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エビデンスがあるヘルスケアサービスを社会に浸透させるにはビジネスモデルの転換や新たな仕組みが必要

おはようございます。今日の東京は梅雨っぽい雨です☔
さて、昨日はD&I科学研究会第6回学術集会抄録)にシンポジストとして参加させていただきました。このような機会をいただいた東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の川上憲人教授には改めて御礼を申し上げます🙇‍♂️

お恥ずかしながら研究会の存在もこれまでは知らず、学術集会に参加させていただくのも初めてだったので、どんな会なのかな?と思っていましたが、率直に「これまでの学術集会で一番楽しかった!!」と感じる学術集会でした。

それがなぜかというと、色々な研究機関でゴリゴリに研究をされる先生方が、その研究成果やサービスをいかに社会に実装するかを真剣に考える会だったからです。
素晴らしい研究発表ばかりで、研究が素晴らしい上に、それを社会にどうずれば実装できるのかを真剣に考えていて、個人的には「研究者の先生方がここまで真剣に考えているんだ!!」と感動しました😭

個人的に頭の中で考えていたことが大きく二つあったので、今日はそれについて思考をまとめておきたいと思います📝

①いずれの研究報告も人工知能などのテクノロジーだけだと離脱率が高くなり社会実装は難しい。一方で、人の介入があると継続してくれるけど、人件費などがかか流ため料金を高額にせざるを得ず、社会に広く普及することが難しい。という言論が共通していたが、果たして本当か?
社会に広がり、社会を良い方向に変えてくれるのはエビデンスのあるサービスか、ないサービスか

人を介するデジタル介入が社会に普及するためには

全体的な雰囲気として、人工知能などがユーザーをサポートするサービスは安価で提供できるため、社会実装しやすいが、離脱率が非常に高くなるので、良いヘルスケアアウトカムが出せる可能性は低い。一方で、人(医療専門職)を介するデジタル介入サービスは継続しやすく、効果も出やすいが、人件費が必要となってしまうので、高額でしか提供できずに社会に浸透しにくい。という考えが共通してあるのかなと感じていました。

そこで個人的に思ったのはビジネスモデル自体で解決できる可能性があるのではないかということ🧐

◇エンドユーザー(使う人)📱とエコノミックバイヤー(お金を出す人)💰を変える

一つの事例としては三角プリズム効果を使った事例で、医療保険がなかった頃のタフツ病院にヒントがありそうです。一般的に医師の診察を受けるためにはお金は必要だし、かつ、医療専門職の中でも医師は最もコストが高いことはイメージがつくと思います。
そうなると「医師には受診したいがお金がない低所得者のグループ」と「患者を受け入れるがお金はしっかりと受け取りたい個人の医師というグループ」は一生結びつきそうにありませんが、これを結びつけた方法があります🥺

「寄付をしたい人」という第3のグループをプラットフォームに招き入れて、寄付によって医師に受診できるチケットを発行し、それを低所得者に配り、彼らはそのチケットを使って診療所に行くと診察を通常通り受けられるようになりました(詳細はプラットフォーム戦略という本がおすすめです。図はそこから引用して筆者作成)。

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この事例から言えることは医療専門職の提供価値を享受する人以外がお金を支払う可能性があるということ。寄付かもしれないですし、そこ取得されたデータが欲しいのかもしれません。脱毛のミュゼも同じ考え方で、年々料金を下げて(一方で収益は増加)、最終的には0円で提供したいとずっと言っているのも似ていると思います💡ミュゼの戦略は下記の本がおすすめです。

もう一つの事例としてあるのが、エンドユーザーが例えばメンタル不調やカラダの不調で医療費がずっとかかっている場合に、その金銭的な負担を一部している保険者はある程度、早めのタイミングで投資すれば、投資以降の医療費は削減できて、結果、投資対効果があったということも考えられますし、心身の不調によって欠勤したり、生産性が低下している状態に対して、所属企業が健康経営の一環としてサービス利用料を支払うということもあるかと思います🙆‍♀️

デジタル介入のサービスを利用する人以外に、そのサービスが提供する価値を享受する第3のステークホルダーのことを考えると、人を介するデジタル介入がより社会に浸透する可能性を高められるのです。

◇人件費を固定費から変動費にする(社内に内製化しない)

人が介するデジタル介入は結果は出やすいが、人件費(固定費)がかかることにより、売値が高くなってしまい、一定の層にしか浸透しない。これまでは第3のステークホルダーの話をしましたが、これを、また別の視点から考えるとどうか。

