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26歳無職男がカナダまでオーロラを見に行ったら色々と視野が広がった件


ごあいさつ

初投稿です。海外旅行が何よりも好きな私が、2024年3月2日~3月7日にカナダのイエローナイフにオーロラを見に行った旅行記です。つらつらと旅の感想をしたためていきます。私は26歳。趣味は英語と海外旅行です。新卒で4年勤めた会社を辞めて現在無職です。少し長めなので、飛ばしながらでも読んでみてくださいね。

旅を始めよう

2023年の年末に仕事を辞めてから3ヶ月ほど経ち、時間もあったのでかねてから見たいと思っていたオーロラを見に行くことにした。調べてみるとカナダのイエローナイフという北極圏に近い町での観測率が高いらしい。よし、目的地は決まりだな。

さっそく旅行サイトのエクスペディアで航空券と宿を予約。物語はこうして始まったのである。

成田空港からカナダまで

出発日の3月2日の午後6時半頃、飛行機の座席に乗り込むと、隣の座席に座っていた白髪の日本人女性に話しかけられた。

「荷物こっちに置いてもいいですよ。」
「あぁ、ありがとうございます。」

何の気なしに始まった会話だが、いつだってこうした小さなきっかけから全ては始まっていく。彼女と世間話をしていると、どうやら彼女はカナダのカルガリーに住んでおり、今回母親が亡くなったため急ぎで日本へと帰国していたそうだ。これからカナダのバンクーバー経由でカルガリーに戻るらしい。

彼女の甥と私の卒業した大学が偶然同じだったこともあって話も弾み、私たちは夕食をとりながらしばしの会話を楽しんだ。

機内食。プレミアムエコノミーはお皿が陶器。
既にオレンジジュース飲み干しててすまん。

私は常々、海外に長く住んでいる日本人という存在に興味がある。その感情は憧憬に近い。海外旅行好きの私であればまだ日本と海外との垣根は低いものの、それでも大多数の日本人にとっては海外のハードルは高いと思う。そもそも海外に行ったことがないという人だって珍しくはない。私ですら海外に住んだことはないし、今のところその勇気もない。

彼女曰く、昔からどうしても海外に住んでみたいという気持ちがあり、思い切って夫と共にカナダに移住したらしい。現地では大変なこともあったが、楽しくやれていると。なるほど、つまりこれからカナダを初めて訪れる私にとっては、この方は大先輩というわけですね。

「これからイエローナイフにオーロラを見に行くんですけど、見れると思いますか?」
「そうだねぇ…。って実は私も見たことないの(笑)ただ、イエローナイフでは綺麗に見れるって聞いたことがあるよ。」

夜になり消灯時刻になると、耳に入ってくるのは飛行機のエンジンのゴーッという音だけになる。隣のご夫人も寝息を立てており、私も明日に備えて寝る必要があるのだが、結局一睡もできないまま朝になった。バンクーバー国際空港に到着。次海外に行く時は睡眠導入剤を忍ばせてこよう…。

朝日が眩しいバンクーバー国際空港。

ここからイエローナイフまでは乗り継ぎで数時間待つ必要がある。徹夜したせいで泣くほど体調が悪い。空港で買ったハンバーガーをなんとかペプシで流し込み、体力を持たせる。

イエローナイフ行きの機内。座席数は少なめ。

離陸してしばらくすると、隣の席の髭をたくわえた中年の男性に話しかけられる。

「どこから来たの?」
「日本ですよ。イエローナイフの方ですか?」
「そうだよ。これ触ってみて。(獣の爪のようなものがついた毛皮付きのコートを見せてくる)俺の母親がイエローナイフの先住民で、自分でこの服作って俺にくれたんだよ。普通に狩猟したらアウトらしいけど、先住民が狩猟するのはOKなんだよ。」

そういうものなのか、と思いながら、彼のコートの白い爪を手で撫でてみた。ゲームだったらここで俺は内なる力に目覚めて新しい技を習得できる展開だろう。獣の爪はひんやりとしていて、固く、重かった。

