルールはありません。
参考までに、これまで苗字を変えていいと判断された例をご紹介します。なお、以下の【ケース】に出て来る苗字は、実際のものではありません。

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【ケース1】読みにくい苗字

「大楢」さんという方がいました。読み方は「おおなら」というのですが、「おなら」とよく間違えられていました。子供時代にも「おなら」などとからかわれていました。さらに、自分の子供も同じ思いをしていると知り、ゆかりのある他の苗字への変更を求め、裁判所も認めました。

【ケース2】子供の為に結婚時の苗字を選んだ人

Aさんは、元々「佐藤」という苗字だったのですが、結婚で「山口」になりました。結婚して子供も生まれましたが、離婚することになり、離婚後も子供と同じ苗字を名乗るために「山口」を名乗る手続きをしました。

そして、子供が成人して結婚したので、子供と同じ苗字である必要がなくなりました。そこで、親のお墓などを守っていくのに元の「佐藤」に戻りたいと思い、「佐藤」への変更を求め、裁判所も認めました。

【ケース3】一回結婚時の苗字を選んでしまった人

これは、前回の【ケース1】の私ですね。

私こと「林」は、結婚して「佐藤」になったのですが離婚することになりました。子供と同じ苗字でいるために「佐藤」を名乗る手続きをしました。

そして、その後、私(「佐藤」と名乗っています)は「鈴木」さんと出会い、結婚して「鈴木」と名乗ることになりました。しかし、「鈴木」さんともうまくいかず、離婚することになったのですが、旧姓「林」に戻りたいと思い、「林」への変更を求め、認められました。

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他にも色々な理由で苗字を変えた人がいます。例えば、親から虐待されていたので同じ苗字が名乗れなかったり、日本国籍を取得したのに苗字を選べなかったりして、苗字を変えた人もいます。一方で、苗字を変えられないケースもあるので、楽観はできません。

もし苗字にお悩みなら、一人で抱えず、お近くの弁護士に相談してみてください。

さて、苗字の話はまだまだ続きます。

次回「苗字について③」は、子供の苗字と親の苗字の関係です。離婚したとき、子供と一緒に旧姓になれる方法をお話します。

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