人が介する健康相談系のオンラインサービスの場合、ほとんどが品質の担保をするために医療専門職を社員として内製化することが多いように思います。最初は、外部に委託していたとしても、品質が担保できなくなり、社員として医療専門職を採用することでサービスの品質担保をする。この場合、人件費は変動費から固定費となってしまうため、なかなか値段が下げられません😭

当社のポケットセラピストでは、普段、外部の医療機関で働く医療専門職でも、品質管理ができる仕組みの構築を開発しているため、提供サービスの質の均一化が可能になっています。そうなると医療専門職の人件費は、固定費としてではなく、変動費として捉えることができるため、比較的安価で社会に実装することが可能になります🙋‍♀️

また、医療専門職が本当に介入すべきタイミングのみで出てくるパターン(Talkspace)や、1人の医療専門職が普通であれば一度に見られるユーザー数が5人だとして、テクノロジー実装により、100人まで見ることができるようになったら、1人の医療専門職が同一時間に創出できる価値が増えるので、ユーザー1人当たりの料金を下げられる要因になります💰

ここまで書いてきたように、ビジネスモデルや仕組みを変えれば、「人が介することで高単価になり社会に浸透しない」という常識を打破することができ、人を介するデジタル介入の社会実装の未来に希望の光が見えてくると思っています🌈

エビデンスがあるからといって社会に浸透するわけではない

さて、本題ですが、もしお求めやすい値段までサービス料金を下げることができたとしても、まだまだ課題は立ちはだかります。

例えば企業向けの健康経営のマーケットでいうと、サービスにエビデンスがあるからといって、エビデンスのないサービスと比較して導入されやすいかというと、全くそんなことがないのが現状です。むしろ、会社の名前が通っているところのサービスが優先的に導入されることも多々あります🙊

今回の学術集会でも、サービスにエビデンスがあると証明ができたとしても、それをお客様となる(例えば)企業に販売して売れるかは別だし、売れたとしても、その会社の担当者が正しく使って、正しく社内に広げてくれるとも限らないということが盛んに議論されていました。

この感覚を肌で感じているのは、デジタル介入サービス事業者だけでなく、健康経営のコンサルティングをされている企業の担当者の方も一緒のようです。エビデンスがないサービスが選ばれることも多々あると他の場で情報交換する際に言われていました😭

ただヘルスケアの未来のマーケットがどうあるべきかを考えると、「エビデンスのない、つまり効果が出るか不確定要素が大きいサービスを自社の従業員に利用促進した先に待っている未来」と「利用することで健康状態が改善することが期待できるエビデンスがあるサービスを従業員に利用促進した先に待っている未来」、もしあなたがサービス導入の意思決定者であればどちらを選びますか?どちらがあなたの身の回りは幸せになるでしょうか。

ほとんどが後者だと思います。

これまで述べてきたような現状がある中で、ヘルスケア事業者の品質をサービス導入する側が適切に評価して、エビデンスのあるサービスを導入しよう!という取り組みが活性化されつつあります。さらに内閣府のPay For Success(ガイドライン厚労省保検局が先日公募を出していた成果連動型の保健事業(公募内容という社会の流れからすると、数年先には必ず、エビデンスがあるサービスが当たり前に評価され、選ばれる時代が来ると確信しています。

最近では、人事部が社内展開を進めようとしていたヘルスケアサービスを、念のため、産業医に確認したところ「エビデンスが確かではないから」という理由で案件がNGになったということを以前よりも聞くようになってきました。よい方向に向かっている証拠かなと思います。誰でも同じ判断ができる仕組みも今後出てきます。

その時代の創出に向けて、当社はその時代を待つのではなく、自分たちで作っていきます。そのために、当社事業のエビデンス構築はさらに加速させて取り組んでいきたいと思いっています。ただ顧客へのマーケティングチャネルを持っている企業はやはり圧倒的に強いので、マーケティングをしっかりと握りつつ、裏側では確固たるエビデンスがあるサービスを持っているというバランスが良さそうです

当社は、国民のウェルビーイングや幸福のために、エビデンスがあり成果が出るサービスが普及する世界が当たり前になるよう、サービス開発はもちろん政策提言やヘルスケアサービスの実装普及に関する仕組み作りなど、積極的に取り組んでまいります💪
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