会話が終わるとあまりの疲労で2時間ほど眠ってしまった。目を覚ますと、ほどなく着陸準備の機内アナウンスが流れる。

白銀の世界が見えてくる。

3月2日17時頃に到着。気温はマイナス27度。飛行機から外に出た瞬間、全身が刺すような強烈な冷気に包まれる。遂に来たんだな、と実感。

イエローナイフまで乗せてくれた飛行機。
空港では白熊がお出迎え。

1日目 イエローナイフ市内

現地のオーロラ観測ツアーに送迎を申し込んであるので、空港から宿泊先のB&B(民宿)までは車で移動する。

市内中心部から少し離れたところまで移動。
宿の外観。
部屋はこんな感じ。壁が餃子の皮くらい薄い。

体調が悪いのでベッドで休んでいると、共用スペースから日本語が聞こえてくる。どうやら他の日本人客がいるようだ。

共用スペースに行くと、日本人、韓国人、ドイツ人のみんなでわいわいと盛り上がっていた。みんな仕事だったり、留学だったり、旅だったり、色々な目的でここに立ち寄っているらしい。そして現在無職の僕もいる。マックのメニューくらいバリエーション豊かだよ。僕も仲間に入れてもらって夕食までごちそうになった。

とても温かい雰囲気に癒されながら、あまりにも体調が悪いので今夜のオーロラツアーはキャンセルして早めに寝ることにした。明日と明後日、残り2回チャンスがあるからそれにかけることにしよう。仮にこの体調でオーロラを見れても、たぶん感動できる余裕がないからさ。

実家のようにくつろぐ皆さん。

2日目 市内散策+オーロラツアー

次の日、目が覚めると体調が完全に回復していた。寝るだけでここまで違うか。よっしゃあ、全力で探索行けるぜぇ!!

YK Centreの前の有名な温度計。

とりあえず腹減ったし、飯食うか…。

近くのサブウェイで注文したボウル。うまい。

暖房のきいた店内でボウルにがっつきながら、テーブル席の窓ガラス越しに街の風景を眺める。もこもこのフードを被りながら、ポケットに手を突っ込んで足早に通りを歩いていく人。話をして盛り上がっている夫婦。当たり前だけど、日本から何千キロも離れたこの場所で毎日を生きている人々がいることを実感する。来る前は色々暗い気持ちになったりすることも多かったけど、なんか既にすごく来て良かったよ。オーロラ見てすらないのに。

今回の旅のチェックポイント。

ちょうど3月はスノーキングス・ウインター・フェスティバルという北海道で言う雪まつり的なイベントが開催されているとのことだったので、そちらに向かう。

せっかくなので入場料を払って入る。
氷でできた部屋。
地元のアーティストの演奏。

(入場料払って中見るか迷いましたが、正直すごくよかったです)

この雪まつりでだいぶゆっくり過ごしたので、そろそろ宿に帰る。帰宿すると、キッチンで韓国のビジネスマンが夕食を作っていた。

旅先でも自炊を欠かさないビジネスマンの鑑。

宿でゆっくりしているとすぐに夜になり、午後9時半頃にオーロラツアーの迎えの車が来た。予報では今夜はっきり見える可能性は低いとのことだが…。

車で40分ほど走り、光害のない郊外まで移動する。(ダジャレではない

道中、隣の席に座っていた男性に話しかけるか迷った。かなり迷った。俺は何をするのにも人一倍勇気がいるんだよ。でも、勇気を出さない自分になりたくなかったから、思い切って声をかけた。この選択が残りの旅に大きな影響を及ぼすことになる。

俺「Are you excited?(ワクワクしてますか?)」
彼「Yes!(もちろん!)」
俺「Same here. Is this your first trip to Yellowknife?(僕もです。イエローナイフは初めてですか?)」
彼「Yes. Actually, I live in Vancouber. I came here with my sister.(そうですね。実はバンクーバーに住んでいて、今回は姉と一緒に来ているんです。)」

とても温かい反応が帰ってきた。彼は小学校の頃に韓国からカナダに移住し、それ以来ずっとバンクーバーに住んでいて今は大学生らしい。こんな具合で行きの車中で40分間ずっと話していた。

観測場所に着くと小屋に案内され、暖かい室内でオーロラが出るまで待機する。日本人大学生の卒業旅行グループ、シンガポールや韓国からの観光客など、まさしく人種のサラダボウルと化している。小屋で待っている間も、バスで仲良くなった彼、そして彼のお姉さんと一緒に色々な話をして盛り上がった。旅してるなって感じだ。

オーロラが出るまでこの小屋の中で待つ。

しばらく待っていると、外で様子を見ていたガイドの方が小屋の扉を開けて入ってきた。

「オーロラ出てます!」

扉を開けて外に出る。マイナス34度の極寒のなか、頭上の空を見上げる。

念願のオーロラ。

思わず「うわぁ…!」という声が出た。明らかに雲ではない、何か幻想的な光が夜空いっぱいに描き出されている。何か超自然的な存在が、何億リットルも入る巨大なバケツを使ってペンキを夜空に塗ったかのような圧巻の迫力だ。しばらく口を開けてその場に立ち尽くしていた。めっちゃくちゃ綺麗じゃねぇか…。

オーロラは光の強さを変えながら生き物のように動く。

以前、台湾の象山から見た地平線に沈む夕陽のような、心が打ち震えるような感動がそこにはあった。てかこれマジで綺麗だからみんな生で見てくれ。

オーロラ観測初日でかなり強いオーロラが見れて、なんというか安心した。この日はぐっすりと眠った。

(おまけ)日中立ち寄ったノーザン・ヘリテージ・センターの展示。

3日目 市内散策+オーロラツアー

朝目が覚めると、もう昼前になっている。昨日知り合った韓国人姉弟と意気投合し、「良かったら今日一緒に街を回らない?」と嬉しいメッセージが来た。

宿のキッチンから。

彼らと集合してみんなで土産屋さんに立ち寄った後、パイロット・モニュメントという記念碑の近くで写真を撮る。

俺だけ厚着しすぎだろ。

移動している間もずっと話をして、本当に本当に楽しかった。昨日のバスの中で勇気を出して彼に声をかけていなければ、こうして一緒に出掛けて写真を撮ることもなかっただろう。そういうものなんだよな。要は行動しろと。俺は本当にネガティブで心配性な性格なので、人一倍行動を起こすのが怖い。だけど、いつだって不安を解消するのは具体的な行動以外にないってことがわかる。まぁ、それが難しいんだけどねぇ。

夕方まで一緒に行動したが、彼らは今日で帰るらしい。別れ際は切なかった。「またカナダに来た時は声をかけてね。」と優しい言葉をかけてくれる。マジで良いやつだな。ありがとう。どうかお元気で。

それからはバッファローのお肉を食べたりした。

そして今夜がオーロラツアー最終日。もう初日でだいぶ綺麗なのを見れていたし、行かなくても良いかなぁという気持ちだけど、お金を払っているのでとりあえず参加する。

その結果自分でも驚いたが、昨日のオーロラを上回る迫力のオーロラを見ることができた。正直あまりの迫力で、一番光が強くなったタイミングのオーロラは肉眼で見るのに必死で写真で撮れませんでした。申し訳ないです。だいたい下の写真の2倍くらいの迫力だと思ってください。

昨日と場所が違うので写真映えする小屋がある。

こうして旅は終わりを迎えたのであった。

結論:(イエローナイフは)レベルの高い合格点を超えるようなオーロラをオールウェイズ出してくれる。

旅の感想

今回の旅で印象に残っているのが、旅先で出会った人たちだ。カナダで柔道を教えている日本人男性や、何週間もカナダを一人で旅しているドイツから来た女の子。辛ラーメンを分けてくれた韓国のビジネスマン、ツアーで仲良くなったバンクーバーに住む姉弟。みんな色々な目的や動機があったりなかったりして、イエローナイフで邂逅した。あとは行きの飛行機で会ったカルガリーに住む日本人女性もそうか。

「人生に正解はない」なんてのは本当に当たり前なんだけど、自分の身の回りが世界の全てになって視野が狭くなると、ともすればそんな簡単な事実にさえも疑いの目を向けてしまう。

まぁそりゃ実際は色々あるよ。ある程度は「こうしたいな~」とか「やばい焦る!」とかはあって良いと思うけど、人の数だけ生き方があるからね!僕が海外への旅が好きな理由は「視野が広がるから」。これに尽きます。

解決しない問題が山積した時は、旅に出るのも良いかもしれません。問題は全く解決しませんが、「こんな生き方もあるのかぁ」なんて思えて、物事が良い方向に変わっていくかもしれません。

とんでもなく長い文章になりましたが、書きたい気持ちをただ言葉にしました。自分のやりたいことをやってみる。まずはそれでいいんじゃないでしょうか。ありがとうございました!!

宿の玄関にぶら下がっていた「和」なキーホルダー。

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